汚染された土は「汚染土」? 「除染土」?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、12月26日の放送に調査報道記者の日野行介が出演。福島第一原発事故をめぐる、土に関する問題について語った。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「原発問題について毎回、報道だけではわからない情報を届けてくれる、まさに調査報道記者の日野さんです。きょうは除染作業、原発事故の後始末で発生した、土に関する問題について解説をお願いします」
長野智子「汚染された土ですよね」
日野行介「いろいろ経緯がありまして。皆さん憶えていますかね、除染って福島原発事故が起きて、放射能がついた地表をはぎ取ると。土木作業で、はぎ取って、それをフレコンバッグという袋に入れて積み重ねて。『ピラミッド』なんて言われました。土はどこに行ったのかというと、福島第一原発の周りにある中間貯蔵施設に2015年から持ち込まれています」
長野「はい」
日野「持っていった土をどうするか。そこで『汚染土の再利用』の話が出てくるんです。まずは呼び名の問題から。原発事故の問題で往々にしてあるんですけど、なんと呼ぶかによってハレーションが起きる。なかなか話しにくいですよね。汚染水か処理水か、など」
長野「はい」
日野「今回『後始末で発生した土』という言い方をしています。呼び名が3つありまして。私、2016年にこの問題を最初に毎日新聞で報道したんですね。そのとき『汚染土』と書きました。最近は報道でも『除染土』、環境省は『除去土壌』という言い方をします」
長野「除去土壌」
日野「私も2016年、最初に報道するとき『除染土』と書いたんです。でも記事を載せる日に社内の別の部のデスクから『除染土だと汚染、放射能を取り除いたきれいな土という、あべこべの意味になるのでは』と。ストンと落ちて。そこからは『汚染土』という言い方をしています。最近『除染土』という使い方をしているところはどういう意味だろう、と」
長野「除染された土、ということですかね」
日野「あべこべの意味になると考えて使っているんでしょうか。『除去土壌』は論外です。埋め返した土、というだけで、なんの意味も成していない。だから私は『汚染土』と言います。汚染を騒ぎ立てる、ということではなく、実態を最も的確に表したのが『汚染土』」
長野「中間貯蔵施設、という言い方も当時『何それ』と思って。県外に持っていくかどうかも決まらない」
日野「裏舞台を言うと最初、国は処分場として2011年から水面下で、福島県と環境省と交渉している。最終処分場として受け入れを求めた、でも福島県は最終処分場としては受け入れられない。そうしないでくれ、と。結果、妥協なのかなんなのか。今後歴史が証明することになるでしょうけど、それで中間貯蔵。『これは最終処分場じゃないよ』と」
鈴木「一時的に置いているだけで」
日野「本当に最終処分場ではないのか、というところで福島県をはじめ国民の、原発事故に一定の関心を持つ人は懐疑的に思っているのではないか、という気がしますね」
このあとも土に関する問題について日野が解説した。