葉山、逗子、横須賀にまたがる二子山山系でイノシシ 捕獲累計550頭超え 人的被害も発生
葉山町、逗子市、横須賀市にまたがる二子山山系で2013年頃から確認されているイノシシ。農業被害も出ており、「葉山町鳥獣被害対策実施隊」などによる捕獲活動が行われる中で、9月5日に累計で550頭目が捕獲された。24年度になってから29頭目。葉山町堀内の木の下交差点近くの民家の裏でわなにかかった。
同隊の副隊長を務める三井修さん(65)によれば、最近は堀内や一色の住宅街にも出没し、庭が荒らされる被害が報告されているという。実施隊は修行中のメンバーも含め実働約45人。約300のわなを山中に仕掛けて奮闘するが、1年間に約100頭は生まれていると予想され、駆除数が追い付かない状況だ。三井さんは「実施隊も高齢者が多く、対応が厳しい。若いメンバーを増やすことで活性化を図り、捕獲数を増やしていきたい」と意気込む。
格闘15分
危惧されていたイノシシによる人的被害も発生した。
堀内在住の大学生、三木良太さん(21)は7月3日、南郷上ノ山公園でランニング中、二子山頂上付近で体長90センチメートルほどのイノシシと遭遇した。繁みから出てきたイノシシとの距離は約10メートル。出くわしたときの対処法も勉強していた三木さん。目を合わせたまま後ずさりして離れようとしたが、突進してきて一瞬で距離を詰められたという。とっさに左手でイノシシの目を抑え、右手で鼻の上部を掴み、右方向にいなそうとしたが、振り切れず約10分の膠着状態が続いた。反撃を試み、鼻の穴に指を入れて力いっぱい握るとイノシシは「キー」と悲鳴を上げた。その状態が5分ほど続き、ようやくイノシシは逃げていったという。
三木さんは幸い傷は負わなかったものの、右肩の筋が違ったように痛み、当日の夜は寝付けなかったそうだ。「今回はぶつかることになったが、本来、突進を防げればけがもしないですむので、ゆっくり後ろに下がってください」とアドバイスを送る。