南伊勢エリアの陸っぱりライトルアー釣行で15魚種をキャッチ!【三重】
近年大人気の陸っぱりライトソルトゲーム。アジングやメバリングがその代表だが、秋にはメッキをはじめターゲットの種類が一気に増える。今回は三重県・南伊勢を舞台に、多種目を狙った秋のライトソルト五目をお届けしたい。
近年のライトソルト事情
ライトソルトといえば、まずメバリングやアジングを思い浮かべる人が多いと思う。もちろんこの2大ライトゲームが人気の中心なのだが、最近注目を集めているのが南国系ライトソルトといわれるもの。これは温暖化の影響か、南方系の魚がここ数年で身近な存在になったことが要因のひとつに挙げられる。
ベイエリアではレディフィッシュといわれるカライワシや、ミニターポンといわれるイケカツオなど。ベイエリアの温排水周りに集まり、セイゴやメッキを狙っていると、頻繁にヒットするようになった。
熊野灘沿岸に目を向けると、やはり外せないのはメッキ。ロウニンアジやカスミアジの幼魚が黒潮に乗って熊野灘にやって来て、漁港や河口周りで釣れ盛る。さらにこの時期ハタ類も高活性。オオモンハタやアカハタを知っている人は多いと思うが、ここ数年ではユカタハタやアザハタ、ヤミハタ、チャイロマルハタ、ヤイトハタなど聞き慣れないハタも、ちらほら顔を見せるようになった。
さらにカマスの仲間でダイバーに恐れられているというバラクーダ(オニカマス)も数を増やしている。もちろんダイバーを襲うような大型はほとんど見ないが、ライトゲームには最適な大きさの個体が増え、一部の地域では狙って釣れるようにもなっている。
他にも南国系フエダイの仲間も増加中。沖縄でマングローブジャックといわれるゴマフエダイやニセクロホシフエダイなどがそうだ。
地球温暖化の是非はともかくとして、熊野灘沿岸のライトゲームにおいて明らかにここ数年でターゲットの種類は増加傾向にある。狙えるものを何でも釣ろう……というのがライトソルト。今回はこの熊野灘沿岸のライトソルトゲームに詳しい、フィッシングタックル・カリプソ店長の大宮好騎さんに同行し、その魅力を探ってみた。
タックル
使用するタックルについてだが、メバリングやアジングとは若干異なってくる。シオやクエなどのヒットもあるため、やや強めのものが必要となる。専用のものはないので、他のタックルを流用することになる。
バスロッドのULクラスやエリアトラウト用でやや張りのあるものが向いている。今回同行してくれた大宮さんは5.6ftというショートロッドを使っていたが、一般的には6ft台のものが使いやすい。スペックとしては、10g前後のルアーをフルキャストできることが条件だ。
これに2000番クラスのスピニングリールをセット。ラインはPEライン0.3~0.4号。これ以上太いと飛距離が出ないし、風があるときは大きく影響を受けてしまう。よくエギングをやっている人が普段使っている0.8号を流用しようとするのだが、使い勝手が恐ろしく変わってくる。太くても0.4号までにしておこう。リーダーは根ズレに強いフロロカーボンラインの1.2~1.5号を60cm~1mほど取る。
ルアー
アジングやメバリングと違い、この釣りは非常に多くのルアーを使う。
ワームを使うジグヘッドリグの出番は少なくメタルジグ、シンキングミノー、シンキングペンシル、ポッパー、フローティングペンシル、そして鉄板バイブレーションなど。
どのルアーの使用頻度が高いかは状況によるが、マヅメ時にトップウオータープラグは欠かせないし、日中はメタルジグの出番が多い。
ジグや鉄板バイブは3~10g、プラグは4~6cmのものをそろえておこう。
朝マヅメ狙いで五ケ所湾最奥部へ
さて取材日は9月24日。まず大宮さんが選んだポイントは、五ケ所湾最奥の五ケ所浦。周囲が明るくなりかけており、今からがまさにゴールデンタイムだ。
早速タックルを組む大宮さん。セットしたのはペンシルベイトだ。潮は上げ3分といったところで、これから潮位が上げてくるタイミング。その1投目、リズムよくドッグウオークさせていたペンシルベイトに、いきなりドカンと水柱が上がって大宮さん自身もびっくり。明らかに小魚の反応ではない。
ハリに乗らなかったので素早く回収し投げ直すが、パシャッとファーストヒットしたのはヒラセイゴだった。
出方からして、1投目で出たのはこの魚ではない。クロダイかシーバスか……と考えても仕方がないので、キャストを繰り返す大宮さんだが、投げるたびに反応がある。次にヒットしたのは、レア魚のオニヒラアジだ。
メッキと呼ばれるヒラアジ類だが、主に釣れるのは4種類。最も数が多いのがギンガメアジ。そしてGTで有名なロウニンアジ。数は少ないがカスミアジ、そしてこのオニヒラアジだ。
続けてヒットしたのは小さなコトヒキ、続けてロウニンアジ、さらには小ぶりながらクロダイまでヒット。最初のビッグバイトは気になるが、開始してわずか30分で5種目の魚をキャッチすることとなった。
その全てはペンシルベイトや小型のポッパーでのヒット。横で見ていても、「おっ!」と声が出るほど激しいチェイスを見せる。これがマヅメ時ならではのトップゲームの醍醐味だろう。
縦の動きに好反応
ワンドでダツのバラシはあったが、日が昇りきるとぱったり反応がなくなってしまった、ここで大宮さんは移動を決断。次は同じ五ケ所浦でも、やや沖に面したエリア。ここでもトップでひと通り探った後、メタルジグをセット。
「ここはマダイも出るんですよ」とのことで、以前は20cm台後半がジグに食ってきたらしい。その言葉通り、いきなり20cm級の小ダイがヒットする。続けてメタルジグの回収ヒットで、20cm台後半の良型ギンガメアジがロッドを絞る。このサイズともなるとファイトも強烈だ。
そして撮影の合間にサオを出していた私のローリングベイトのリフト&フォールにビッグヒット。リーダーが擦れる嫌な感触はあったが、どうにか浮かせたのはなんとクエ。しかも30cm近い良型だ。続けて大宮さんもひと回り小さいクエ、カサゴをキャッチする。
さらにカマスと続き、なんと朝の2カ所のポイントだけで、10種目釣りを達成してしまった。これだけ書けば、もう大爆釣……のような印象かもしれないが、1種目の数はそこまで出ていない。
カマスなどは群れでいるはずなので連発してもおかしくないのだが、キャッチは1匹のみ。ミノーやジグミノーのトゥイッチでチェイスはあっても、口を使うところまではいかない。
メタルジグやバイブレーションのリフト&フォールやショートジャークにはヒット連発。つまり横の動きには反応してもヒットまで至らず、縦の動きには口を使うといった状況なのだ。これはそこまで活性が高くないことを意味しており、決してパラダイスのような状況ではなかった……ということだ。
大宮さんの考えでは、その要因として挙げられるのが、海水の透明度の高さ。まとまった雨が降らず、濁りが全く入っていないので全ての魚の警戒心が非常に高まっていたと考えられる。
ヒットも表層は少なくボトムからのワンジャークで食ってきたり、ジャーク後のフォールでジグがひったくられたりというパターンが多かった。
また垂直護岸ではクランクベイトへのヒットもあった。これは底ではなく、壁面に着いているカサゴやハタを意図して狙ったもの。水深のある垂直護岸では、クランクの出番もありそうだ。
後半は旧南島方面へ
取りあえず多くの魚種の顔を見たことで、次は南方系ターゲットを狙ってみようと、上げ潮7分のタイミングで移動を決断。狙うはフエダイ系とレアモノのハタ類だ。
向かったのは阿曽浦。だが穏やかなワンドは意外なほど無反応。まれにチビメッキのチェイスはあるぐらいで、すぐに再移動となった。
向かったのは古和浦周辺。このエリアもやはり海の透明度が高く、足元の敷石は丸見え。その敷石周りには多くの魚影。スズメダイやベラに交じって、手のひらサイズの平たい魚も見える。
大宮さんはまずブレイクを狙って、メタルジグをフルキャスト。細かいショートジャークでオオモンハタを連発する。
さらに足元の敷石周りでリフト&フォールを繰り返すと、ガツンとロッドが大きく絞り込まれた。うまくいなして抜き上げたのは、お目当てのフエダイ。黒い斑点が特徴のニセクロホシフエダイだ。
そして次にヒットしたのはオキフエダイ。
さらにヨスジフエダイとフエダイ御三家?が顔を見せてくれた。
そしてトリを飾ったのはミニシーラカンスのようなクロイシモチ。数えてみると、これで15種目制覇。もう十分ということで、午後1時に終了となった。
ひと荒れして水温が下がれば期待度マックス
この日キャッチしたのはヒラセイゴ、オニヒラアジ、ギンガメアジ、ロウニンアジ、クロダイ、コトヒキ、オオモンハタ、ヤマトカマス、マダイ小、カサゴ、テンジクダツ、ニセクロホシフエダイ、オキフエダイ、ヨスジフエダイ、クロイシモチの15種。南方系のアザハタやヤミハタ、バラクーダは出なかったものの、十分すぎる結果となった。
大宮さんの話では、近年の高水温のせいか、この熊野灘沿岸のライトソルトゲームは12月初旬まで楽しめるとのこと。澄み潮で決して良いとはいえない条件だったが、これだけ楽しめれば大満足だ。
今回出なかった魚種もまだ多く存在する。ロッド1本携え、バッグ1つを身に着けて身軽に釣り歩く熊野灘沿岸のライトソルトゲーム。ぜひ挑戦してみてほしい。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>