渡り鳥が三次市を流れる馬洗川に長期滞在 なぜ県北の地で暮らしている?|地球派宣言
三次市を流れる馬洗川。
豊かな自然に囲まれた水辺では、四季折々の野鳥を見ることができます。
ここに5年ほど前から滞在しているのが、冠のような羽が特徴的な「カンムリカイツブリ」です。
本来は、冬にだけやってくる渡り鳥で、長期間住みつくのは珍しいことなのだそう。
三次市で野鳥の観察をしている新堂雅彦さんは、カンムリカイツブリがやってきたときから見守り続けてきました。
警戒心が強いと言われるカンムリカイツブリ。
新堂さんは、近くで観察するためのコツがあるといいます。
「潜ったときに近づいてみれば良い。向こうは地上が見えないので。」
川の中に潜っている間に、そっと近づいてみると……すぐ目の前に。
カンムリカイツブリは、夏と冬で見た目が異なるのも特徴です。
夏は派手な飾り羽がありますが、冬は、それがなくなり白っぽい姿に。
長く住み続けているため、こうした違いも見ることができます。
観察を続けてきた新堂さんは、貴重な場面に出くわしたこともあるそうです。
「2羽が求愛行動を始めて、動画を撮った。感動の一言。もう一生見ることはないと思う。
街中で求愛活動をすること自体が珍しい。
メスが最初に首を振る。それに同調するようにしてオスが首を振る。それでメスが気に入ったらペアになる。残念ながら離れていった。
メスが主導権を握っているので、気に入らなかったんだと思う。」
しかしなぜ、渡り鳥であるはずのカンムリカイツブリが県北の地で暮らしているのでしょうか?
新堂さんは「温暖化で、県北の地でも淡水魚がたくさんいて獲れるからだと思う。」と話します。
「あと何年滞在するかはわかりませんが、自然環境が保護されないとよそへ移動する可能性が高い。なので、生態系の全体、生物の多様性ということで、皆さんに知っていただければ、水鳥も増えてくると思う。
野鳥たちと共生できていく三次でありたい。」
広島ホームテレビ『ピタニュー』
地球派宣言コーナー(2025年1月15日放送)