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【高知グルメPro】辛さやパクチーの香りに甘えない本格タイ料理「タワンデーン」フードジャーナリスト・マッキー牧元の高知満腹日記

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【高知グルメPro】辛さやパクチーの香りに甘えない本格タイ料理「タワンデーン」フードジャーナリスト・マッキー牧元の高知満腹日記

大都市と地方都市のグルメ事情で、最も異なるのは外国の料理だろう。

中国料理ひとつとっても大阪より東京の方が優れていることを体験してきた。

一般的な中国料理でも差があるくらいだから、他の東南アジア料理は、さらにその差が大きくなる。

最も店数が多いタイ料理やベトナム料理でも、激戦区である都市部の方が美味しくなってくる。

今までの経験では、地方のそうした料理は調味料や香草類の入手が難しいゆえに、ゆるい料理になっていたり、日本人向けにアレンジされていることが多かった。

そんな中、高知の、しかも四万十市に美味しいタイ料理の店があると聞いた。

一瞬、耳を疑った。

何しろ食べログで見ても、高知県でタイ料理は6軒、うちタイ料理専門店は3軒である。

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その店は、四万十市内の商業ビルの一角にあった。

前述した通り、地方都市のタイ料理に大きな期待はせずにオーダーしてみた。

まずは「ラープムー(豚日菊のサラダ)」と「カオニャオ(餅米)」を頼んでみる。

「ラープムー」は、甘、辛、酸、塩気のバランスがよく、ハーブの香りが爽やかに効いている

特にミントが効果的に使われている点がいい。

竹筒に入ったカオニャオを現地風に親指人差し指、中指でつまみ、丸めてラープムーの汁をつけて食べる。

おぉ、これは本格的な味わいではないか。

かなり辛い料理ラープの辛味は抑え気味ではあるが、味わいの調和がいい。

これで一気に火がついた。

「地方都市のタイ料理いま一つ論」はどこかへ吹っ飛び、次々と注文する。

「ホイライナムブリック(あさりをチリペーストやバジル、唐辛子と炒めた料理)」は、ホーリーバジルが効いていて、香り高い。

さらにオイスターソースだろうか、深い旨味がある。

このハーブ類の香り高さは素晴らしいですね、と尋ねてみれば、

「以前は自分たちで育てていましたが、今は茨城の農家から取り寄せてます」とのこと。

自分たちでハーブ類を育てていたという点に、地方の入手困難さから来る苦労を垣間見る。

「ヤムウンセン(春雨サラダ)」を頼めば、パクチーの姿はなく、セロリの香りが効いていた。

タイ料理は、どうしてもパクチー頼りになるが、セロリというのがいい。

聞けば、パクチーの用意もあるが、まだ高知では苦手な方が多く、代わりにセロリを使っているのだという。

都会では、パクチーありかなしの二択である。

だがパクチーの代わりにセロリを使うという選択は、新しく、正しい。

これもかなり辛味のある料理だが、それほど辛くはなっていない。

聞けば料理人である奥さんは、激辛で知られる北タイのイサーン地方出身だという。

「辛さはだいぶブレーキを踏んでいます」と、笑われた。

郷に入っては郷に従え。

このまま、特別に辛くしてもらうこともせず、パクチーに変えてもらうこともなく、料理を頼む。

「トムヤムクン(海老の辛いスープ)」は、やはりセロリの香り満載で、そこへ生玉ねぎの刺激と、ミニトマトが入っている。

これも素材の味が生きた味である。

トマトの旨味が、舌を抱きしめて、優しい味わいである。

「クンオブウンセン(海老と春雨の蒸し焼き)」も、セロリの葉が一面に乗っていて、その爽やかな香りが濃い味付けを、あっさりと食べさせる。

いいなあこれも。

「パッタイ」を頼めば、海老の味わいが麺に染みていた。

どうやら都会のタイ料理では、辛さやパクチーの香りに甘えていたようである。

こうして辛味をひかえ、パクチーをなしにすると、味を濃くするか、使っている食材の味を引き出すしかない。

この店は後者で、地方でタイ料理に慣れていない人へ、穏やかな味わいを提供しているのであった。

最後に「ネンちゃん(料理人の奥様)のオムレツは一味違うよ」という旦那さんの愛ある言葉を聞いて「ガイチアオ」を頼んだ。

ああこれまた優しい。

カオニャオに乗せてかきこめば、タイ国民でもないのに懐かしい感じがする。

冬場には、「トムセーブ(猪のレモングラス風味)」もあるというし、僕の大好きな「ジョーグ(タイ風お粥)」も、事前に言えば作ってくれるという。

これは四万十市に来る楽しみがまた増えたぞ。

店舗情報

タイ料理 タワンデーン

■住所

高知県四万十市右山五月町8-13

■電話番号

080-3161-878

■営業時間

ランチタイム / 11:00~14:00

ディナータイム / 17:00~21:00(ラストオーダー / 20:30)

■定休日

水曜日

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