春季高校野球静岡県大会予選で公立進学校が躍進!藤枝東が常葉大橘にサヨナラ。焼津中央、磐田南も強豪撃破「連打の後の打率は上がる?」
3月20日に開幕した春季高校野球静岡県大会予選で、進学校旋風が巻き起こっている。
磐田南は20日の初戦で浜松開誠館を7−0、7回コールドで破り、23日の代表決定戦で湖西に6−2で勝って県大会出場を決めた。22日には焼津中央が藤枝明誠に1−0で競り勝ち、23日は藤枝東が常葉大橘に6−5でサヨナラ勝ち。公立進学校が甲子園出場経験のある強豪私学を次々に撃破している。
藤枝東、5点差を終盤に挽回
23日に草薙球場で行われた常葉大橘―藤枝東。橘の先発は大会屈指の左腕、秋山創大投手だった。五回までに橘が5−0とリードを広げ、藤枝東打線は秋山投手を打ちあぐね、前半で試合は決まったかに思われた。
ところが六回に秋山投手が四球で崩れ始めると、藤枝東打線は七回、2四球、2敵失に4安打を絡めて一気に同点に。勢いをそのままに九回、敵失で出た走者を送り2死二塁とすると、狩野拓真主将が右前にサヨナラ打を放った。
藤枝東の大石泰広監督は「橘さんはファーストストライクから打ってくるしスチールもしてくる。対策してきたが(攻撃力は)それ以上だった。序盤は点を取られたけれど、選手が粘り強く終盤に持ち味を発揮してくれた。これまでは同点までいっても勝ち越せない、あと一歩の試合が多かったが、今年の子たちは絶対に諦めない」と、5点差を挽回した選手の粘りをたたえた。
連打の後は打率が上がる?
その粘りの裏にはある“根拠”があった。藤枝東は昨年から「高校生野球科学研究発表会」(一般社団法人野球まなびラボ主催)に参加。数学が得意な狩野主将は2月に「野球に流れは存在するのか」をテーマに発表した。「大量得点の時、連打がおかしいくらい続くことがある。数値的に本当にそうなのかを確かめたかった」と言う。
昨夏の全国高校野球選手権静岡大会の全試合をサンプルにして部員で手分けしてエクセルにデータを打ち込み、2連打の後の3人目の打率が上がるかどうかを数値化した。その結果、2分ほど打率が上がることが実証されたという。
その結果を受けて、実戦で連打が出た際に思い切り良く攻められるようになり、橘戦での七回の一挙4点の攻撃にもつながった。狩野主将は「攻撃では(連打の時は)プラスの気持ちを持って臨める。守備ではビッグイニングを作られないように、タイムを取るなど安易に攻めないように心がけている」。目標の県大会出場へ、あと1勝だ。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
【取材こぼれ話】昨春の低反発バット導入の際、スモールベースボールが主流となり、各チームの力の差が縮まるのではという意見が多く出ました。進学校が「頭を使った野球」に勝機を見いだすことも予想されていました。
藤枝東の主将で捕手の狩野選手は「長打が減り、正面の当たりが増えた。新規格バット導入の影響がないわけではないと思う」と言い、さらに「夏から出ている(常葉大橘の)バッターは映像で研究して攻め方を決めていた」と明かします。新規格バットの導入とデータ野球の隆盛が、進学校にとって優位に働いているようです。