夫に先立たれた90歳のおばー。コロナ禍の「寂しさ」を経験して、SNSを続ける理由
沖縄最北端の国頭村で暮らすおばーこと大田 吉子さんは、1934年生まれの御年90歳。夫である孝全さんは2023年に亡くなられたそうですが、外に出て村人に話しかければ寂しく感じる時間もありません。そんなおばーの元気の秘訣は、「とにかく喋ること」と、「毎日のウォーキング」。毎日のラジオ体操も欠かしません。そんなおばーの元気の秘訣や何気ない日常、おばーなりの生き方をご紹介しているのが書籍『90歳のおばーのゴキゲンなひとり暮らし 孤独を吹き飛ばして幸せに生きるヒケツ』(KADOKAWA)。おばーの穏やかで満ち足りた生活をぜひお楽しみください。
※本記事は大田 吉子著の書籍『90歳のおばーのゴキゲンなひとり暮らし 孤独を吹き飛ばして幸せに生きるヒケツ』から一部抜粋・編集しました。
コロナ禍で「寂しさ」を感じておばーが思うこと
私の人生の目標は「世界中のみんなに笑顔で一日を過ごしてもらう」ことです。
どうせ生きるなら、誰もが楽しい毎日を送ってほしいですから。
孫とTikTokとやらを始めてしばらくして、新型コロナウイルス感染症という病気が世界中で流行りだしました。
特に私のような老人には危険だとかで、病気が感染しないよう、村では人の行き来が減り、ずいぶん寂しい思いをいたしました。
きっとあのときは、世界中の多くの人が同じ気持ちだったのでしょう。
近所に住む孫の浩之と一緒に食べていた夕食も別々にするようになり、それまで昼間にふらっと訪ねて来てくれた近所の人たちも、家に上がるのを控えるようになりました。
私はいつも多くの人に囲まれていましたから、大人になってからは幸いに孤独を感じることはありませんでした。
けれど、あのときは「ああ、これが寂しいということか」と、戦争以来久々に思い出した気分でございました。
だから、この世界のどこかに「寂しい」という気持ちを抱えている人がいるなら、おばーの動画やら写真やらをインターネットで見て、一瞬でもそれを忘れてもらいたい。笑顔になってもらいたい。今はそんな気持ちです。
黒染めを孫にやってもらいました。ブラシを手だとかん違いして、「手でやっているの?」と聞いてしまいました。
もし、家族がいない人や大切な家族を亡くした人が見ていてくれるなら、私のことを自分の本当のおばーだと思ってもらったってかまわないんですから。
おばーが大声で笑ったり楽しそうに遊んだりしている動画や写真を見てくれた人たちが、元気が出て人生が明るくなってくれたら最高です。
なにより私自身、撮影と理由をつけてうちのかわいい孫やひ孫たちと一緒に遊びに行けるのがうれしいので、これからもTikTokを続けていきたいと思っているんですよ。
おばーの動画や写真で、みんなに笑顔になってほしいね。