石破茂「金融所得課税を強化し格差是正」 財政規律ではいつまでも不景気が終わらない
9月3日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、石破茂氏の「金融所得課税強化」発言について意見を交わした。
石破さんは昔から『清算主義』に捉われている!
自民党の石破茂・元幹事長は、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、株式の売却益などへの金融所得課税の強化について「実行したい」と述べ、格差是正重視の姿勢を強調した。
株式の配当や売買にかかる金融所得課税を巡っては、首相が前回の2021年総裁選で格差是正の一環として「見直し」を公約に盛り込み、税率引き上げに前向きな発言をしていた。首相が総裁選で勝った後に株価が下落したのはこれが一因だとの指摘が相次ぎ、首相も「当面は触ることは考えていない」と軌道修正した。
金融所得課税は一律20%で、累進制でないため高所得者の恩恵が大きい。首相は年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる「1億円の壁」を問題視し、金融所得課税の見直しを主張していた。
(寺島アナ)「石破氏は岸田総理の課税強化策を“後退した”と指摘していますが、田中さんはどうご覧になりますか?」
(田中氏)「岸田政権の方針は“貯蓄から投資へ”っていうことでしたよね。この金融所得課税の強化は、明らかに岸田政権の政策と矛盾する形です。そして株価の下落もあって、岸田さんは当分手を付けないと。石破さんの言っていることを総合すると、緊縮政策ですよね?日銀は利上げが良く、財政は財政規律を重視するので、政府からお金を出さないのと同じです。そのなかで金融所得課税を強化するってことは、簡単に言うと“貯蓄から投資”っていう路線は否定するってことです」
田中氏は石破氏が掲げる財政規律の問題点を指摘。
(田中氏)「経済を拡大するよりも、金融所得で得をしている人から政府を経由して低所得者層にお金が回ってくるわけでは無いと思います。それが政府からお金を出さない財政規律ってことですから。そうなると課税収入は“国債の償還”とか馬鹿げたところに行くと思うんですが、それが石破さんが目指している財政規律路線。専門的に言うと『清算主義』と言って、景気が十分に回復していない段階で財政政策のお金の出どころを絞って、政府は緊縮に回る。だからいつまで経っても不景気が終わらないんです。ただ、清算主義の人たちはそれで中小企業や怠けている労働者をスキルアップさせたいんです。“経済全体を頑張らせるために政府は何もしない方がいい”っていう主張に、石破さんは昔から捉われているんです」
〈出典〉
[深層NEWS]石破茂氏、金融所得課税を強化し格差是正…自民党総裁選へ改めて決意 | (https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240902-OYT1T50144/)
自民党・石破茂氏、金融所得課税の強化「実行したい」 | 日本経済新聞 (https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA02BF80S4A900C2000000/)