世界唯一!迫力のレースと動物園が冬でもまとめて楽しめちゃうスポット 「ふれあいの極意」を獣医師ママライターが解説|北海道・帯広市「帯広競馬場」
牛や馬専門の獣医師の経歴を持ち、アニマルセラピーにも詳しいママライター「MERI」が、北海道各地の「動物とふれあえるおすすめスポット」とそのおすすめポイントを紹介する【連載】「こころ育む、動物ふれあいスポット」。
今回訪れたのは、十勝エリアの主要な観光スポットとして地元の方にも愛されている、帯広競馬場。
日本唯一どころか、世界で唯一、ばん馬のレースが見られるとっても貴重な場所です。
一昔前までの競馬場は“ギャンブル好きなおじさんが行くところ”というイメージが強かったかと思いますが、最近では女性や子ども、ファミリーでも楽しめる場所へと進化!
今回は、冬でも夏でもお子さまと一緒に楽しめる「帯広競馬場(ばんえい十勝)」をご紹介します。
競馬場内にある「ふれあい動物園」では、ばん馬たちにニンジンをあげることもできて、まさに子どももたっぷり楽しめちゃうってこと、ご存じでしたか?
安全なにんじんの持ち方や注意してほしいポイントについてもまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね!
「力持ち」を決めるばんえい競馬
まずは、「ばんえい」の基礎知識について簡単に解説します。
一般的な競馬のレースとの違いやサラブレッドとばん馬の違いについて知っておくと、ばんえいをより楽しめるはず!
「ばんえい競馬」って何?
「ばんえい競馬」とは、一番力持ちの馬を決める競馬のことです。
一般的なサラブレッドの競馬では一番速く走れた馬が1着になるのに対して、ばんえい競馬では騎手の乗ったソリがすべてゴール板を通過した時点で1着が決まります。
この鉄製のソリの重さは…なんと約450キロ。
これだけでサラブレッド1頭分ほどの重さです!(重すぎてあまりピンときませんよね…)
この重いソリを引きながら、直線200mのコースを走り抜けていきます。
ただし、コースには「第1障害」「第2障害」と呼ばれるそれぞれ高さ1mと1.6mの小丘があり、重いソリを引いた状態で走るのは至難の業…
ばんえい競馬では、スタート地点から馬と一緒に移動しながら応援できます!
間近で声をかけながら応援できるのが、ばんえいの魅力のひとつです。
重~いソリをひいて走る…「かわいそう」と思いますか?
重いソリをわざわざひいて、苦しい障害を越えさせる…そんなばんえい競馬を「かわいそう」という声が聞かれることがあります。
元々は、厳しい土地の農作業に勤しむ人たちの娯楽として誕生しましたが、第二次世界大戦後の「希望の光」となったのがばん馬。
農地を耕し、馬糞で土地を肥やしてくれる馬たちが、軍用化で激減していた当時…。
目標を失っていた馬産農家にとって、馬の需要が増えることがとても重要だったんです。
苦楽を共にしてきた馬の姿が現代のレースへと受け継がれ、大切な北海道遺産として、その迫力と、開拓の礎を私たちに伝えてくれています。
「サラブレッド」と「ばん馬」の違いとは?
サラブレッド(軽種馬)は速く走ることに特化して改良されてきたのに対し、ばん馬(重種馬)は昔から農林業などで重いものを運搬する際に活躍していた大型の馬で、牽引力が強いことが特徴です。
体重で比較してみると、サラブレッドは500キロ前後、ばん馬は約1トンと約2倍もの大きさ!
近くで見てみると、その体の大きさに圧倒されること間違いなし。
ばん馬の頭の大きさだけでも、4歳児の身長くらいの大きさがあります。
帯広競馬場内にあるふれあい動物園にもばん馬がいるので、ぜひ近くで観察してみてくださいね!
子どもと一緒に楽しめるスポットはここ!
帯広競馬場には、実は子どもも楽しめる場所がたくさんあります!
競馬開催日以外でも楽しめるスポットもあるので、注目ですよ。
①ばん馬を追いかけて応援!迫力あるレースを目の前で!
やはり一番楽しんでほしいのは、メインであるばんえい競馬のレース!
夏でも冬でも関係なくオールシーズン楽しめるので、特にお馬さんが好きな子どもにはぴったりの場所です。
お馬さんたちを追いかけて「がんばれー!」と声をかけながら応援できるので、きっと楽しく見ることができるはず!
もちろん座って観戦できるエリアもあるので、ゆっくりしながら見たい方もご安心くださいね。
そしてなんと冬の積雪期には、雪の中を走っていくばん馬たちも見れちゃいます!
走路の内部にはヒーティング設備が入っているため、冬の寒さが厳しい時期でも凍結しないのだとか。
北海道におけるサラブレッドの競馬(札幌競馬場/函館競馬場など)では冬季はレースが開催されないため、ここ帯広競馬場でオールシーズン見られるのは嬉しいですよね。
②ふれあい動物園でにんじんをあげよう!
帯広競馬場内にある「ふれあい動物園」は、なんと入場料無料。
ばん馬だけでなく、ポニーやヤギ、うさぎなどもいます!
うさぎさんたちがいる、ふれあい動物園内の「ばん馬ギャラリー」には、お手洗いやおむつ交換台もあるので、休憩しながら動物園をじっくり楽しめますよ。
ここにいるばん馬はレースを引退した馬たちで、現在は全国各地にPR活動のために出張することもあるそうです。
馬用のにんじんは、1カップ100円。
太めにカットしてあり、子どもでもしっかりと握りやすいサイズなのが嬉しい!
馬ににんじんをあげる時には、気をつけていただきたいポイントがあります!
【獣医師が解説!】にんじんをあげる時に気をつけてほしいこと
お馬さんににんじんをあげる時には、大人も子どもも気をつけてほしいことがあります。
それは、「にんじんの持ち方」と「お馬さんの耳」!
詳しく解説していきますね。
正しい&安全なにんじんの持ち方は
お馬さんににんじんをあげる時、ついつい指先でつまむように持ったり、人差し指をにんじんに添えて持っていたりしませんか?
実はこの持ち方、とっても危険です!
持ち方のポイントは2つ!
●おててはグー(絶対に指を出さない!)
●ふにゃっと曲がらない太めのにんじんを選ぶ
お馬さんの口は大きいので、間違えてにんじんと一緒に手までガブっとかじられてしまう可能性があります。
手をグーの形に握るようにしてにんじんをしっかりと持ち、ささっとお馬さんにあげるようにしましょう。
怖いからといってなかなかあげなかったり、届かない位置からあげようとすると、にんじんが欲しいお馬さんは焦らされて怒ってしまうことがあるので注意してくださいね。
一般の動物園や乗馬施設など、馬用のにんじんが売っていたとしても、安全な与え方をしっかりと教えてくれるスタッフが常駐していることは少ないのが現状です。
なので安全のためにも、ぜひしっかりと正しい持ち方を覚えておいてくださいね!
もしにんじんに対してガツガツきてしまうお馬さんがいたときには、潔く諦めて別の馬にあげる!ということも大切ですよー!
こんな時はすぐに離れて!お馬さんの耳にも注目
正しいにんじんの持ち方をしていても、お馬さんにかじられてしまうことがあります。
それはずばり…お馬さんの機嫌が悪いとき!
お馬さんのご機嫌は、「耳」で判断できます。
耳がまっすぐ前を向いている状態が普通なのですが、写真のように耳が後ろ向きでちょっと伏せているようなときには「怖い」「不快」「怒り」などを感じているサイン。
こんなときには、にんじんを持っていなかったとしても、近寄っただけでガブっとされてしまうこともありますので、まず近寄らないことが大切です。
なかには、大丈夫そうな顔(耳)をしていても全然大丈夫じゃないときも…(私も過去に経験あり)
心配な場合にはまず大人が1本あげてみて、食べ方がやさしいお馬さんを選んであげてみるといいかもしれません。
また、機嫌は悪くないけどにんじんが好きすぎて、ガツガツと勢いよく食べに来てしまうお馬さんもいます。
絶対大丈夫と思わず、必ず大人がサポートするか近くで見守りながら、楽しくにんじんをあげてくださいね。
とかちむらでランチやスイーツも♩
とかちむら入口付近にあるソリに乗ってポーズ!
帯広競馬場に隣接している「とかちむら」には、農産物の直売所や飲食店などがあります。
十勝名物の豚丼が食べられるお店や、落ち着いた雰囲気のカフェも!
ランチやおやつタイムでも、おいしいものを頂きながら家族でゆっくり過ごせるのが嬉しいですね。
子どもでも食べやすいメニューがたくさんありました!
また、とかちむらの入り口付近にはレースで使っていた本物のソリがあるので、記念写真を撮ることもお忘れなく!
頑張るばん馬たちをすぐそばで応援しよう!
今回は帯広市にある「帯広競馬場(ばんえい十勝)」をご紹介しました。
ばんえい競馬のレースだけでなく、ふれあい動物園で動物たちとのふれあいが楽しめたり、とかちむらでお買い物やグルメが楽しめたりと、魅力たっぷりのおでかけスポットです!
また、世界でここだけ!の体験が楽しめて、北海道の歴史と文化も肌で感じられる場所というのもポイント。
オールシーズン楽しめる帯広競馬場で、家族の思い出を増やしませんか?
今回の記事がおでかけの参考になれば幸いです!また次回もお楽しみに!
【帯広競馬場(ばんえい十勝)】
〈入場料〉無料
〈駐車場〉無料/400台駐車可
〈開門時刻〉開催日程/時刻ページ
所在地:〒080-0023 帯広市西13条南9丁目
電話番号:0155-34-0825
公式HP
[【連載】「こころ育む、動物ふれあいスポット」]
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文:MERI
1991年生まれ、1児の母。東京都出身、2016年より北海道に移住し現在は安平町在住。
牛と馬の産業動物獣医師として勤務したのち、ライター&カメラマンに転身。動物やペットに関する記事を多数執筆。大学時代には馬の飼養管理を担当しながらアニマルセラピーの研究を行う。動物に関する豊富な知識と経験を生かし、動物とのふれあいを積極的に取り入れる子育てを実践中。
編集:Sitakke編集部あい