地球最強の毒って?毒の強さの判断基準とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話】
地球上最強の毒って?毒の強さの判断基準とは
毒の強さをあらわす指標がある
毒には多くの種類があり、それぞれ効き目も異なっています。そんな毒の強さをわかりやすくあらわすための指標に、「LD₅₀(半数致死量)」というものがあります。毒をどれくらい摂取すればその半数が死に至るのかの推定値のことです。これは、一般に、実験動物に毒を少しずつ量を増やして与えていってその生死をグラフに示したものから算出されます。その単位は通常「mg/kg」で、体重1kgあたりの毒の重量です。この数値が小さいほど、少量で多大な効き目があるため、毒が強いといえるのです。
特に、地上で最強の毒を持つとされるのがボツリヌス菌です。これがつくるボツリヌストキシンAという毒素の推定LD₅₀は0.0000011mg/kgで、人間だと1gで1500万人以上もの人々が死に至る危険性があるほどの威力があります。身近なものとしては、ハチミツなどにごく少量の菌が入っていることもありますが、もし摂取しても、大人であれば腸内の細菌のおかげでボツリヌス菌が増えにくいため、通常、特に悪影響はありません。しかし、赤ちゃんはまだ腸内細菌が活発には働いていないため、摂取するのは危険です。そんな最強のボツリヌストキシンAですが、美容医療ではしわを改善するボトックスという施術に活用されています。
LD₅₀の見方
青酸カリのLD₅₀の場合
LD₅₀=10 mg/kg (ラット、経口)
・10 mg/kg:体重1kg あたりの死に至る毒の重量
・ラット:LD₅₀を出す実験で毒を投与した動物の種類
・経口:毒を投与した方法
この場合、100匹のラットに体重1kg あたり10mg の青酸カリを経口投与したところ、その半数の50匹が死亡する可能性があるという意味になる。
最強の毒をつくる「ボツリヌス菌」
ボツリヌス菌は酸素が苦手。普段は酸素のないところに潜伏し、増殖する。
美容医療では、筋肉の緊張を和らげてしわを改善するボトックスという施術に活用される。
ボツリヌス菌がつくる毒素、ボツリヌストキシンA のLD₅₀は0.0000011mg/kg で、この世界にある毒性のなかで最も毒性が強いとされる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 毒の話』監修:船山 信次