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ジュビロ磐田、”鬼門”のアウェー鳥栖戦。”ゲームチェンジャー”の存在が鍵に

アットエス

ジュビロ磐田は現在7位。昇格プレーオフ圏内の6位・ベガルタ仙台とは勝点1差、5位・RB大宮アルディージャまでも2差となっている。運命の最終節で、逆転のプレーオフ入りを果たすための前提条件が、目の前の鳥栖に勝つこと。その上で、大宮がレノファ山口に敗れるか、仙台がいわきと引き分け以下であれば、4チームが参加できるプレーオフへ滑り込む。昨シーズンのJ1最終節で、0−3と完敗した鬼門のスタジアムで借りを返し、他会場の結果を待つしかない。

「就任してから、ずっと首の皮一枚が続いている」と苦笑する安間貴義監督は「自力で6位に入れるところを目指していたのが、他力になってしまいましたけど……最終節までかかって、みんなできるところまで努力してくれている。僕たちらしく、最後までしつこく行きます」と言葉に力を込めた。

安間監督が就任してから、ここまで6試合で4勝1分1敗、勝ち点13という成績はフルシーズンで換算したら、リーグ優勝に相当する勝率だ。しかし、昇格を争うライバルもなかなか勝ち点を落としてくれない。そうした中でも、希望をつなげてきたのが“途中出場組”の活躍だ。6試合でチームは9得点しているが、その内訳は前半が3点、後半が6点。交代選手が試合の流れを変える”ゲームチェンジャー”として、または試合を決め切る”ジョーカー”としての役割をしっかりと果たしていることが、こうした数字にも顕著に出ている。

例えば2−2で引き分けた前節のモンテディオ山形戦も、後半スタートから投入されたマテウス・ペイショットが1−1の同点弾。アシストは途中出場の川﨑一輝だった。そこから押せ押せで逆転勝利を目指したが、一発のカウンターから再び勝ち越しのゴールを許し、磐田は絶体絶命の危機に陥った。そこからチームを救ったのは川﨑、井上潮音とともに”3枚替え”で途中投入されていた角昂志郎だった。

ゴール前に守備を固める山形に対して、セカンドボールを拾った井上からボールを受けた角は、相手GKの頭を越えるクロスボールを上げる。そこにセンターバックから攻め上がっていたヤン・ファンデンベルフが飛び込んで、会心のヘッドを叩き込んだ。「彼らのクオリティもスタメンと変わらないものを持ってますけど、そこの気持ちをピッチに持ち込んでくれる。そういう姿勢で戦ってくれるというのは今まで、自分の経験でも無かったので。本当に素晴らしいチームだと思います」とファンデンベルフ。彼自身はスタートから出ていたが、角のアシストに感謝を表しながら”ゲームチェンジャー”の存在が、いかに大きいかを語った。

4度のW杯を経験するなど、百戦錬磨のキャリアを持つキャプテンのGK川島永嗣も、こうした状況で鍵を握るのは、これまであまり出番が無かった選手や、途中交代で入ってくる選手たちだと、その重要性を強調する。「そういう選手が最後の最後、結果を残してくれるチームは強い。今、そういう流れは来ているし、僕はもう(プレーオフを含めて)残り3試合と思って考えているので。何があるか分からない中で、ここからまた、そういう選手が活躍するのが、一番理想的ではあるかなと思います」と川島。もちろん、スタートから出ている選手たちが試合のベースを作っていくが、試合を決める交代選手の存在抜きに、磐田の勝利はなし得ない。

山形戦では5枚目のカードとして、終盤に投入された川合徳孟も「一番は流れを変えられる選手になれば、途中から出るというのを考えた時に、一番大事なことだと思う。もちろん前半で点が取れれば一番いいですが、後半に出る選手が流れを変えて点が取れればいいかなと思います」と語る。ゲームを組み立てる能力も備える川合だが、U-22日本代表の10番は相手のゴール前に密集を作られても、それを破れるクオリティと積極性を持ち合わせる。

ここに来て、心強い選手たちもコンディションを上げてきている。為田大貴は3-5-2であれば、左右のウイングバックをこなすことができ、チームが勝っていても負けていても、同点でも、時間帯や状況に応じたプレー選択をしていける。安間監督、サイドにいながらそうしたバランスワークができる為田の復調を頼もしく感じているようだ。アキレス腱の負傷で、しばらくピッチから遠ざかっていたグスタボ・シルバも、この最終局面での復帰が期待される。もちろん、ここ3試合ベンチから出番の無い佐藤凌我のような選手に、チームを救うチャンスが巡ってくるかもしれない。

「大きい目線で行くと、日本のサッカーにとって、2部のリーグがこれだけ拮抗してレベルが高いというのは良いことだと思います」と川島は語るが、そうしたギリギリの戦いを乗り越えて、目標を掴むことができれば、磐田はチームとして強くなれる。そのためにスタートから出る選手も、途中から流れを変える選手も、総力戦で鳥栖に勝ちに行く。その結果、プレーオフに行けるかは他会場の結果次第だが、自分たちができることをやり切って、朗報を待つしかない。(文:サッカージャーナリスト河治良幸) 

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