今が旬!秋の味覚「生栗」を買って美味しく食べよう!
秋の味覚の一つ「栗」。焼き栗、甘栗、栗ご飯、モンブラン……などなどあげるとキリがありませんが、みなさんは生の栗を買ったことはあるでしょうか?
すでに調理されているものを食べることが多いと思いますが、今回は、まさに今が旬の生の栗をどうやって選べばいいのかご紹介します。
日本一の栗の生産地は茨城県
栗といえば長野の小布施栗などが有名ですが、日本一の生産地というのは実は茨城県なんです。昼夜の温度差や保水性、通気性に優れた土壌があり、栗の栽培面積・出荷量ともに全国1位です。 茨城県の中でも笠間市・かすみがうら市・石岡市が主な産地。そこで今回は栽培面積が最も広い、笠間市の栗の生産者に話しを伺いました。
今年の栗の出来は?
教えてくれたのはJA常陸笠間地区栗部会・部会長の国谷博隆さん。国谷さんは夫婦二人で栗の収穫をされていて、収穫はすべて手作業。最盛期の場合、1日1人100キロは拾っているそうです。
Q.今年の栗のできはいかがでしたか?
国谷:今年は猛暑であったんですけども開花が非常に早くて8月30日ぐらいから出荷が始まりました。台風等の被害もなく、適当に湿り気もありましたので、まずまずの作柄だと思います。10月いっぱいまでの2ヵ月くらいは栗の収穫・出荷はやっております。
美味しい栗の見分け方
スーパーなどで「生の栗」を買う際の、おいしい栗の見分け方について伺いました。
国谷:落ちたばかりの栗は水分も飛んでないし、光沢があって鬼皮がエナメル質です。ですからツヤがある光った栗がいいと思います。栗は強制的に棒なんかで落とすんじゃなくて、栗そのものが「完全に熟しましたよ」っていうことで勝手に落ちて教えてくれるんです。それを太陽に当たってしなびる前に早めに拾っています。 やはり栗は大きい栗がいいと思います(※味の違いは余りないそう)。収穫したら階級別に4L、3L、2L、L、Mと5段階に分けて出荷していて、市場販売には3L、4Lと大きめな栗を出荷しております。 さらに糖度が高い栗を食べたい方にはこんな栗もあるそうです。
国谷:農協の場合は当日か翌日出荷していますけど、9月15日以降、私たち農協の部会は、「予冷殺虫」って言って、冷蔵庫に入れて発注をするんです。普通の栗は糖度が9度ぐらいなんですが、低温で3週間ぐらい貯蔵すると2倍から3倍ぐらいの糖度になります。貯蔵した栗は10月10日ぐらいから出回ります。
また栗の中の虫が心配…なんて人もいるかもしれませんが、庭先での選別や機械によって、ほどんどハジかれるそうですので、あまり心配する必要はないそうです。それでも心配な場合は、水につけて、浮いてくる栗に注意するといいかもしれません。
栗は品種がわからない?
なお国谷さんのところでは「筑波」、「銀寄」、「石鎚」などの品種を栽培しているそうですが、流通する際は、品種表示されないそうです。実際、スーパーの生栗も「茨城県産」としか書かれていなくて不思議だったので、その理由を伺いました。
国谷:果物はほとんど品種別に表示してますけど、栗は産地名しかないんです。栗は一つの畑に1品種だと実らないんです。最低2品種か3品種植えないと交配しないので。あとは落ちた栗はどれも変わらないんで、生産者は混ぜて出荷しています。1個でも混ざっちゃえばそれは品種表示できません。だからその時期その時期に出てくる栗で考えないと、消費者の方は品種はわからないと思います。最近、我々は列ごとに品種を植えていますので、その列ごとに拾ったやつは品種別に出荷はしています。
買ってきた栗はすぐ食べた方がいいということですが、すぐ食べられない場合はラップに包んで冷蔵庫で保存をしてください。
手軽に食べるのは茹でるのが一番
生の栗を買ってきたら、茹でて食べるのが一番ベーシックで楽。焼き栗は、鬼皮の部分が焦げてしまうので家庭では難しいそうです(※本来は専用の調理器具で作ります)。もし栗を加熱する場合は、底の部分に切れ込みを入れないと破裂するので気を付けてください。
茹でる際は沸騰したたっぷりのお湯で40分~50分ほど煮込むだけ。圧力鍋なら20分ほどで出来上がります。なお、国谷さんに聞くと事前に水に浸さなくても大丈夫だということでした。
茹でた栗は、半分に包丁でカットして、スプーンですくって食べてみてください。刃物を使うのを最低限にできて安全です。
今年の秋は、ぜひ生の栗を買って、出来立てを召し上がってみてください!
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)