浜松町駅周辺の再開発進捗状況 羽田空港からの玄関口&地下鉄 大門駅、東京タワーが近い「広域品川圏」北の拠点駅
3月27日には、高輪ゲートウェイシティが開業を迎え、周辺の広域品川圏ではも様々な工事が続いています。 今回は、高輪ゲートウェイ駅の2つ隣、広域品川圏の北側にあたる「浜松町駅」周辺の、2025年2月の様子をお伝えします。JR山手線・京浜東北線の浜松町駅周辺には、他にも東京モノレール浜松町駅や、都営地下鉄の大門駅があります。
羽田空港アクセスの拠点、東側ではブルーフロント芝浦の開発が進行中
東京モノレールの起点駅である事から、羽田空港を通じて全国や海外の各都市との間を行き来する人々の、都内中心部への重要なアクセス拠点の一つになっています。羽田空港第3ターミナルへは最短で13分、東京駅・品川駅へはそれぞれ6分という、非常にアクセスの良い場所に位置しています。現在、JR東日本が進めている東京駅からの羽田空港アクセス線(仮称)が開通すると、羽田空港と都心部を往来するモノレール利用客の一部がそちらに分散すると予想されていますが、景色のすばらしさなどでモノレール利用者は一定数は確保できると思われます。
JR線東側の浜松町駅南東で進められている大規模な高層ツインタワー計画「BLUE FRONT SIBAURA(ブルーフロント芝浦)」については、1つ目のタワーの開業を間近に控えています。
浜松町駅西口開発計画、モノレール新駅舎&世界貿易センタービル
まずはJR浜松町駅前、駅の西側の様子です。大規模な再開発が進行中ですが、駅前に立ってまず目に入るのは、JR駅横のモノレール駅(下写真中央の茶色い構造物)の一部です。ここは浜松町駅西口開発計画として、世界貿易センタービルディングと一体で工事が進んでいます。
駅周囲にあった旧世界貿易センタービルディングが撤去されたため、5か月ほど前には駅を支えている鉄の足場だけが見えていましたが、2025年2月上旬時点では、その下にコンクリートの土台が設置されています。
上写真の中央に見えている茶色の建物は、現在のモノレール駅舎の一部で、4~5階部分のレールとプラットホームの北側端の部分になります。新しいモノレール駅舎は、世界貿易センタービルディング建替の一部、TM棟として2024年9月から工事が始まっており、2029年12月の竣工予定です。新しいモノレール駅舎は、3階が改札階となり、5階がプラットホーム階という構造になります。
JR浜松町駅も改良工事を行っており、北口エリア3階にはJR線路上の橋上駅舎とモノレール駅などを東西に繋ぐ自由通路を整備しています。3階には新たにJR改札口が出来ます。こちらは2026年の使用開始を目標としています。
完成後のモノレール駅舎は左の画像のようになり、JRの線路をまたぐ自由通路には右の画像のように屋根が設置される予定です。
モノレール新駅では、現在と同じように、レール1本で両側にがホーム2面という形になります。
モノレール新駅の3階レベルには「北口改札」の他に「中央改札」が設けら、その前には広場が整備されます
中央広場の横には、ステーションコアと呼ばれる、JR・モノレール、バス・タクシー、地下鉄など上下移動での乗り換えをスムーズにつなぐための、縦導線移動の拠点が設けられます。
下記写真は、大門通り北側の階段を2階に登った場所からの、南方向の眺めです。正面には現在のモノレール浜松町駅が見えています。大門通の上を渡るデッキが2階レベルに出来ていますが、まだ閉鎖され通行が出来ない状態です。正面には、世界貿易センタービルディング本館を建設中です。
写真左方向に向かって、2階レベルにあるJRホーム階の上空を渡る形で、1つ上の3階レベルに東西連絡通路が建設中であることが分かります。
下写真は、上写真から少し右・西の方向を向いたものです。写真右のビルは2018年に先行開業したB街区の「日本生命浜松町クレアタワー」(地下3階・地上29階建て)で、正面奥に見えるの黒い建物は2021年3月に開業した「世界貿易センタービルディング南館」(地下3階・地上39階建て)です。
大きなクレーンが見られるのが「世界貿易センタービルディング本館」の建設地で、1月末時点では、一部4~5階レベルまで鉄骨骨組みを組んでいるというところのようです。
新しく建設される世界貿易センタービルディング本館は、地上46階建ての予定で、上層には日本初進出となるアコーホテルズの最高級ラグジュアリーブランドホテル「ラッフルズ東京」が入ることが発表されています。
今度は、上写真のデッキ上から少し東側を向いた眺めです。JRの線路が、同じく2階レベルを走っていて、その上の3階レベルに東西連絡通路が建設中であることが分かります。
浜松町の線路東側・竹芝側の状況は
線路を挟んだ駅の東側には、JRの橋上駅舎からの歩行者デッキが接続する3階建ての東側橋台の整備が終わっています。橋台3階レベルから東側に向かって、東京ポートシティ竹芝や、ゆりかもめ竹芝駅・竹芝客船ターミナル方面を結ぶ歩行者デッキ(下写真左の白い通路)が、整備されています。
次は、JR高架の下をくぐり、東側に向かってみます。
浜松町駅の東側、竹芝地区には、ウォーターズ竹芝や東京ポートシティ竹芝などの施設や、東京の離島へ向かうフェリーターミナルである竹芝客船ターミナルなどがあります。JR浜松町駅から竹芝客船ターミナルで、徒歩約8分ほどの距離に位置しています。
線路下を東側に向かい、先ほど見えた歩行者通路連絡用の東側橋台を3階まで登ってみます。
屋根がついている歩行者通路の3階レベルで、北側・新橋側を見たのが下写真です。写真左側にJRの線路があり、写真右方向には、竹芝方面への歩行者デッキが伸びています。将来的にはJRやモノレール駅への通路が、この写真の撮影場所後ろ側につながることになります。
東に向かって、竹芝方面への歩行者デッキが一直線に伸びています。3階レベルに作られることで、JR浜松町の新橋上駅舎の改札やモノレールの改札などを結ぶ北口東西連絡通路と同じレベルで揃えられるだけではなく、浜松町駅と竹芝エリアの間を走っている首都高速道路の高架の上空を、そのままのレベルで交差通過できるというメリットがあります。
そして、この3階通路の線路側、西端には、浜松町駅付近や東京タワーが見渡せる、ビューポイントが広がっています。
通路3階には町を見渡せる絶景ポイント! 駅南東のブルーフロント芝浦
JR浜松町駅の線路の東側にある3階レベルのデッキ上から西方向を見ると、眼下ににはJRの線路が見られ、少し遠くに東京タワーが見える絶景ポイントが広がります。ここからは、先ほどの世界貿易センタービルディング本館の建設現場も、良く見えます。JR山手線や京浜東北線、東海道線に加え、東海道新幹線も走る区間ですので、JRの鉄道車両を見るのにも適した場所になっています。
下の写真のように、3階レベルのJR浜松町駅の橋上駅舎・北口東西連絡通路とつながる場所は、現在は柵で閉鎖されています。柵の外側では、3階通路の整備が進んでいます。
この東側橋台の3階から南側を見ると、JR浜松町駅の東側にある「旧芝離宮恩賜庭園」の美しい眺めや、遠くにはレインボーブリッジを望むこともできます。
いよいよ1つ目のタワーの竣工が間近に「ブルーフロント芝浦」
さて、ここからは、浜松町駅の南東で進行中の再開発の状況をお伝えします。
進行中の大型プロジェクトは「BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)」という名称で、野村不動産とJR東日本が主体となって進められています。位置と完成後イメージは下記の図にようになります。
浜松町駅に近くの芝浦地区で、東京湾にも間近という立地を活用した、「水辺ならではのライフスタイルを創造し、これを広め、東京のベイエリアをつないでいく」ことを目指すプロジェクトです。
1984年からの東芝本社がある高層ビル「浜松町ビルディング」とJR東日本の「東海道貨物支線大汐線用地」を合わせた4ヘクタールを超える敷地で進められている事業で、「S棟」と「N棟」のツインタワーになる計画です。
このツインタワーは、まずは南側に建つS棟の整備から始められます。下記の浜松町駅から見た写真では、右の青っぽいビルが既におおよその工事を終えたS棟となり、左がN棟への建替前の 浜松町ビルディング です。
現在は、S棟の北隣には浜松町ビルディングが建っていますが、2027年度には解体されて、高さ約235メートルのN棟が建設される予定です。浜松町ビルディングに入る東芝の本社は、神奈川・川崎地区にある同社の拠点に2025年度上期中に移転・集約することが発表されています。
浜松町駅方面からつながる通路は、現在は下左のような屋根付き通路で結ばれていますが、こちらもビルの運用開始前後からは下右にある、今よりも西側・JR線路側にある新しい通路に移行される予定です。
浜松町駅とをつなぐ緑のアプローチの整備
少し南に進み、2025年2月下旬時点では、線路東側を南へ向かう途中から、下写真のような新しい歩行者通路の一部分を暫定的に利用可能となっています。線路沿いの遊歩道なので、走行する鉄道車両が見えます。(ちょうど、ディズニー塗装の新幹線が通過していました)
北側の浜松町方面を振り返ると、新しい通路の整備がほぼ出来ているのが分かります。下写真の奥の階段エスカレーターからは、JR線路上を東西にまたぐ、新しい南口の東西自由通路に繋がっています。
再び南に向かって歩くと、浜松町ビルディングやブルーフロント芝浦S棟方面への階段通路まだ閉じられていますが、整備は大方終わっているのが分かります。
新しい建物との連絡口前には「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」の表示が見えていて、2階につながる階段・エスカレーターが確認できます。
歩行者通路は、ブルーフロント芝浦S棟の南側まで既に整っているようです。建物の南側には、いくつかの飲食店やドラッグストア・コンビニなどが入るシーバンス・ア・モールがあります。
2025年7月1日開業のホテル「フェアモント東京」
ブルーフロント芝浦S棟を南西側から見ると、外観はほぼ出来上がっているのが分かります。南側の壁面には、2025年7月1日に上層の35~43階に開業する、「フェアモント」ホテルの大きなロゴが目に入ります。
フェアモント・ホテルズ&リゾート(Fairmont Hotels and Resorts)は、1907年にカナダで創業した高級ホテルチェーンで、「フェアモント サンフランシスコ」や「フェアモント バンフ スプリングス」、「ザ プラザ ニューヨーク」など、その場所での象徴的なホテルも多く、現在はアコーホテルズ(Accor)の傘下にあります。
世界中でさまざまな価格帯のホテルブランドを展開しているアコーホテルズの中でも、フェアモントホテルは、ラグジュアリー(高級)ブランドに位置付けられています。日本初進出となる「フェアモント東京」は、レインボーブリッジから東京タワーまでのパノラマビューが魅力で、東京湾を望むオーシャンビューと、都心の風景であるシティビューの両方を贅沢に楽しめます。
ホテルには、絶景を望む217の客室とスイート、スパ、屋外テラス、そして屋内インフィニティプールなどの施設が用意され、ゆったりとした穏やかなひとときを過ごすことができます。5つのレストラン&バーでは、地元の食材と世界のエッセンスが融合するユニークな美食体験が楽しめます。
43階には、東京湾と都心のパノラマビューが広がる「SKYチャペル」が設けられます。既にフェアモント東京での、ウエディングや宴会の予約受付が開始されています。
カナダやアメリカ、ヨーロッパの著名な都市にあるフェアモントホテルは、歴史的な建物や文化的な価値を持つホテルを多く運営していることが特徴であるため、フェアモント東京も、こうしたブランドの価値を引き継ぎつつ、東京という大都市で新たなスタイルのラグジュアリーホテルを提供することが期待されています。
ブルーフロント芝浦S棟のオフィス部分は7~33階が予定されており、現在は西新宿に本社がある野村不動産をはじめ、野村不動産グループ各社の本社が移転されることが、既に発表されています。
開業を待つS棟と、これから建てられるN棟ともに、建物の西側は、運河に面しています。
建物低層部は芝浦運河や船着場などとシームレスにつながり、水辺に面したバルコニーや緑に囲まれたテラス等自然を感じられる空間づくりが行われるとしています。
2025年の夏から順次開業するS棟の商業施設は、低層部の1~3階で、店舗面積は約3305㎡です。フードホールなど飲食店25店舗を含む、40店舗が予定されています。また、隣のN棟にも、商業エリアができる予定です。
さて、2025年2月時点での浜松町駅付近の、再開発・工事の進捗状況をお伝えしてきました。今後も変わって行く東京中心部の街並みを、お近くを通りががった際には眺めてみてください。
※この記事の現場写真は、2025年1月末~2月下旬頃に撮影したものです。(文・写真:鎌田啓吾 )
(鉄道チャンネル)