魚を知っているからこその美味!「どんこ汁」「じふ煮」「タラ汁」漁師町ならではのご当地鍋を紹介
漁が盛んな漁師町には、その土地ならではの鍋料理があります。今回は、なかなか味わうことができない魚のすき焼き「じふ煮」、グロテスクな見た目だが味は抜群の「どんこ」を使った「どんこ汁」、スケソウダラを丸ごと使う「タラ汁」をつくり方とともに紹介します。魚のおいしさを存分に味わってください。
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漁師町ならではの魚のすき焼き 「じふ煮」【三重県】
「じふ煮」は一般的に魚すきとか沖すきなどと呼ばれ、魚介類や野菜、その他多くの種類の材料を薄めの煮汁で煮る鍋料理のこと。漁師まちではポピュラーな料理である。東紀州地域では熊野灘の豊かな漁場で揚がったそのときどきの新鮮な魚を野菜とともにしょう油仕立てですき焼き風につくり、食べるメンバーがいくら増えても手軽に分かち合える料理として生まれたといわれる。この地域では、大勢で楽しく食卓を囲む際の定番料理となっている。
「じふ煮」のつくり方
【材料】とりたての背の青い魚(サンマ・サバ・ボラ、コガツオなど)、白菜やネギなど季節の野菜、豆腐、糸こんにゃく、きのこ類
【つくり方】
1 魚はひと口大に切り、ほかの材料もすき焼き風に適度な大きさに切る。
2 鍋に調味料を入れて煮て、煮汁をつくる。
3 2の煮汁に各材料を入れ、すき焼きと同じ要領で煮る。魚は野菜類がほぼ煮えてから入れる。
4 沸騰したらアクをとる。
5 好みで割りほぐした卵をつけながらいただく。
見た目よりも味!「どんこ」を肝まで味わい尽くす! 「どんこ汁」【岩手県】
「どんこ」とは、正式名称・エゾアイナメのこと。三陸沿岸で獲れる冬の魚で、見た目は少しグロテスクだが、上品な味わいの白身が特徴。冬になると身が締まり、味噌仕立てのどんこ汁として味わえる。「肝が命」といわれるほどに肝は濃厚なうえ、どんこは産後の肥立ちによいとされ、体力回復の料理として食べられてきた。汁物以外にも、たたき、なます、塩焼き、干物、田楽などでも食される。
「どんこ汁」のつくり方
【材料】(4人分)
どんこ2尾、大根80g、人参60g、豆腐1丁、じゃがいも2ケ、ねぎ1本、味噌 適量
【つくり方】
1 大根、人参は大きめのささがきにし、じゃがいもは薄めに切る。ネギは斜め切りにする。
2 鍋に水を入れて、野菜類を煮る。
3 どんこは薄い塩水で洗ってぬめりを取り、こけらを落としぶつ切りにしておく。肝臓は捨てないで取っておく。
4 野菜類がだいたい煮えたら、どんこの切り身と肝臓を入れて静かに煮込む。
5 食べやすく切った豆腐を加える。
6 味噌で調味し、ネギを加える。
富山や新潟の定番! タラを豪快に味わう 「タラ汁」【新潟県・富山県】
写真提供:朝日町観光協会
スケソウダラ漁が盛んに行われていた新潟県佐渡市(さどし)と富山県朝日町(あさひまち)。いずれの漁師町でも、タラ汁が親しまれてきた。スケソウダラを丸ごとぶつ切りにして、ネギ、豆腐などとともに味噌と煮込む。仕上げに味噌を入れたり、肝や白子、真子も入れて煮込んだりなど、つくり方は地域や家庭によって微妙に異なる。漁師飯であるタラ汁が名物となり、富山県にはタラ汁を提供する店が立ち並ぶ「たら汁街道」もある。
「たら汁」のつくり方
【材料】(4人分)
たら 2匹
ごぼう 適量
水 4カップ
みそ 80g
【つくり方】
1 タラのはらわたを取り出しぶつ切りにする。こぎも(肝臓)は別にとっておく。
2 ごぼうはささがきにし、水に入れてアクを抜く。
3 鍋に水を入れて火にかける。
4 沸騰したら、味噌を分量の2/3入れ、タラの身とこぎもを入れる。
5 煮たったら、アクを取り除きながら煮る。
6 タラの身が白くなったところで、残りの味噌とごぼうを入れて鍋のふたをし、火を止める。
文/横澤寛子