玉三郎の円熟した芸に観客から惜しみない拍手が 初日を迎えた南座『坂東玉三郎特別公演』舞台写真&公演レポートが公開
2024年6月12日(水)京都・南座にて、『坂東玉三郎特別公演』が開幕し、舞台写真と初日の公演レポートが届いたので紹介する。
公演レポート
『口上』
たくさんの拍手と「大和屋!」という大向うに迎えられ、鮮やかな金屏風の前に、裃姿で登場した坂東玉三郎。来場者に御礼を申し上げた後、これまでの南座公演や『壇浦兜軍記 阿古屋』を上演した際の思い出を振り返った。そして、今回の公演では、『口上』の後に『解説』がつくことに触れ「ご存じの方も、初めてご覧いただく方にも、この琴責の段をよりお楽しみいただき、深くご理解いただけますように思い、考えましたことでございます」と紹介した。
『解説』
続いて舞台に登場したのは、片岡千次郎。京都を舞台にした作品である『阿古屋』について、物語のあらすじや、人形浄瑠璃との違いなどを紹介し、作品の世界へ観客を誘った。
『壇浦兜軍記 阿古屋』
舞台はご当地京都の堀川御所。悪七兵衛景清の居場所を突き止めようと、阿古屋を詮議するために現れたのは、中村吉之丞演じる秩父庄司重忠と、片岡千次郎演じる岩永左衛門。そして、重忠の郎党である坂東功一演じる榛沢六郎の声に応じ花道から登場したのは、捕手たちに囲まれた坂東玉三郎演じる遊君阿古屋。囚われの身でありながら、絢爛豪華な打掛を纏い登場した阿古屋の圧倒的な美しさに、客席から大きな拍手が鳴り響く。
続いて、景清の行方を知らないという阿古屋に、重忠は琴、三味線、胡弓を弾かせることで胸の内を探ろうとする。張りつめた空気が漂う静寂の中、景清を思いながら琴、三味線、胡弓を華麗に弾き分ける姿を、観客は食い入るように見つめる。楽器ごとに異なる古風な音色に、観客からはたびたび感嘆の声があがった。
そして、阿古屋の心に偽りがあれば、演奏の音色が乱れるはずだが、一糸の狂いもなかったと、重忠は詮議の落着を示し、幕切れを迎える。玉三郎の円熟した芸に観客からは惜しみない拍手が送られた。
なお、『坂東玉三郎特別公演』は6月26日(水)まで南座にて上演。開演は午後2時。19日(水)は休演となる。