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【大学教授・齋藤孝さん解説】過労寸前から「だらけ上手」になって見つけた新たな知的好奇心

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【大学教授・齋藤孝さん解説】過労寸前から「だらけ上手」になって見つけた新たな知的好奇心


人生100年時代、60代は新たなスタートラインです! そんな大切な時期をいきいきと過ごすための、頭と心のコンディショニング法を紹介しているのが大学教授・齋藤孝さんの著書『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA)。本書は日々のちょっとした習慣を通して、60代からの知力を無理なく、そして楽しく保つ方法を優しく解説します。「まだまだこれから!」という意欲を応援し、後半生をより豊かにするためのヒントが満載です。60代は、これまでの役割が変わり、自分を見つめ直す時期。脳と心と体をバランス良く整え、知的な活力を高めていきませんか?


※本記事は齋藤孝著の書籍「60代からの知力の保ち方」から一部抜粋・編集しました。


不安や変化には、自分が慣れる


私は四十五歳の時、体調不良で一度倒れたことがあります。この頃の私は「週刊齋藤孝」と言っていいほどのペースで本を出していました。


自分は身体が丈夫だから、いくら仕事をしても大丈夫だという根拠のない自信があり、倒れた時は我ながら驚きました。しかも、一時は命が危ぶまれる瀬戸際まで行ったのです。過労死の一歩手前です。


それからは「これはいけない」と、一気に仕事量を減らしました。それまで予定でびっしり埋まっていたスケジュール帳に、余白が目立ってくる。やるべきことがなく手持無沙汰なのは、非常に不安でした。


これは考えてみますと定年を迎えて直面する不安に似ています。ぽっかり心に穴が開いたような状態でした。


ところが、二カ月ほどたつと心に穴が開いたような状態にも慣れてきました。すると、それがプラスの効果を発揮して、「そういえば、若い頃はだらけることが得意だったな」と、自分でも忘れていたことを思い出させてくれたのです。


私は二十代のほとんどを大学院生として過ごしました。もちろん無給で、ひたすら研究をし、一日何の予定も充実感もなく、社会的な関係性からも遠ざけられていたのです。


そんな時代があったものですから、いきなり予定がなくなった状況を、もう仕方がないと一度割り切ると、不思議とあまり不安に思わなくなりました。


その後は、ペースに気をつけていたのですが、五十代にまた仕事量が増えてきました。六十歳をすぎて、再びペースダウンの必要性を感じました。


そして何をしたかというと、だらけたんです。


漫画喫茶に行って、漫画を読みました。漫画は昔から大好きだったのですが、四十代に入り、仕事が多忙になると、ゆっくり漫画を楽しむ気持ちを失ってしまいました。自分にはもう漫画を読む能力がなくなってしまったのか、今時の漫画は自分には面白くないのか、と考えることもありました。


ところが時間が出来て改めて読んでみたら、これが途轍もなく面白かったのです。映像化も相まって世間でも大ヒットとなった『マッシュル─MASHLE─』(甲本一作 集英社)、『葬送のフリーレン』(山田鐘人原作・アベツカサ作画 小学館)、『呪術廻戦』(芥見下々作 集英社)、『推しの子』(赤坂アカ原作・横槍メンゴ作画 集英社)など、話題になった作品に目を通すことができました。なんなら自分が大学で教えている学生より早く、新作漫画を知っているほどになりました。


改めて大量の漫画に浸って、気づいたことがあります。


漫画はまだ、言葉の力が生きている世界だということです。


描き込まれる知識レベルが、以前よりも格段と上がり、『ブルーロック』(金城宗幸原作・ノ村優介漫画 講談社)というサッカー漫画では、描かれる戦術が詳細になり、様々な個性を抱えたキャラクターの心情も細かく描き込まれています。


情報量も多く、展開の速い漫画を今の子どもたちは難なく読み解くのだから、非常に頭がいいと感じます。


だらけた結果、こんな現状分析ができました。

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