強いこだわり、パニックの多かった中2自閉症娘。小2から通う放課後等デイサービスで学んだことは
監修:藤井明子
小児科専門医 /小児神経専門医/てんかん専門医/どんぐり発達クリニック院長
ASD(自閉スペクトラム症)の娘は小学2年生から放課後等デイサービスを利用しています
小学2年生から放課後等デイサービスを利用している娘。
中学生になってから、勉強や部活で忙しくなり、長い休み期間(夏休み)などに、数日しか通えなくなりましたが、娘は今も放課後等デイサービスで過ごす時間が大好きです。娘は、ここで多くのことを学びました。
放課後等デイサービスには、いろいろな子がいます。
学校で、強いこだわりやパニックを起こし、周りに合わせてもらい、特別扱いが多い娘ですが、放課後等デイサービスでは、娘のような個性を持った子たちがたくさんいるため、誰も特別ではありません。自分に譲れないこだわりがあるように、周りにもこだわりを持った子がいます。
みんな、こだわる行動には理由があるということを周りの子から学び、周りの子を見て、自分のことを客観的に見ることができるようになりました。
中学生になった娘の放課後等デイサービスでの過ごし方は……
中学生になってからは、すっかりお姉さんポジションになり、小さい子たちに合わせることが多くなった娘。小学生の子たちと一緒に遊ぶのは、楽しいのですが、長時間だと疲れてしまうそうです。
そんな時は、先生方が考慮してくれ、離れた部屋や1人になれる場所を用意してくれ、静かに過ごせるようにしてくれます。
娘が小学2年生の時からずっと同じ先生が見てくれているため、娘のことはよく理解してもらっています。
どう声をかけたらいいか、どう接したらいいか、どんなことが好きか……中学生になって、こだわりやパニックがある程度落ち着いても、配慮は変わらず温かいです。
今の娘があるのも、放課後等デイサービスで過ごした時間があるからだと思っています。
親の私では、教えることができなかったことを、周りの先生や友達から学ぶことができた娘。あの時、放課後等デイサービスに通うという判断をして、本当に良かったと思っています。
執筆/SAKURA
(監修:藤井先生より)
放課後等デイサービスを利用することで、先生がSST(ソーシャルスキルトレーニング)を行ってくれていた様子が伝わってきました。放課後等デイサービスでは何をしているのか、利用したほうが良いのかと、相談を受けることがあります。利用者が多く、空きがない現状もありますが、学校や家とは違った場所で、お子さんのペースを大切に必要なスキルを少しずつ身につけられる場所があるのはとても大切かと思います。パニックやこだわりがあっても、対処法を一緒に考えてくれる場所があるという安心感が娘さんの成長につながったのだと思います。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。