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【倉敷市】【5/25(日)まで】瀬戸内国際芸術祭2025春会期 ~ 倉敷市内からアクセスの良い瀬戸大橋エリアの準備風景をお届け

倉敷とことこ

【5/25(日)まで】瀬戸内国際芸術祭2025春会期 ~ 倉敷市内からアクセスの良い瀬戸大橋エリアの準備風景をお届け

2010年に始まり、今や世界最大規模のアートフェスティバルにもなった瀬戸内国際芸術祭が、2025年も開催されています。

4月18日(金)から始まっている春会期は、開催地のひとつに児島駅から快速「マリンライナー」で1駅、香川県の「坂出駅」を起点とした瀬戸大橋エリアが含まれているので、倉敷市からよりアクセスしやすいイベントになっていますよ。

3月24日(月)時点での瀬戸大橋エリアの制作過程および、倉敷市民にとって身近な大原美術館が参加する「瀬戸芸美術館連携プロジェクト」について紹介します。

瀬戸内国際芸術祭2025とは

瀬戸内国際芸術祭は、2010年に香川県にある瀬戸内の島々を中心に始まったアートフェスティバルです。
以後、三年に一度のペースで開催されていて、2025年は6回目の開催です。

会期は、春・夏・冬の三会期。

・春会期:2025年4月18日(金)~5月25日(日)
・夏会期:2025年8月1日(金)~8月31日(日)
・秋会期:2025年10月3日(金)~11月9日(日)

日本のみならず、世界各国のアーティストが瀬戸内の島々と沿岸部にある会場に滞在して、地域と親和性のある作品を制作します。海外からの観光客のなかには、自国のアーティストの作品を目当てに訪れる人も多くいるそうです。

2025年は、17エリアで作品が展示されます。

今瀧哲之(いまたき てつゆき)さん

瀬戸内国際芸術祭2025実行委員事務局の今瀧哲之(いまたき てつゆき)さんは、瀬戸内国際芸術祭について以下のように語っていました。

「瀬戸内国際芸術祭は、島の暮らしや文化を知るための足掛かりとして『アートの人に伝える機能』を活かした世界最大級のアートフェスティバルです。作品の数やエリアも、過去最大級になります。
現代アートが好きなかたはもちろんのこと、観光のひとつとしても楽しめるイベントです」

春会期が開催される「瀬戸大橋エリア」とは

春会期が開催される瀬戸大橋エリアは、児島の下津井にかかる瀬戸大橋を渡った先にあります。

在来線から眺める瀬戸大橋の景色

香川県坂出市にある沙弥島(しゃみじま)、瀬居島(せいじま)に作品を展示。

路線バス(琴参バスの瀬居線)が通っているほか、春会期中は坂出駅と会場を直通で結ぶ芸術祭シャトルバスも運行されるので、公共交通機関での移動も可能です。

香川県側から望む瀬戸大橋を楽しめる沙弥島

岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ瀬戸大橋は、一本橋ではなく6つの橋から成る全長約13kmの橋梁群です。電車と車が並走する世界一長い橋として、ギネス認定されたこともあります。

倉敷側から見るとまっすぐ伸びている瀬戸大橋も、坂出側から見るとカーブが確認でき、いくつもの橋が連なっていることがわかります

《八人九脚》(藤本修三)と瀬戸大橋

私は、カラフルな作品《八人九脚》(藤本修三)に座って、のんびりと瀬戸大橋を眺めるのが好きです。
天気、海水温度、通りかかる船……条件が変わるだけで見える景色が異なるので、飽きずに眺められますよ。

沙弥島では、四つの作品が展示されます。

《幻海をのぞく》以外は、会期外も鑑賞可能

なお、沙弥島へは車および自転車での入島ができません
瀬戸大橋記念公園の駐車場および駐輪場を利用しましょう。

瀬戸大橋記念公園

春会期でしか見られない作品が多数展示される、瀬居島

瀬居島では、廃校となった学校や幼稚園などを舞台に総勢16名のアーティストが集結しました。
瀬戸内国際芸術祭2025にアーティストとしても参加する中﨑透(なかざき とおる)さんがディレクションする、瀬居島プロジェクト「SAY YES」による作品が展示されます。

旧瀬居幼稚園、旧瀬居小学校、旧瀬居中学校、そして島全体を舞台に、瀬居島の人々の暮らしや集落の風景からインスピレーションを受けた作品を展示しています。

旧瀬居幼稚園

どの作品も、春会期のみの展示になるのでこの機会に要チェックです。

瀬居島までは車で行けますが、集落に入る際には車での乗り入れができません。
瀬居島入口の三菱ケミカル株式会社グラウンド駐車場か、旧瀬居中学校駐車場を利用しましょう。

旧瀬居中学校駐車場

2025年3月の瀬居島プロジェクト「SAY YES」制作風景

2025年3月24日(月)に、制作が進められていた瀬居島プロジェクト「SAY YES」の制作風景を見学してきました。

写真はすべて、制作途中のものになります。今回は、メディア向けのプレスツアーに参加して特別に許可を得て撮影しました。

旧瀬居幼稚園

旧瀬居幼稚園の園舎では、瀬居島プロジェクト「SAY YES」のディレクションも務める中﨑透さんの作品の制作過程を見学しました。

中﨑さんは、瀬居島の島民たちに直接インタビューしたエピソードからインスピレーションを得た作品を制作しています。

瀬居島に元々あったものと作品が融合することを意識されているとのこと。
どこか懐かしい気持ちにさせてくれる園舎に、見覚えのあるベンチやボールなどを使った作品が並ぶ会場は、思い出を想像するのにピッタリ。

《Say-yo, chains, what do you bind or release?》(制作途中)

作品のインスピレーションを受けたエピソードも作品に添えられているので、エピソードと作品を見比べるのも楽しいですよ。

《Say-yo, chains, what do you bind or release?》(制作途中)

旧瀬居中学校

旧瀬居中学校には、8名のアーティストの作品が校舎内や屋上で制作されていました。

《空気穴》(制作途中)

伊藤誠(いとう まこと)さんの《空気穴》は、外側から見たかたちとはまったく無関係に、内側に別の空間が広がる世界が展開されます。
伊藤さんの展示は、4教室にわたって大小複数の作品が展示されます。

伊藤さんは以下のように語っていました。

「普段の制作は、作品のことだけを考えて自由に制作していますが、瀬戸内国際芸術祭では土地とのつながりを意識した作品を作ります。それが、おもしろいところです」

《空気穴》と伊藤誠(いとう まこと)さん

上村卓大(かみむら たかひろ)さんは、“名前とかたちの有無”を自由な眼差しで眺めることをテーマにした作品《見えるものと見えているもの》を制作しています。

自身の子どもが作った小さな作品を拡大して作品にし、隣合う教室にそれぞれを展示した作品は、凹凸感がリアルに表現されており、つい見入ってしまいます。

《見えるものと見えているもの》(制作途中)
《見えるものと見えているもの》(制作途中)

上村さんは、瀬戸内国際芸術祭での作品制作を「エンターテインメントっぽくて楽しい」と、コメントしていました。

旧瀬居中学校屋上から望む景色

屋上には、早川祐太(はやかわ ゆうた)さんの作品《いるもの》が並びます。

屋上に出た瞬間、空の広さ・瀬戸内海の景色・集落の暮らし・工業地帯の景色が360度に広がりました。

瀬居島の景色に早川さんの彫刻がとけこむ風景は、まさに瀬戸内国際芸術祭らしい風景のひとつではないでしょうか。

制作途中の作品《いるもの》と早川祐太(はやかわ ゆうた)さん

早川さんは、作品について以下のように語っていました。

「今までの作品制作は屋内が中心でしたが、今回は屋外での展示になります。初めての試みですが、自分の選択肢が広がる経験になっています」

どのアーティストも、瀬戸内国際芸術祭らしさ瀬居島で制作する意味を問いながら制作しているようすが伝わってきました。

「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトに、大原美術館も参加

瀬戸内国際芸術祭2025の開催に合わせて、芸術祭とともに瀬戸内がアートの聖地として位置づくことを目指した取り組み「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトが今年はじめて開催されています。

このプロジェクトには、倉敷美観地区にある大原美術館も参加しています。

以下の展覧会が、このプロジェクトの共通チケットで入場できますよ。(いずれか一回のみ)

・「令和7年春の有隣荘特別公開 有隣荘へようこそ!現代アートでおもてなし」 2025年4月18日(金)~5月11日(日)
・「令和7年秋の有隣荘特別公開 森村泰昌展(仮称)」 2025年10月7日(火)~ 11月9日(日)

令和7年春の有隣荘特別公開チラシ(画像提供:公益財団法人大原芸術財団)

くわしくは、「瀬戸芸美術館連携」プロジェクトの公式ホームページを確認してください。

瀬戸内国際芸術祭と倉敷市内の往来が、ますます活発になりますね。

おわりに

2023年12月に関東から倉敷へ移住してきた私が初めて倉敷に来たのは、2019年の瀬戸内国際芸術祭がきっかけでした。
島々で現代アートを鑑賞し、瀬戸大橋を渡れば倉敷市。
倉敷は本州側の玄関口であり、関東から観光に来た私にとってセットで観光するのにちょうどよい距離感だったように思います。

今回の瀬戸内国際芸術祭でも、倉敷を起点に観光を検討する観光客も多いはずです。
倉敷市民にとっても、週末にふらっと行けるイベントになるのではないでしょうか。

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