『薬屋のひとりごと』薬に通ずる謎の女官・翠苓(スイレイ)の情報まとめ! 基本プロフィールに加え、性格や人柄、その正体、子翠との関係や猫猫との関係など詳しく解説します
薬と毒の知識を持つ少女・猫猫(マオマオ)が、その知識や観察眼で後宮で巻き起こる事件や謎を解き明かす人気作品『薬屋のひとりごと』。怪事件の全容が明らかになっていく様が痛快で、さらに後宮内の複雑な人間関係もその魅力のひとつです。
原作は日向 夏先生のライトノベルで、2023年にアニメSeason1が放送され、2025年1月よりアニメSeason2が2クール連続で放送されています。
本稿では、薬に通ずる謎の女官・翠苓(スイレイ)の情報をまとめました。基本プロフィールに加えて、性格や人柄、猫猫との関係、その正体、下女・子翠との関係についてなどを一挙にお届けしていきます。
※本稿には重要なネタバレが含まれます。
【写真】『薬屋のひとりごと』謎の女官・翠苓(スイレイ)の情報まとめ
翠苓(スイレイ)のプロフィール
年齢:19歳(猫猫、子翠のひとつ上)
所属:外廷勤務の官女→行方不明
氏族:不明
冷静沈着で聡明な美女
始めは外廷の官女として勤務していた翠苓。物語の中で描かれる彼女は表情を崩すことがなく常に冷静で、淡々とした印象です。それもそのはずで、官女というのは仮の姿であり、彼女の本来の目的は後宮内での暗躍でした。
王位継承者である皇弟を暗殺するべく、複数の事件に関与し、そのことを猫猫によって見破られるも、彼女はそれさえも想定したうえで「仮死薬」を使って死を偽装。その後、棺の中で蘇って逃亡し、行方をくらませました。
周到な準備で数々の事件を引き起こす知恵と薬や毒に関する豊富な知識、さらにそれらを使って自分の死まで偽装する大胆さは、悪事でありながら見事なもので、彼女の聡明さや度量の大きさを物語っています。
また、彼女は外見の美しさも際立っており、猫猫は「妃の一人として召し上げられてもおかしくない」とさえ感じています。実際、外廷の医官が彼女の美貌に惚れ好意を抱いているのですが、彼女はその好意すらも自分の犯行に汲みこむしたたかな人物です。
翠苓の関与が疑われる事件
礼部の長官・浩然(コウネン)の殺害
宮中や後宮での祭祀を管轄する部署・礼部の長官を務めていた浩然が、酒宴の席で酒を一気にあおって倒れ、急逝。始めは大量の酒をまとめて摂取したことが死因だと考えられましたが、浩然が患っていた味覚障害を利用し、酒の瓶に致死量の塩を入れて摂取させたことが本当の死因だと判明しました。
塩を入れた犯人や本当に悪意や殺意があったかどうかなどは明らかになっていませんが、翠苓本人が塩を直接入れる、または直接犯行に及ばずとも浩然を煙たく思っていた者に味覚障害のことを教えるなどして彼女が関与していると思われます。
食糧庫の小火
浩然が亡くなった直後、食糧庫で小火騒ぎが起きます。原因は倉庫番が小麦粉が充満した室内で煙管を吸ったことによる粉塵爆発でしたが、現場には美しい細工が施された煙管が落ちていました。
それをもらった倉庫番の証言によると、煙管が渡されたのは夜更けのことで相手の顔はよく見えなかったそうですが、背が高く薬の臭いのする官女だったと言います。普段は仕事中に煙管を吸わない倉庫番でも、こんな品の良い煙管を渡されたら、つい吸ってみたくなるかもしれない、と猫猫は考えます。煙管を贈ることで粉塵爆発を誘発したのだとしたら……。
そして同日、この騒ぎに乗じて別の倉庫から祭具が盗まれました。小火は祭具を盗むための陽動だったようです。普段であれば窃盗にすぐ気が付いたはずですが、祭具を管理していた礼部の長官が亡くなった直後、かつ後任の官僚も食中毒で昏睡状態だったため、気付くことができませんでした。
魚の鱠による食中毒
浩然の後任官僚は、普段から食べている魚の鱠を食べて昏睡状態となりました。原因は、無毒化していないオゴノリを口にしたから。北方では食べる習慣があるため正しく下処理が行われたうえで売られていましたが、今回使われていたのは食する習慣のない南方から持ち込まれたもので、下処理されないままだったのです。
犯人は倒れた官僚の弟で、長子に比べて軽んじられていることに嫌気がさしての犯行でした。しかし、南方の交易商に正しい処理もされていない危険なオゴノリを取り扱うよう提案したのは誰なのか、そして、弟にオゴノリの毒のことを教えたのは誰なのか。謎は残ったままですが、官僚が倒れたことで祭具の盗難に気づくことができなかったことだけは紛れもない事実です。
調金細工師の突然死
盗まれた祭具は同じ調金細工師によって作り直されました。しかし、設計や見た目は同じでも使われた金属が異なるものでした。その調金細工師は低温で溶ける特殊な金属(はんだ)を作る技術を「秘伝」の技として持っており、祭具を発注した人物はその特殊な金属で祭具を作るよう依頼したのです。
部品の納品は祭祀に間に合ったのですが、祭祀が行われる前に職人は突然亡くなってしまいます。彼は元々鉛中毒を起こしていたため、急死に見せかけて殺されたのでは、と猫猫は推理しています。皇弟暗殺計画の首謀者による口封じが目的だったようです。
皇弟暗殺未遂事件
調金細工師が特殊な金属で作った祭具は、天井から吊り下げた大きな柱が落ちないよう鉄線を固定するために使われるものでした。その真下には、神事を執り行うため皇弟(壬氏)がいます。火のすぐそばで使われていた祭具は、熱で溶けてしまい、固定が外れた大きな柱は真下にいる皇弟目掛けて落下。
前述した4つの事件の関連性に気づいた猫猫によって、皇弟は間一髪のところで柱の直撃を免れ、暗殺計画は未遂に終わります。しかし、先述の通り翠苓は自分の死を偽装して逃亡することに成功。暗殺こそ達成できなかったものの、彼女は逃げ勝ったのです。
猫猫との関係
翠苓と猫猫が初めて会ったのは、一度解雇された猫猫が壬氏直属の下女として宮中に戻った際のこと。外廷の女官たちに嫉妬から八つ当たりされる猫猫を、一人だけ冷静な目で見ていたのが翠苓でした。
その後、翠苓は薬草欲しさに勤務地外の場所に立ち入る猫猫とたびたび鉢合わせるのですが、不審な動きをする猫猫に後ろから拳骨をお見舞いしており、その仕打ちには毎回容赦がありません。
一方で、薬に精通する彼女は同じく薬師である猫猫に対して挑発的な態度を取っており、好敵手と見なしている様子も。猫猫も犯行の全てを暴いたうえで、豊富な薬の知識と知恵、胆力のある翠苓のことを高く評価しています。
正体 ※ネタバレ注意
翠苓は子一族の生まれで、父は先帝時代からの重臣・子昌です。母親は子昌の前妻で、翠苓は一族の“子”を冠した名「子翠」と名づけられました。しかし、後妻である子一族本家の娘・神美によって母娘共々下女にされ、虐げられることに。神美は“子”のついた名前を許さず名を奪い、以降彼女は翠苓と名乗るようになったようです。
母親が亡くなってからも、神美からは日常的に折檻を受けており、何度も蛇だらけの部屋に閉じ込められたことで、現在でも過呼吸になるほど蛇がトラウマになっています。
翠苓の母親
翠苓の母親は先帝と後宮入りした神美の幼い侍女・大宝の間に生まれた娘です。しかし、先帝が彼女を実子だと認めなかったため、当時去勢が不要だった医官との不儀の子とされ、皇帝のお手付きとなった大宝だけが後宮に留め置かれ、娘は医官とともに後宮を追放されてしまいます。
先帝が実子だと認めなかったのは、おそらく実権を持っていた母の圧力によるもの。実子だと認めてしまうと、皇帝に重度の幼女趣味があることが公となってしまうため、それを避けたかったのでしょう。
しかし、先帝は我が子だとわかっていたためずっと気がかりだったようで、娘が適齢期になると、忠臣・子昌に妻として迎え入れてくれるよう頼んだのです。後宮入りした神美に想いを寄せ、独身を貫いていた子昌でしたが、他ならぬ主君の頼みを断ることができませんでした。
そうして2人の間に生まれたのが翠苓(子翠)です。つまり翠苓は皇帝の血が流れる人物で、現皇帝や皇弟にとっては腹違いの姉の子、姪にあたります。
下女・子翠との関係 ※ネタバレ注意
自ら死を偽装して行方をくらませた翠苓は、しばらくのち、長身と中性的な顔立ちを活かして今度は宦官を装い後宮に入ります。そして猫猫と仲の良い下女・子翠と再び後宮内で暗躍します。
子翠の正体は、上級妃・楼蘭であり、2人は子昌を父に持つ異母姉妹です。翠苓を虐げる母に対し、楼蘭は翠苓を「姉さま」と呼んで慕っています。母から折檻を受ける姉を密かに助けていたのも楼蘭でした。彼女は大好きな姉が母に奪われた名前を使って下女に扮していたのです。
子一族のクーデターと翠苓のその後
先帝と現政権を憎む神美は、国を乗っ取ろうと考え、娘の楼蘭を皇后にすべく後宮に送り込み、そのために邪魔な皇位継承者たちの暗殺を企てます。その計画のために動いていたのが翠苓でした。
しかし、娘を国母にする計画は難しいと判断したのか、神美は一族を巻き込んだクーデターを計画。国相手に戦を仕掛ける計画だったようですが、元々詰めの甘い計画だったうえに、楼蘭が内部から計画を壊したため、クーデターは失敗に終わり、子昌も神美も死亡。楼蘭も銃で撃たれたうえ、砦の屋上から落下し、行方不明のまま死亡したとされています。
翠苓は、楼蘭がその素性を壬氏に明かしたため、皇帝の血族であることを理由に一族の処刑を免れました。現在は阿多妃の住まう離宮に住み、監視下で生かされています。
声優は名塚佳織さん
翠苓を演じるのは名塚佳織さんです。4月24日生まれ、東京都出身。『交響詩篇エウレカセブン』のエウレカ役をはじめ、『ONE PIECE FILM RED』のウタ役など、人気作品のキャラクターを多く演じています。