苦手な人への接し方には様々な方法がある。ストレスの溜まらない接し方を身につけよう【心の不調がみるみるよくなる本】
苦手な人には、どう接すればいい?
社会生活では、気が合う人とだけ付き合えばいいというわけにはいきません。苦手な人と接するときは、どのように対処すればよいのでしょうか。
苦手な感情はそのままでもいい
人は「自分の力でどうにもならないもの」に対して強いストレスを感じます。「他人」はその代表例といえるでしょう。親しく付き合う友人は、自分の好みで選ぶこともできますが、職場や取引先など、どうしてもかかわらなければならない人に対して苦手意識があると、ストレスを感じてしまいます。
あくまで仕事だけの関係であれば、業務上のトラブルがないようにすることだけ、心がけていればよいかもしれません。直接話すのが苦手なのであれば、メールでのやりとりを増やすといった方法もあります。
特定の人に対する「苦手」「嫌い」といった意識はそのままでも大丈夫です。そもそも他人との付き合い方を変えるには、自分が変わること以外にできることはありません。ただしそれにも限界があります。結果的に自分の心を傷つけることがないようにすることが大切です。それでも「できることなら、苦手な人と少しでも円滑なコミュニケーションをとりたい」と思う場合は、いくつか方法があります。
人に対する知覚を心理学用語では「対人認知」と呼びます。人以外の事物に対する認知とは異なった特徴がいくつもあるため、これまで対人認知に関するさまざまな実験や研究が行われてきました。
心理学的アプローチを試してみよう
苦手な人にいきなり話しかけるのは難しいかもしれないので、まずは目が合ったら笑顔で会釈をする、あいさつをするといった行動を増やすことをおすすめします。
これは、他者からの好意や敬意を受けると、相手に対しても好意を感じやすくなる「好意の互恵性」と、接触回数が増えることで不快な状態が解消される「単純接触効果」を組み合わせた心理学的アプローチです。「ありがとう」「おめでとう」「すごい」などの感謝や賞賛の短い言葉、「いい天気ですね」といった短い声かけでもよいでしょう。好意を示す回数が多いほど、効果も期待できます。
また、「親近感」や「類似性」も人間関係を良好にします。環境や考え方などに共通点があると親しくなりやすいのですが、そうしたものは時間をかけて話さなければなかなか見つけられません。そういうときは、次のテクニックを試してみましょう。
短いやりとりの際に、①表情、②話し方や声のトーンとスピード、③しぐさや動作、④姿勢――以上の4つを相手に合わせるように心がけてみましょう。もちろん「マネしている」などと思われないよう、なるべくさりげなくやるのがコツです。この方法を「ミラーリング」といいます。初対面のペアによる会話の実験でも、ミラーリングによって相手への好感度が高まることが証明されています。
好感度を上げる3つのテクニック
1【ミラーリング】
会話中に相手の行動やしぐさ、口調などをマネすると、自分に対する相手の好感度が上がるといわれています。
2【クロスオーバーミラーリング】
ミラーリングは相手にマネしていることがバレてしまうと効果はマイナスになります。そのリスクを補うテクニックが、相手がケーキを食べたら自分はドリンクを飲むなど、マネしていることをカモフラージュしつつ類似する動きや行為をするクロスオーバーミラーリングです。
3【ミミッキング】
相手が最後にいった言葉を聞き手が繰り返すことによって、 話者同士の親密度が上がるともいわれています。
ミミッキングも何度もしつこく繰り返すと相手にバレたり、不快感を与えたりするので、2 ~ 3回繰り返したあとはしばらく間を開けるようにしましょう。
CHECK!
「苦手」「嫌い」といった感情を無理に抑える必要はない好感度を高めるテクニックも活用しよう
【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修