健康診断でつけた方がいいオプション検査は?
日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。
新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。
ゲストは、医療ジャーナリストで医師の森田豊さんでした!
感染性胃腸炎が流行
3月下旬にしては少し珍しく、感染性胃腸炎の患者数が増えてきています。基本的な対策としては、当たり前のことですが、トイレの後や食事前・調理前には石鹸で十分に手を洗うこと。
家族で感染した方がいる際、便や嘔吐物を処理するときにはマスクやエプロンを着用して、しっかりと手を洗うなど、対策をしっかりと行なってくださいね。
新年度だからこそ気にしてほしい「健康診断」
4月1日ということで、今日から新年度!気持ちも新たに生活を送ってほしいと思いますが欠かせないのは「日々の健康」ですよね。毎日を健康に過ごすには、自分の体がどんな状態なのかを知らないといけませんよね。「健康診断」とひとことで言っても、会社や学校でやるような「健康診断」から、「人間ドック」「がん検診」など、さまざまな細分化が行われています。今回は、それぞれの違いを明確にして、何のために細分化されているのか、そして森田がオススメする検査項目のオプションを発表!
『企業に勤めている場合は、年一回の健康診断が法的義務!』
健康診断も人間ドックも、どちらも「自分自身の健康状態を知るために検査を行う」という目的は同じです。明確に違う点としては、企業に勤めている方は労働安全衛生法に基づき、年に一度の定期健康診断の受診が「法律で義務付けられている」ということになります。
「健康診断」は自身の健康状態を診断し、病気の兆候がないかを調べる「年齢に応じた一般的な検査」といった位置付けになります。加入している健康保険ごとに多少の違いはありますが、検査内容は「身体計測」「血液検査」「胸部X線」「尿検査」などの基本的なものが中心で、費用は無料か低額。検査項目が少ないため1時間程度で終了することが多いですよね。20代~30代の方は、この「一般健康診断」を毎年受診していることが多いです。特に高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は自覚症状がないことが多く、自分では健康と思っている場合がほとんどです。その他にも、主に40歳~74歳の人を対象に、生活習慣病の予防・早期発見を対象に実施する「特定健康診査(特定健診・メタボ健診)」もあります。
「人間ドック」は検査項目が多く、様々な病気の早期発見が目的です。人間ドックは、法律的な縛りなどはなく、個人の意志によって受診するものになり、大きな違いは「検査項目の多さ」になります。健康診断の検査項目は10項目~15項目ほどですが、人間ドックは検査項目が50項目~100項目となり、肺機能検査、胸部・腹部CT検査、腹部超音波検査、腫瘍マーカー、胃カメラ、マンモグラフィといった検査があります。
女性特有の病気、脳の検査など医療施設によってさまざまなコースが用意されています。「人間ドックは健康診断だけではわからない様々な病気の早期発見のためにある」と考えられています。個人の意思で検査項目を選んで行うものなので、基本的には自費になりますが、最近では費用を補助する職場もあります。
『国が推奨するがん検診は主に5つ!』
がん検診は、がんの早期発見・早期治療を行い、がんで死亡するのを防ぐ目的があります。様々ながんが存在しますが、国が推奨するがん検診は、主に5つです。
その5つは、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん です。
それぞれ、対象年齢や受診間隔がある程度定められています。医療機関では、これ以外の臓器にできる がんについても、もちろん調べることができます。前立腺がん、膵臓がん、卵巣がん、肝臓がんなどについては、オプションで追加してもらってください。森田先生は個人事業主なので、健康診断、人間ドック、がん検診を、忘れないように毎年、誕生日月に行なっているそう。また、がん検診は、50歳を超えてからは1年に一回検査しているそうです。(全てのがん検診を行なっているわけではありませんが)
ちなみに森田先生は、先週の「生活は踊る」の時間に、PET検査というものを受けたそうです。
PET/CT検査と呼ばれるものでブドウ糖に放射性物質をつけた薬を体の中に注射し、全身の状態をPETとCT装置で同時に撮影するものです。がん組織があったとして、それが多量のブドウ糖を取り込む性質があるのを利用した検査です。体内でがんが見つかるとその部分が光ったように映るんです。
PET/CTCT検査では、PET単独で撮影するより、がんのある位置や範囲を正確に判定できるのです。ただ、これをやったからすべてのがんが見つかるというわけではなく、CTやMRIなど他の検査で腫瘍が見つかった場合に、悪性かどうかを、より詳細に把握しようと行われることが多いです。人間ドックやがん検診、とにかく様々な検査があります。世代や生活習慣などによって、何を選ぶかをしっかりと決めていただきたいです。
『森田先生が医師としてオススメするオプション検査、ベスト3は・・・』
なかなか毎年の健康診断だけだと、オプションをつけるかつけないか、悩む方も多いかと思います。もしよければ、今回紹介する3つだけでもやってみてください。
第3位は・・・「便潜血検査」
国が勧めるがん検診や、「生活習慣病予防健診」の項目の中に入っているので、定期的に検査している方も多いかと思います。国立がん研究センターが行った3万人あまりの40歳から59歳の日本人を対象とした14年間におよぶ調査によると、便潜血検査を受けた回数が増えるにつれて大腸がんによる死亡リスクは減少しています。検査の仕方は、2日にわけてスティックで適量の便を採取して医療機関に提出するだけ。陽性となって、自分は痔があるから大丈夫という方もいますが、陽性なら、ぜひとも大腸内視鏡検査を受けた方がいいです。大腸内視鏡検査は大量の下剤を飲まないといけない上に、大腸カメラを肛門から入れることへの抵抗感、心理的ハードルが高いのも現状で、毎年受けるのは難しいですよね。ですから、ぜひこの便潜血反応をして、大腸がんや大腸ポリープの早期発見に努めてほしいです。
第2位は・・・「ピロリ菌検査」
森田先生は「20歳を超えたら、全員ピロリ菌の検査を受けるべき!」と思っているそう。理由は、胃癌の原因がピロリ菌であり、除菌すれば、ほとんど再感染がないこと、除菌することで、胃癌のリスクを、6分の1以下にできるんです。また、20歳の時点でピロリ菌に感染していなければ、胃がんになることがほとんどないといっても過言ではないからです。この機会に、ぜひ一度受けてみてください。
第1位は・・・「腹部超音波検査」
腹部超音波検査は、「サイレントキャンサー」と言われる、すい臓がん、肝臓がん、卵巣がんなどの早期発見に役割を演じています。さらに被爆などの心配もなく、費用も比較的安く、なおかつ前処置もほとんど不要なので、医療側も簡単にできます。一番オススメする理由として、腹部超音波検査は多くの診断に役立つからだとか。
・肝臓:肝臓がん、脂肪肝、肝硬変など
・胆のう:胆石、胆のうポリープなど
・胆管:胆管がん、胆汁うっ滞など
・腎臓:腎結石、尿管結石、水腎症、腎がんなど
・膵臓:膵臓がん、膵炎など
・膀胱:膀胱結石や膀胱がんなど
・前立腺:前立腺がん、前立腺肥大など
・腹部大動脈:腹部大動脈瘤など
・子宮:子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症など
・卵巣:卵巣がん、卵巣のう腫など
先生の経験上、腹部超音波で異常あると判断され、そこから、CTやMRIなどの検査をして大きな病気の診断につながったという例はとても多いです。数あるオプション検査の中でもこれほどまでに安全性が高く、幅広く情報が得られる検査はなかなかありません。ただし、腹部超音波検査を行えば、先ほど挙げた病気すべてが診断できるというわけではありません。あえて弱点を言えば、すべての臓器をくまなく診ることはできないという点です。肝臓や胆のう、腎臓や前立腺などは得意分野ですが、膵臓や子宮や卵巣などの奥深くにある臓器は、腸内のガスなどが溜まっているなどで、見えにくくなってしまうことがあるのです。もしも、「膵臓がんを是非ともスクリーニングしたい」と考える患者さんであれば、腹部超音波検査よりも腹部MRI検査や、造影剤を使用する造影CTを受けた方がよいことになります。
みなさんも、今一度考えてみましょう。そして健康診断をしっかりと行い、結果を受けて、自分の身体の健康について改めて考える機会を設けてみてくださいね。
(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)