JFLからはい上がってきた藤枝MYFCの松木駿之介が勇気をもらっていた元日本代表FWのプレーとは…「愚直にやり続ける」
J2藤枝の松木、鳥取時代のポジション変更で活路
藤枝MYFCの鹿児島キャンプ最後の実戦となった2月1日のJ3金沢戦で、先制点をマークしたのがJ3ガイナーレ鳥取から加入したFW松木駿之介選手でした。
主力組が並んだ1本目の開始直後に持ち味の動き出しから背後に抜けて先制。2年前はJFLでプレーしていた男が開幕に向けて躍動しています。
FW松木駿之介・一問一答
ー開始早々に背後に抜けて先制点。守備でも前線でボールを追い続けた。
最後まで信じて走り続けました。プレスもいい形でスイッチを入れられましたし、ボランチも付いてきてくれました。藤枝はうまい選手が多く、ボールを持つことがストロングポイントだというイメージで移籍してきましたが、一番の武器は献身性だと感じています。
ー実戦を重ねフィットしてきている。
須藤監督の志向するサッカーをよく理解できていると思いますし、自分のストロングがはまる感覚もあります。チームのために前線で守備スイッチを入れたいですし、そこからゴールに向かうスプリントの質と回数にこだわっています。実際にそのようなオフザボールの動きから点も取れているのでいい感触があります。
ーJ3鹿児島戦でもアンデルソン選手との好連係からゴールを挙げた。
その前に受けたいタイミングが合って、そこでボールが出なかった時に何度も何度も動き直してということを繰り返しての3人目でつながれたというシーンでした。
1度目のタイミングで無理でも、2度目3度目と繰り返し走り続けたいですし、10本走って1本来ればいいくらいの感覚で走っています。それがゴールにつながればFWとして仕事ができるので、愚直にやり続けたいと思います。
ーやり続けるのは精神的な強さも求められる。
自分は特別足が速いわけでも、体の強さや技術があるわけでもないです。それで上に行くには、そのような部分で勝負する、誰でもできることを誰よりもやることでチャンスが生まれると思っています。
その部分については、小さい頃から岡崎慎司選手に勇気をもらいました。岡崎選手もフィジカル能力が高くはないと思うんですが、プレミアリーグでゴールを取り、日本代表のストライカーでした。自分も点を取り続けることで、子どもたちにそういった姿を感じてもらえたらうれしいです。
ーJFLでのプレーが長い。
大卒で加入したファジアーノ岡山で1、2年目にけがを繰り返してなかなか試合に出られず、前線のポジション争いに勝てなくてサイドバックなどもやっていました。出場機会をつかめたらという思いでJFLのチームに期限付きで移籍しましたが、期間がちょっと長くなりました。J3クラブからのオファーがいいタイミングで来なくて、自分自身ははい上がってやるという気持ちでやり続けてきました。
どの瞬間でも「J1で点を決める」との思いを忘れたことはありません。JFLだろうが上を目指せると信じてやり続けました。昨季はトライアウトを経てJ3鳥取に拾ってもらって活躍できて藤枝につながりました。
ここで成長できる感覚があります。実際に渡辺りょう選手や矢村健選手のように須藤監督の下で成長して上に行っている選手もいるので、そこは自分次第だと確信しています。
ー昨年はJ3で11得点。伸びた要因は。
一つはポジションの変更です。夏まではウイングをやっていて、そこからチーム事情もあってFWに転向して15試合くらいで11点取れました。転向後はFWの動き出し、メンタルの粘り強さがつながったのかなと思います。
ー新体制会見で「ようやく戻ってこられた」と話していたJ2の舞台で何を見せたい?
FWは点を取れば世界が変わります。1試合1試合、毎日毎日が勝負だと思っています。須藤監督がよく言う好きな言葉があるんですが「今日やらないやつに明日はないぞ」と。本当にその通りだと思うので、1日1日を大切にして、とにかく数字を残したいです。
ーチームのためにさらに改善していく部分は。
起点になるところです。鹿児島戦はチームとしてうまくいかない時間帯があって押し込まれている時に、FWの選手が一つ起点を作って押し上げる時間を作れないとずっと押し込まれてしまいます。試合には勝ちましたが、全体的にFWに収まらなかったというのは自分自身を含めて課題です。
そういうことができないと、いい時はいいけど、悪い時は悪いままという昨季の流れになってしまいます。その流れを断ち切る一つの要因を作りたいですし、前線でためを作ることを伸ばしていかなければいけません。とにかく自分が出たときにチームを勝たせるのが仕事だと思っています。