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県民のソウルフード「芋煮」から、冬の家庭料理の名物「ひっぱりうどん」まで、寒い地域だからこその鍋料理大国・山形県の鍋を紹介!

田舎暮らしの本

県民のソウルフード「芋煮」から、冬の家庭料理の名物「ひっぱりうどん」まで、寒い地域だからこその鍋料理大国・山形県の鍋を紹介!

東北のなかでも屈指の寒冷地である山形県。海の幸や山の幸が豊富なことから、鍋料理が多くある。伝統的な郷土料理が多く食べ継がれていて、大人数でひとつの鍋を食べる文化も盛んな山形県は、まさに鍋大国。ここでは、山形県民のソウルフードともいえる「芋煮」や、家庭でもよく食べられるようになった「ひっぱりうどん」など、山形県の鍋料理をご紹介。

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山形のソウルフード、地域で味もさまざま。秋には一大イベント「芋煮会」も【山形県】

 里芋の収穫期の秋から冬によく食べられている郷土料理の1つ。「芋煮会」といって河原に鍋や材料を持ち込み、家族や友人などと一緒につくるほか、各家庭でも食べられている。その発祥は1600年代半ばともいわれ、舟の船頭たちが船着場近くの里芋の名産地・小塩集落で手に入れた里芋と積み荷の棒ダラなどを鍋で煮て食べていたのがルーツとされる。牛肉を使う地域や豚肉のところ、味付けもしょう油もしくは味噌と、地域によって異なる。

 なお、山形市では毎年秋に、直径6.5mもの大きな鍋と重機で約3万食分を調理するダイナミックな「日本一の芋煮会フェスティバル」が開催されている。

写真提供:日本一の芋煮会フェスティバル協議会

鍋からうどんをひっぱる雪国山形ならではの楽しみ ~ひっぱりうどん【山形県】~

 山形県内陸地方に伝わる郷土料理。名称には諸説あるが、茹で上げたうどんを鍋のまま食卓に運び、ひっぱり上げて食べることから「ひっぱりうどん」といわれている。発祥は山形県村山市戸沢地区とされる。この地域ではかつて炭焼きを生業としていて冬に山ごもりすることが多く、炭焼きの最中は炭窯から離れられないことから乾麺や自家製の納豆、サバ缶などのあり合わせの材料で簡単に食事をとったのがひっぱりうどんの始まりとされている。現在も好みのつゆにサバ缶や生卵、納豆などと絡めて食べることが多い。

【材料】 うどん(乾麺)、納豆、玉子、ねぎ
しょうゆ・だし汁 各大さじ2(めんつゆでもOK)
サバ缶・かつお節・きざみのり・七味唐辛子(好みで)

【つくり方】
1 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、うどんを茹でる。

2 ねぎはみじん切りにし、大根はすりおろす。

3 器に、納豆、卵、ねぎ、大根、かつお節、のり、しょうゆ、だし汁、好みで七味唐辛子を入れてつけだれをつくる。

4 茹で上がったら、茹で汁は捨てずに鍋のまま食卓へ。鍋から熱々のうどんをすくいながら3につけて食べる。

冬の庄内を代表する「真ダラ」を食べつくす冬の定番鍋 ~どんがら汁【山形県】~

 どんがら汁は、鱈汁、寒鱈汁などとも言われ、山形県庄内地方を代表する鍋料理。冬の庄内地方を代表する魚「真ダラ」をぶつ切りにして、内臓までも豪快に鍋に入れて味わう。もともとは漁師が浜で食べていたのが始まりとされている。「どんがら」とはアラのことで、頭、内臓、骨、ヒレなどの総称。寒鱈は捨てるところがない魚といわれており、頭から尻尾まで余すことなく使うのが特徴で、脂ののったあぶらわた(肝臓)のとろけるような甘さは何とも言えない味わいだ。毎年1月には酒田市や鶴岡市を中心に「寒鱈まつり」が開催され、どんがら汁が振る舞われる。

寒の時期(1月上旬~2月上旬ごろ)に獲れるマダラを寒鱈と呼び、冬の庄内で、誰もが心待ちにする海の幸。

 ほかにも、山の恵みである山菜とキノコをふんだんに使った「山菜鍋」や、酒どころならではの上質な酒かすを利用した「粕汁」など、からだが温まる鍋料理や汁ものが山形県にはたくさんある。鍋を食べに山形県へ出かけてみてはいかが。

文/横澤寛子・水野昌美
※この記事は、田舎暮らしの本 2025年1月号をもとに加筆しています。

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