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自治体職員の名刺は自腹?公費で作成の動きも

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新年度になって「名刺」を使う機会も増えると思いますが、今日はこの名刺の話題です。多くの自治体の職員は、自腹、職員個人で名刺を作る費用を負担しているようなんです。

札幌市職員の名刺 自腹から公費負担に

そんななか札幌市では、これまで自腹だった職員の名刺作成費用を、公費で負担するようになりました。
札幌市改革推進室 戸叶茂樹さんのお話です。

札幌市改革推進室 戸叶茂樹さん

多くの職員が、自費負担ということに、なんとなく疑問は感じながらこれまで来たんですけれども、2023年の11月に、職員の中の提案制度で改めて声があがったというのが1つきっかけになって、今年の1月末から「公費で買っていいよ」という通知を出して、取り扱いを変えました。その予算は各部署にノートとかボールペンとかを買う「事務費」がついているので、そこから各部署で支出する形になります。私自身、部署によって全く違うんですが、過去には年間5~6000円かかっていましたし、多い人だと1万円以上、年間でかかる場合もあるかと思いますので、ずっとモヤモヤしてきた職員も結構いますので、そういった方からは「取り扱いを整理してくれてよかった」という声は聞こえてきています。

戸叶さんに伺ったところ、明確な理由はなく、昔からの慣例だそう。一説によると昔、旧自治省=現在の総務省が、名刺は公費負担になじまないという通知を出していた、という話が広く言われていますが、現在国に確認しても、そういった通知の存在は確認できないということなんです。

これまで札幌市では、地元の印刷業者が職場に来た際に必要な人が個人で注文して、1箱約100枚で1500円ほどを自己負担していました。これまでは個人で作っていたためデザインもバラバラでしたが、今後はいくつかの決まったデザインから選ぶ形になってある程度、統一されるということです。

この4月の人事異動に間に合うスケジュールで動いていて、すでに公費で作った名刺が届いている部署もあり、戸叶さんは、名刺の自費負担は「職員が働く上で小さな不満だったとは思うので、今回解消されて、職員のやる気アップにも繋がれば」と話していました。

名刺を自腹で作っていた元自治体職員は

ここまで札幌市の話でしたが、実際に自治体の職員として働いていた方はどんな形で名刺を作っていたのか、埼玉県三芳町の元職員で、PRDESIGN JAPAN株式会社の佐久間智之さんに伺いました。

埼玉県三芳町の元職員で、PRDESIGN JAPAN株式会社 佐久間智之さん

僕は三芳町の職員として約20年、税務課と、介護保険と、広報担当としてキャリアを積んできたというのは経緯としてあります。税務課と介護保険の時のキャリアっていうのは、外部との関わりがほとんど無くて、そういう意味では名刺が不要だったんですよね。で、広報の方に異動すると、例えば外部の企業の方もそうですし、他の自治体の公務員との交流のときに名刺を使う必要性があって、そこで初めて、広報になってから僕の場合は名刺を作るというふうになりましたね。テンプレートみたいなものがあって、自分たちでインクジェットで印刷する。ミシン目で自分たちで切り取るやつ、あるじゃないですか。必要な部数だけピリピリってやるのが、基本的な感じですね。僕は外注して個人でやっていたんですけど、これは自分なりのこだわりで町の名刺ですから、クオリティの高いものを提供したいなと思って、デザインは僕が全部作って、印刷・製本だけ外注してお願いしていた感じです。

税務課、介護保険の部署にいた際は、住民と接する業務が中心なので、名札さえあれば良かったんですが、その後、広報の部署に異動し、名刺を使う必要性が生まれました。当時、佐久間さんは100枚あたり2000円ほどを負担していたそう。

(佐久間さんが広報担当当時に使用していた名刺)

佐久間さんは、自治体職員の名刺の多くが自腹になっている背景として、自治体の財政が厳しい上に、名刺が必要な部署が限られているので、役所全体で名刺を用意するというところまで至らない。また、自治体職員は異動が多いので、せっかく名刺を作ってもさばききれない懸念があると指摘しています。

ですが、佐久間さんは「当時は自費負担は普通だと思っていたけれど、公費負担する自治体が出てきたり、話題になったりすることは、社会的にはいい流れだと思う」と話していました。

自治体の職員向けの無料名刺サービス

そんななか、自腹で名刺を作っている自治体の職員を救おうという取り組みもあります。「無料名刺サービス」を行なっている株式会社ジチタイワークス 公共ビジネス課 課長 西村昇悟さんのお話です。

株式会社ジチタイワークス 公共ビジネス課 課長 西村昇悟さん

ジチタイワークス会員という無料会員制度がございまして、その中に各種サービスを提供しているんですけども、そちらに自治体職員さんがご登録いただければ、年に無料で100枚まで名刺を作成、ご提供させていただくものになっています。弊社調べで全国の自治体職員さんの約9割の方が、名刺を自腹で作成されているということが分かりまして、何かお力になれないかというところで、2021年にサービスを開始しています。何か課題を持っている自治体さんと「その課題を解決できるよ」という民間企業さんをつなげるというのが事業の中心で、「自治体さんとお仕事したいよ」という民間事業者さんから費用をいただいて、プロモーションだったりのお手伝いをしています。この無料名刺に関しては、特に収益化を目指しておりませんので、本当に課題解決のためにやっている事業になります。

(最近サービスを使うことになった茨城県小美玉市の名刺サンプル)

会員登録をして名刺を作ると、2週間ほどで名刺が手元に届きます。どこの自治体も財源不足に悩んでいる中で、名刺の問題は数ある問題の1つ。いろいろな課題解決に動いていきたいということでした。

(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材・レポート:西村志野)

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