ボクシング世界戦勝利数&世界戦連続KO勝利ランキング 井上尚弥が記録更新へ前進
歴代9位タイの世界戦24勝目
24日に東京・有明アリーナで行われたプロボクシングの4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチで王者・井上尚弥(31=大橋)がWBO11位キム・イェジュン(32=韓国)に4回2分25秒KO勝ちした。
当初、対戦予定だったIBF・WBO1位サム・グッドマン(オーストラリア)がケガを理由に一度延期した末にキャンセルしたため急遽、代役を務めたキムを寄せつけず、実力差を見せつけるノックアウト。戦績を29戦全勝(26KO)に伸ばしたモンスターがWBCとWBOは4度目、WBAとIBFは3度目の防衛に成功した。
これで世界戦は24勝目(22KO)。1980年代後半から90年代にかけて中量級で「最強」の名を欲しいままにしたフリオ・セサール・チャベス(メキシコ)の歴代最多31勝も見えてきた。
歴代2位には井上がKO勝ちしたオマール・ナルバエス(アルゼンチン)が28勝、3位には最多防衛25度の世界記録を持つジョー・ルイス(アメリカ)と50戦無敗で引退したフロイド・メイウェザー(アメリカ)が26勝で続き、5位には大橋秀行会長が現役時代にKO負けしたリカルド・ロペス(メキシコ)、6階級制覇のオスカー・デラホーヤ(アメリカ)らが25勝で並ぶ。
井上はすでに歴代のレジェンドに肩を並べる域に達しており、引退までに歴代最多記録更新も現実味を帯びてきた。
世界戦24連勝は歴代5位
先述したのは世界戦の通算勝利数だが、連勝に限れば、24連勝の井上はすでに歴代5位。ジョー・ルイスとメイウェザーの歴代最長26連勝も見えている。
今春にラスベガスで開催される見込みの次戦に勝てば、チャベス、ダリウス・ミハエルゾウスキー(ポーランド)に並ぶ歴代3位の世界戦25連勝。長い歴史を誇るボクシングで新たな扉を開くのも時間の問題だ。
ゴロフキンは世界戦18連続KO勝ち
さらに世界戦の22KO勝利はジョー・ルイスに並んで最多タイ。次戦もKO勝ちすれば世界新記録となる。
ただ、世界戦の連続KO勝利となると上には上がいる。井上は今回のKO勝利で世界戦10連続KOとなったが、日本の村田諒太(帝拳)も敗れたゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)はなんと世界戦で18連続KO。2010年8月に1回KOでWBAミドル級王座を奪ってから17連続KO防衛を記録した。
また、井上と同じスーパーバンタム級のため、最近何かと取り上げられることが多いウィルフレド・ゴメス(プエルトリコ)は世界戦14連続KO。1977年にWBCスーパーバンタム級王座を獲得して以降、日本のロイヤル小林を含む世界の強豪を倒しまくった。
1981年にベルトを保持したまま、1階級上のWBCフェザー級王者サルバドール・サンチェス(メキシコ)に挑んで8回TKO負けしたため連続KOは途絶えたが、その後も17連続KO防衛まで記録を伸ばした。ゴロフキンとゴメスの持つ17連続KO防衛は、現在も世界記録となっている。
井上vs中谷が実現すればゴメスvsサラテの再来
ゴメスは1978年10月の6度目の防衛戦で、1階級下のWBCバンタム級王者だったカルロス・サラテ(メキシコ)に5回TKO勝ちしている。当時25勝(25KO)無敗1分けだったゴメスと、55戦全勝(53KO)だったサラテの対戦は「史上最高のKOキング対決」として世界中の注目を集めた。
井上と中谷潤人(M.T)の対戦が実現すれば、ゴメスvsサラテの当時の状況とそっくりではないか。中谷は1階級下のWBCバンタム級王者で29戦全勝(22KO)。ともに無敗のハードパンチャー同士で、井上がグッドマンやピカソ、アフマダリエフと戦うより盛り上がることは間違いない。
井上は今後、ラスベガスやサウジアラビアでスーパーファイトのリングに上がる。しかし、ボクシングで重要なのは、どこで戦うかではなく、誰と戦うかだ。ファンが待ち望む中谷戦はぜひとも実現してほしい。
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記事:SPAIA編集部