田名中吹奏楽部 サックス四重奏で全国 東関東アンコン首位通過
東関東アンサンブルコンテストが1月26日に茨城県内で開かれ、田名中学校吹奏楽部でサックスを担当する4人が出場し首位で通過した。相模原市内の市立中学校が東関東アンコンを通過するのは初の快挙。22団体が出場する全日本アンサンブルコンテストは3月20日に福井県内で催される。
同大会は3人以上8人以内の構成で行われるコンテストで4人は11月の市大会、12月の県大会を突破し、東関東大会に挑んでいた。
3年生の樋口心春さんと2年生の高澤真凛さん、佐藤ひなたさん、池田楓さんが演奏したのは、サックス四重奏曲「バック・バーナー」(F.ティケリ)。顧問の榊原聖人教諭が「この曲を演奏しきれれば、間違いなく高い評価を得られるはず」と選曲した難曲だ。
4人の挑戦は1年前にさかのぼる。同じメンバーで昨年のアンサンブルコンテストにも出場したが県大会で涙をのんだ。「悔しい、来年こそは」。この時定めた目標は「県大会突破」、1年間の歳月をかけ準備してきた。
2月からは学校での部活動の時間に加えて、公共施設などを借り、練習を重ねてきた。榊原教諭の教え子で現在はプロのサックス奏者として活躍している金野龍篤さんも指導にあたり、大会が迫ってくると「自主練」は週5日に及んだという。高校時代に全国大会出場を果たせなかった金野さんの思いを受け、4人は「金野先生を全国の舞台へ連れて行く」と誓っていた。
目標に向かいひた走る4人を保護者も全力でサポート。自主練習会場への送り迎えなど、娘たちと共に濃密な時を歩み進めてきた。
難曲攻略し首位通過
アンサンブルコンテストはこれまで、相模原市内では私学・県立勢が強さを発揮してきた。4人は市大会でソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4本のサックスで難曲「バック・バーナー」を披露。私学・県立勢をおさえ1位通過し、県大会も首位で突破した。神奈川、千葉、茨城、栃木の4県の代表校が集った26日の東関東アンコンでは、29校が2枚の全国切符を競った。
ほぼ満点、「驚き」の99点
「バック・バーナー」は、各パートが独立した動きをしながら巧妙に絡み合う上級者向けの作品。演奏し終えた直後、メンバーの気分は晴れなかった。「小さなミスが数カ所あった」という。
伏目がちで臨んだ結果発表、12校が全日本アンコン出場の可能性を持つ金賞の評価を受けた。この中から2校が全国の舞台に進むことができる。
千葉県の代表校が呼ばれ、残る席はひとつ。2校目の代表としてホールに響いたのは「神奈川県代表相模原市立田名中学校」。顧問の榊原教諭は高鳴る鼓動に耐えられず、ホールの外にいたという。相模原の市立中学校が全日本アンサンブルコンテストに出場するのは初となる快挙だった。
7人の審査員が「技術」「表現」で高評価を与え「見事なアンサンブルだった」「完全に曲を自分たちのものにしている」など、講評には賛辞の言葉が並んだ。得た点数は満点に1点及ばなかったものの99点。ほぼ満点の結果に、4人は「1位だったことが嬉しい」「99点という点数は驚いた」「とても満足している」などと話した。
正確性高め全国へ
榊原教諭は「やり切った。中々あんな演奏はできない」と話し、2カ月後の全国大会へ向けては「正確性を高めてミスを少なくすることを求めていきたい」と4人に最後のハードルを課した。
全日本コンテストは4人のサキソフォニストの集大成の舞台となる。