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打首獄門同好会、怒髪天、カネヨリマサルがぶつかり合った、『802 Jungle Attack』は過去最高に異色でカオスな夜に

SPICE

『802 Jungle Attack Vol.5』

『802 Jungle Attack Vol.5』2025.4.9(WED)大阪・GORILLA HALL OSAKA

打首獄門同好会、怒髪天、カネヨリマサルが出演したライブイベント『802 Jungle Attack Vol.5』が、4月9日(水)に大阪・GORILLA HALL OSAKAで行われた。

『802 Jungle Attack』は、大阪のラジオ局FM802と大阪・住之江区のライブハウス「ゴリホ」ことGORILLA HALL OSAKA、プレイガイドのイープラスが、新たなライブハウスカルチャーを推進すべく2024年4月に放送を開始した『MUSIC Play-STANDARD』(月〜金曜23:48〜24:00)と連動するオムニバスライブ。第1回はThis is LAST、ビッケブランカ、Mr.ふぉるてが、第2回はフレデリック、Lucky Kilimanjaroらが、第3回はTenTwenty(XIIX)、レトロリロン、Laura day romanceが、第4回はSCANDAL、Conton Candy、ブランデー戦記が、ゴリホを大いに盛り上げた。

第5回となる今回は、事前に3組のフロントマンによるスペシャル座談会も実現するなど(特設ページはこちら:https://spice.eplus.jp/articles/336566)、いつも以上に期待が高まるなか、開場中のBGMも自らセレクトしたというFM802DJ浅井博章が、「今日はいい天気、春爛漫、お花見日和でもありますけど、平日の夜にライブハウスに来てくれてありがとうございます! 5回目にして過去最高にカオスな組み合わせになりました(笑)」と納得の宣言。いよいよ『802 Jungle Attack Vol.5』の幕が切って落とされた!

怒髪天

「始まる前から完璧過ぎる!」と浅井も太鼓判を押すほど仕上がったオーディエンスが、SEの「男祭」とともに拍手で怒髪天を出迎える。初っぱなの「ザ・リローデッド」から熱くシャウトする増子直純(Vo)が、ビシッとリーゼントを決めたくしを客席に放り投げ、「よく来た!」とそのまま「あおっぱな」へ。結成41年のバンドワゴンが、今なおヒリヒリするような重たいビートをかき鳴らす!

MCでは、「我々が自称・怒髪天です」と時事ネタをぶっ込みながら(笑)、「『802 Jungle Attack』の話が来たとき、打首とは仲良いんで念願のという感じで。サポートをしてもらってるアナーキーの寺岡信芳(Ba)さんは65歳でいつもなら最年長なんですけど、今日は打首の姉さん=junko(Ba)がいらっしゃいますから(笑)。ただ、そこにカネヨリマサルが決まって、お客さんにちょっと悪いような得も言われぬ罪悪感というか……迷惑かけちゃうんじゃないかって。うちの坂さん=坂詰克彦(Dr)なんて、カネヨリマサルを男性のシンガーだと思ってたから、楽屋にあいさつに来てくれたときに「女の子!?」ってきょどっちゃって(笑)。本当に今日は楽しみにしてきたんで、よろしく!」(増子、以下同)と、あっという間に場の空気を持っていってしまう。

「ジャカジャーン!ブンブン!ドンドコ!イェー!」で理屈抜きに騒いだ後は、そこにいる全ての人が共に拳と声を上げた「HONKAI」、小細工抜きのエモーションしかない「ド真ん中節」と、静かに、だが確実に胸を突き動かすメッセージの連鎖に心と体が奮い立つ。一方、全身全霊のパフォーマンスで満身創痍の増子は、息も切れ切れにこう語る。

「スリーマンのイベントでここまでやる必要はないと言う人もいるけど、俺は今日初めて怒髪天を見る人に「この程度か」と思われたら悔しくて眠れない。でもこれぐらいやれば、これでダメなら諦めがつく。たいして売れなくても信じた道を40年楽しくやってきたことを、今日は見て感じていただければ。もうちょっとだけお付き合いを。その後は素敵な娘たちと変なバンドを見よう(笑)」

ラストは配信シングル「エリア1020」~鉄板の「オトナノススメ」! 前のめりにフロアに手を伸ばし叫んだ全7曲で、転がり続けるまさかのトップバッターが会場をとことん温めた。

カネヨリマサル

2番手はこの日、唯一の地元・大阪出身となるスリーピースロックバンド、カネヨリマサルだ。屈強の先輩方に囲まれようとも、一発音を鳴らせば彼女たちがなぜここに呼ばれたかが分かる。バンドとしての地力は、1曲目の「ラクダ」から明白だ。あどけない歌声とは裏腹の音圧で迫りくる「はしる、夜」といい、ライブハウスの高揚感を存分に感じさせるアンサンブルは、日々進化を止めることはない。

「私たちを初めて見る人ってどれぐらいいますか……ほぼや(笑)。ありがたいね。浅井さんも言ってたけど、私たちが今日をカオスにしてるよな?(笑) お客さんまでカッコ良くて熱くて、ホンマに素敵なイベントに呼んでもらってありがとうございます! 正直めっちゃドキドキしてます。でも、絶対いい日にして帰ります」とは、いしはらめい(Ba.Cho)。続く「君の恋人になれますように」では、キレのある演奏で清涼感のあるメロディを気持ち良さそうに響かせ、お茶の間にも打って出られるようなポテンシャルを提示。さらには、トリッキーなベースラインが導いた切なきダンスナンバー「ひらりとパーキー」でぶち上げ、今度は、ちとせみな(Vo.Gt)が思いを告げる。

「さっき怒髪天先輩のライブを見て、改めてロックバンドをやっていて良かったなと思いました。安心して年を取れるというか、あんな大人に、バンドになりたいなって。私たちは大阪で10年ちょっとバンドをしてるんですけど、最初は全然うまくいかなくて。ガラガラのライブハウスでずっとやっていた頃から大切にしていた曲を歌います」

今でも問答無用に「もしも」が胸を揺さぶるのは、経験では失われない純度がこの曲にはあるから。ステージを一身に見つめる多くの目線が、そのことを如実に表していた。

「今日の対バンをどんな気持ちでやろうかなと考えて。私たちがやってきたことをありのままに伝えれば、先輩方は、そのファンの方はきっと分かってくれる。そこは『802 Jungle Attack』という通り、安心してぶつかっていこうって。私たちが信じてきた大好きな音楽を大切に、愛を込めてやって帰ります」(ちとせ)と、最後は有言実行の「ガールズユースとディサポイントメント」「ハッピーニューデイ」の2連発! カネヨリマサルが、オムニバスイベントの醍醐味を自らの音楽で証明してみせた。

打首獄門同好会

サウンドチェック中にうまい棒が配られ始め、関係者席でこの原稿を書くために待機中の筆者の元にもサラミ味が届く徹底ぶり(笑)。強烈な重低音で圧倒する「デリシャスティック」で幕を開けた打首獄門同好会は、続けざまの「筋肉マイフレンド」でもすさまじい轟音もろとも全力疾走! 1Fはもちろん2Fのファミリーエリアから浅井博章までがスクワットする(笑)、およそライブでは見ることがない光景を軽々生み出してしまう。

「ほっこりニュース大集合」では、怒髪天の坂詰が愛娘から授業参観中は帽子を脱がないでほしいと懇願された話、カネヨリマサルが広島に向かう途中のサービスエリアで人懐っこい猫と戯れたニュースをご報告。トランプ関税に世界が翻弄される現在、全ての国民の叫びを歌にした「カモン栄一」でも沸きに沸く!

ここで大澤敦史(Gt.Vo)が、「『802 Jungle Attack』、異色のスリーマンでトリを務めさせていただきます。このイベントを仕切っていらっしゃるFM802に、我々は去年末の『RADIO CRAZY 2024』にお呼びいただいたんですけど、メンバーのインフルエンザで病欠してしまいまして……。だから2025年はFM802の言うことはおおむね何でも聞く、頭が上がらない年になっておりますので(笑)、今日も盛り上げていきますよと。だったら、打首の曲でFM802で一番流れている曲をやれば盛り上がるんじゃないか」と提案。

後半戦は、打首調べ(体感)でFM802で最もオンエアされている生きとし生ける者のアンセム「はたらきたくない」を皮切りに、首がもげるほどうなずける人生における理不尽=臨時休業について綴った「どうして」、ゴリホにタオルが舞った「BUNBUN SUIBUN」、「『802 Jungle Attack』とは言いますが、これからそちらにアタックしていくのは海の生き物です(笑)」(大澤)と突入したお魚ラウドロック「島国DNA」と畳み掛け、トドメに日本のソウルミュージック「日本の米は世界一」を投下する怒濤の展開! カオスな一夜を締めくくるにふさわしい最強のクローザー、打首獄門同好会による圧巻の35分間だった。

GORILLA HALL OSAKAのエントランスに設置された巨大な「ゴリラパネル」には、終演後に「またくるよー、はたらきたくないよー」、「怒髪天初、最高に楽しかった!」「カネヨリマサルよかったよ!!」等、ライブの感想や出演アーティストへのメッセージが多数書き込まれ、時には『MUSIC Play-STANDARD』でその内容がピックアップされることも!? なお、4月14日(月)~18日(金)の同番組では、3組への楽屋突撃インタビューやライブ音源がオンエアされる。

取材・文=奥“ボウイ”昌史 写真=FM802提供(撮影:渡邉一生)

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