【靴下は洗濯機に入れてね】叱らず、子どもにうまく伝わる言葉
子どもに何度言っても伝わらない時は、子どもに原因があるのではなく、親の言い方に問題があるのかもしれません。
少し表現を変えるだけで、子どもは理解して行動してくれるようになるそうです。
教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。
子どもがよくない行動をした時、否定的かつ感情的に叱ったり(叱責)、おどして動かそうとしたり(脅迫)する保護者もいるかと思います。
「○○しちゃダメでしょ。何度言ったらわかるの!」(叱責)
「どうして○○なの?! ○○しなきゃダメでしょ」(疑問)(叱責)
「○○しないと□□だよ」(脅迫)
こういう言い方をされると、子どもは素直な気持ちで聞けなくなります。
それが度重なると、「自分は親に愛されていないかも」という愛情不足感も出てきて、ますます素直になれなくなります。
そして、必要以上に反抗的になってしまいます。
同時に、いつもこういう言い方をされていると、子どもは「自分はダメな子だ。自分にはできない。がんばれない」と感じるようになります。
自分に自信がなくなり自己肯定感が持てなくなるので、ますます色々なことができなくなっていきます。
ですから、叱ったり脅したりしないで、次のような形で上手に気持ちよく伝えることが大切です。
「○○しよう」(単純指示)
「○○だから□□しよう」(理由つき)
「○○すると□□できるよ」(プラスイメージ)
「○○してくれるとうれしい」(感謝)
しかも、どうすればいいのかがわかるように「具体的」な指示を含めて言います。
「お菓子の袋、こんなところに捨てちゃダメでしょ」
(叱責)(抽象的)
↓
「お菓子の袋はゴミ箱に捨ててね」
(単純指示)(具体的)
※「こんなところ」は抽象的な言い方なので、子どもにはうまく伝わりません。やって欲しい行動を具体的に示すことが必要です。
「靴下を玄関に脱ぎっぱなしじゃダメでしょ」
(叱責)
↓
「靴下は洗濯機に入れよう」
(単純指示)(具体的)
「靴下を洗濯機に入れてくれると、洗い忘れなくて済むよ」
(プラスイメージ)(具体的)
「靴下を洗濯機に入れてくれると助かるよ」
(感謝)(具体的)
※「洗濯機に入れて」と具体的に伝えることが大切です。
(子どもが襖を叩いていて、注意してもやめないとき)
「なんですぐやめないの! 泣いてもダメだからね」
(疑問)(脅迫)
↓
「襖を叩くと破れてしまうからやめよう」
(単純指示)(理由)
※なぜやめるべきなのかという理由を示すことが大切です。子どもは意外と理由がわかっていないことがあるからです。
(給食袋の中身がぐちゃぐちゃのとき)
「なんでこんなにきたないの。ちゃんと袋に入れなきゃダメでしょ」
(疑問)(叱責)(抽象的)
↓
「お箸は箸箱に入れてから袋に入れて。布巾は2回折りたたもう」
(単純指示)(具体的)
「お箸は箸箱に入れておくと汚れないよ」
(具体的)(プラスイメージ)
「布巾をたたんでくれるとうれしいな」
(感謝)
「明日の仕度してないでしょ。また忘れ物しても知らないよ」
(叱責)(抽象的)
↓
「明日の仕度したら見せて。合格したら夕食。今日は大好きなカレーだよ」
(具体的)(プラスイメージ)
「横入りはダメでしょ。そんなずるいことは許しませんよ」
(叱責)(抽象的)
↓
「ここに並んでいれば順番が来るよ」
(具体的)(プラスイメージ)
(子どもがいるところに車が近寄ってきたとき)
「何やってるの。危ないでしょ」
(叱責)(抽象的)(疑問)
↓
「車が来たから動かないで」
(理由)(具体的)
※緊急事態に「何やってるの。危ないでしょ」などと叱ると、子どもが思いがけない行動に出て、かえって危なくなることがあります。
「車が来たから動かないで」というように、安全を確保する方法を具体的に指示することが必要です。
「なんで挨拶もできないの? ちゃんと挨拶しなきゃダメでしょ」
(疑問)(叱責)
↓
「おはようって言ってみようか」
(単純指示)(具体的)
「早く着替えなきゃダメでしょ。あんただけおいてくよ」
(叱責)(脅迫)
↓
「長い針が6に来るまでに着替え終わろう。早く行けばばあばの家で遊べるよ」
(具体的)(プラスイメージ)
いかがでしたか? 同じような言葉でも、聞く側の子どもからすると、随分と印象が違うかもしれません。一度試してみてくださいね。