根尾昂、藤原恭大、横川凱、柿木蓮…大阪桐蔭「最強世代」の現在地
投手転向も未勝利、背番号30に変更した中日・根尾昂
高校野球は年々レベルが上がっているが、中でも近年で最も強かったチームのひとつが2018年の大阪桐蔭ではないだろうか。史上初となる2度目の春夏連覇を達成した当時の3年生は「最強世代」と呼ばれ、根尾昂、藤原恭大、柿木蓮、横川凱の4人がプロ入りした。
あれから丸6年が経過。少しずつ成長の跡を見せているとはいえ、高校時代の輝きに比べると、4選手ともプロでは苦しんでいると言える。
良くも悪くも話題になるのが中日・根尾昂だ。内野手としてプロ入りしたものの芽が出ず、立浪和義前監督の方針で投手に転向。2022年6月21日に外野手から投手登録に変更された。
それまで投手として練習を積んでいなかったにもかかわらず150キロを超えるストレートを投げ込み、同年7月1日の阪神戦で初ホールドをマークするなど、ポテンシャルの高さを証明。しかし、2023年は一軍で2試合、2024年も3試合に登板しただけで、いまだ未勝利だ。過去6年間の通算成績と2024年の投手成績は下の通りとなっている。
2018年ドラフトでは3球団競合した藤原を上回る4球団競合。両親が医師で、根尾は学業も優秀だったことから愛読書が売れるなど、プロ入り前は話題を独り占めしていた。
しかし、中日入団後は1月の合同自主トレで右ふくらはぎの肉離れを起こし、ウエスタン・リーグ開幕後の4月にはプレー中のケガで戦線離脱するなど苦難続き。ファームで108試合に出場して打率.210、2本塁打に終わり、なんと127三振を喫した。
1年目は一軍で2試合、2年目は9試合出場にとどまり、3年目の2021年5月4日にようやくプロ初本塁打となる満塁弾を放ったが、結局72試合に出場して打率.178とブレイクには至らなかった。
プロ入り当初からショートや外野で起用され、ついには投手転向。「何でもできる」ことが、逆に器用貧乏と言われかねない現状につながっている。
とはいえ、豊かな才能は誰もが認めるところで、球団としても大切な生え抜きのスター候補だ。背番号7から30に変更した2025年は投手として結果を残したい。
新スター候補として期待されるロッテ藤原恭大
4人の中で最もデビューが早かったのはロッテの藤原恭大だ。高卒1年目から「1番・センター」で開幕スタメンに抜擢され、第4打席で初安打を記録する華々しいプロデビューを飾った。
2023年は自己最多の103試合に出場し、2024年はケガもあって74試合出場にとどまったものの打率.290をマーク。今後のさらなる飛躍を期待されている。
1年目は4月7日に二軍落ちし、以降はファーム暮らし。再び一軍に呼ばれることはなく、結局6試合に出場したのみだった。2年目は26試合出場、3年目は78試合、2024年は103試合と徐々に出番を増やした。
高い身体能力と走攻守3拍子揃った野球センスの持ち主。2021年7・8月に打率.348、5本塁打、15打点をマークして月間MVPに輝いた実績もある。2024年6月に一軍復帰してからは2ストライクに追い込まれると切り替えるノーステップ打法で結果を出した。
佐々木朗希のメジャー移籍が決まった2025年は、チームの新たなスター候補としてフル出場を果たしたい。
プロで最初に勝利を挙げた巨人・横川凱
大阪桐蔭からプロ入りした4人のうち、投手として最初に一軍勝利を挙げたのはエースだった柿木蓮ではなく、控え左腕の横川凱だった。
2023年は20試合に登板して4勝を挙げ、身長190センチの「タワーマン」が存在感を発揮。2024年は12試合登板で3勝どまりだったものの、防御率は0.94と優秀だった。
ドラフト4位で巨人に入団すると、1年目は三軍でトレーニングを積み、イースタンで4試合に登板。2年目の2020年11月に初の一軍昇格を果たし、2試合で5.2イニングを投げて被安打4、失点1だった。
3年目の2021年オフに育成契約となり、2022年4月に支配下登録に復帰したが、同年オフに再び育成契約。しかし、2023年3月に支配下復帰すると4月23日のヤクルト戦で初勝利を挙げた。
長身から投げ下ろすストレートとカットボール、フォーク、スライダー、カーブなど変化球を駆使した投球で首脳陣の期待も高い。2025年は飛躍が期待される。
元エース柿木蓮は未勝利のまま引退
高校時代にエースナンバーを背負った柿木蓮はプロで1勝も挙げられないまま、2024年限りでユニフォームを脱いだ。
日本ハムにドラフト5位で入団し、ルーキーイヤーはイースタンで26試合、2勝4敗、防御率8.24。2021年もイースタンで30試合に登板して1勝2敗、防御率6.34と苦しむ日々が続いた。
2022年にようやく初の一軍昇格を果たし、ロッテ藤原とも対戦するなど4試合に登板。しかし、育成契約となった2023年は二軍で33試合に登板、4勝1敗、防御率2.21に終わり、2024年も支配下復帰を果たせず、戦力外となった。
高校卒業後に立教大へ進んだ山田健太は2022年のドラフト候補に挙がっていたが、指名されず日本生命に入社。いまだプロ入りしていない。どちらかと言えば苦境の続く「最強世代」。プロの高い壁にを乗り越え、ポテンシャルを花開かせることができるか。各選手の大いなる飛躍に期待したい。
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記事:SPAIA編集部