セロハンテープで命宿す 荻野悠生さん(南林間)
猫やカニ、蛇、カエル…。セロハンテープを使ってそれらを作り上げるアーティストが大和市にいる。南林間在住の荻野悠生さん(15)だ。
「この猫は新聞紙を芯にして、15個のセロハンテープで作りました」。荻野さんは真剣な表情で創作過程を説明する。
泉の森で見かけた猫から着想を得た後、記憶を頼りにセロハンテープを幾重にも巻き、まるで生きているかのような質感を表現。全体の形ができたら接着剤を塗り固めていく。最後の工程は着色。ニスを混ぜた絵具を塗り終われば、命が宿った作品の完成だ。
着想から完成までは数週間以上。制作途中で納得がいかないと、何度もやり直す。その過程は「苦しさの連続」といい、「だからこそ気安く作り始めてはいけないし、作り始めたら完成させる」というルールを自身に課している。
幼少期から手先が器用で、菓子の空き箱や段ボールで昆虫などの工作を始めた。小学生になるとセロハンテープの良さに気づき、現在の路線に。作品はこれまでに2千以上。その完成度は注目を集め、これまで造形コンテストでの入賞やテレビ出演も多数ある。
この春から高校生となり「アートを仕事にできれば」と将来を見据える荻野さん。「ニーズがあれば数年後に個展を開きたい」というのが当面の目標だ。