「トレカ」が対象か?ブックオフの従業員による架空買取や現金着服などの不正行為が24店舗で発覚
東証プライムに上場する中古品買取大手のブックオフグループホールディングス(以下、ブックオフHD)は8月6日、ブックオフHDの子会社が運営する複数の店舗において、従業員による架空の買い取りや在庫の不適切な計上などの手口による不正行為に関する調査結果を公表した。
不正行為は国内の直営店24店舗で行われ、不適切な在庫計上は700万円であった。通常、ブックオフHDでは店舗在庫の棚卸しは各店舗の店長や主任が行っているが、今回発覚した不正行為は見抜けなかった。従業員らは、実際には実態が存在しない買い取りをシステム上に記録するなど、複数の手口によって現金を着服していた。不正行為に関わった従業員数などは未公表。
ブックオフHDは書籍を始め、ゲームや楽器、家電などさまざまな商品を買い取っている。不正行為の対象になった商品は公表していないものの、トレーディングカード、いわゆる「トレカ」がターゲットになった可能性はある。「遊戯王」や「ポケモンカード」などのいわゆるレアカードは高値で取り引きされており、ブックオフHDでも公式ホームページでは高価買取に対応しているトレカをリストアップしている。ブックオフHDでの文庫本などの買取価格はせいぜい数十円だが、トレカは数千円で買い取っており、高額なものは1万円近い買取値が付いている。
◾️「ブックオフのトレーディングカード高価買取リスト」
トレカを巡っては、価格が高騰していることから窃盗事件なども多発しており社会問題化している。ブックオフHDは調査委員会が継続して調査を実施しているとしているが、こうした犯罪の抑止のためにも詳細の公表が待たれる。
ブックオフHDは、2024年5月期の通期連結決算の発表を7月16日に予定していたが、不正行為の内部調査や実態解明に時間を要することから延期していた。ブックオフは今年5月まで40カ月連続で売上高が前年実績を上回っており、好調を維持していた。2024年5月期通期の業績予想は、売上高は1110億円、営業利益は32億円、親会社株主に帰属する当期純利益は21億円としていたが、今回の不正行為の発覚により業績の下振れが予想される。