全くの釣り初心者の女性に【釣りのノットを結んでもらった】長めの爪でも対応可能?
釣りの鬼門となるのが、ノットだ。手先が不器用な人の多くがここで脱落することになる。実はかくいう私もまったく手先が器用ではないが、大好きな釣りに関することなので、一生懸命覚えて手に慣らした。今回は、知人の協力のもと、若い女性のための「ノット」の例をお見せしたい。はじめに言っておくと、爪は短いほうがやりやすいと思いますよ。
釣り最大の鬼門「ノット」
まず「ノット」とは何か?これまで釣りに縁のなかった方なら、知らなくて当然です。
「ノット」とはライン(釣りイト)を結ぶこと。釣りでは、ざっくり言うと、ライン同士を結ぶノットと、ルアーやスナップに結ぶノットの二種がある。入門時、もっとも難しいラインさばきの中でも、またいっそう面倒っちいのがノットだが、最終的に独り立ちしようと思うと、マスター必須となる。
ここでは、主にライトゲーム(小さな海水魚のルアーフィッシング)に用いる簡単なノットを、ひとつ紹介しておこう。参考までに、リーダーとルアーのアイに結ぶ「おじさんノット」という私が編み出したノットにも触れておく。
3.5ノットを伝授
さて、釣り入門者向けのノットレクチャーに協力してくれたのは、15歳年下、21歳のAさん。
「じゃあ、ノットをやっていきます」
「はい」とAさん。深夜までバイトをしていた後なので、ちょっと疲れた(呆れた)模様。
「今日教えるのは、とても細いPEラインや、エステルラインと、同じように細い3lb~5lbのショックリーダーの結び方です。ショックリーダーとは……」
(中略)ショックリーダーとは、PEラインやエステルインのような摩擦に弱いラインの先端に結び付けるフロロカーボンやナイロン素材のイトのこと。これにより、魚に暴れられたときのラインブレイクを防ぐのだ。
「簡単なノットを1つだけ覚えてください。『3.5ノット』です」
「はい」
「まずは、これを見てください」
3.5ノットとは
メインラインとリーダーを重ねて、輪を作る。その輪の中に、重ねたラインを3回通して、最後に、メインラインだけをもう一度通す。イトを輪の中に3回と、0.5回通すから、合計3.5ノット。簡単なノットだが、本線の80%ほどの強度を保つことができる。
「こんな感じ?」とAさん。
「いいじゃないか。じゃあ、フィニッシュは締め込み。今はいいけれど、釣り場では軽く唾で結び目を濡らして、締めこんでください。そうしないと、またそこが熱摩擦で切れてしまうからね」
「はい」とAさん(そろそろ必要最低限以上のことを喋ってくれない)。
わかりやすく伝えるために上のように端糸を残しているが、釣り場では端糸は2本とも切ろう。
「おじさんノット」を伝授
「オイ、まだあるんか」
いよいよイライラしてきた様子のAさん。というのも、私が何度も撮影ミスするせいである。もともとこんな怒りっぽい人じゃない。しかし、撮影ミスするのも、こんな日に彼女が白黒のワンピースという何ともイトが映りにくい恰好をしてくるせいだが、当然、バイト上がりの協力者にそんなことを言えた義理ではない。
「じゃあ、僕が編み出した『おじさんノット』というノットを最後にちょっとだけしてください。リーダーとルアーのアイ(またはスナップ)を結ぶノットです。これをしないとルアーは使えないからね」
「ああ、そうか」
「ということで……」
「はい、お疲れ様でした。あとは締めこんでもらうだけです」
「ここは唾で濡らさんのか」とAさん、気づきました。
「ここはいいです。でも端糸は切ってね」
「ああ」
繰り返し言っている「おじさんノット」は筆者が編み出したもので……というのでもなく、実は私が幼い頃に「釣りのおじさん」と慕っていた人(同級生の伯父さん)が教えてくれたもので、とても簡単なノットなのだが、まあ今はもっと簡単なノットがあるので、そちらを参考にしてほしい。有名どころは「ユニノット」である。
*今回紹介した3.5ノットも、実際には動画を見て学ぶか、人に直接教えてもらうかを推奨します。
感想を聞いてみると「部屋の中では簡単だけど」。
なんとこの時点で午前2時近いド深夜。この前後も実は私の「女性の釣り初心者取材」に協力してくれたのだから、本当にありがとう。今度、メシおごらせてもらいます(後日談:本当におごった)。
「で、ノットやってみてどうやった?」と私。
「いや、今回教えてもらったのは意外にカンタンよ。3.5ノットなんてあと何回かで習得できる」とAさん。
「そうか、よかった」
「でもね、これ、夜やるんよね?それは最初のうち厳しいかもしれん」
「ヘッドライトは貸すよ」
「そんなん当たり前じゃ。でも最初はちゃんと手伝ってくださいってこと」
なるほど。難易度的に「3.5ノット」までなら、まったく釣りを知らない人でもできないわけではないらしい。「爪、大丈夫なん?」と途中聞いてみたが、別の女性と同様、「こういう爪で何でもやるのに慣れてる」だそうだ。
それにしても彼女、何もメイクしていない爪をなぜここまで伸ばしているのか……。もちろんネイル状態の爪を私が見逃しているだけかもしれないけれど。ちなみに以前爪のことを「マニキュア」と言ったら「ネイル」と訂正され、「口紅」と言ったら「リップじゃ」と大笑いされたっけ。
ともあれ3.5ノットとユニノットを習得すれば、釣り場でノットを組める。入門前に練習しておこう。
<井上海生/TSURINEWSライター>