【介護のピンチを解決】大声は逆効果! 「聞こえにくさ」解消の意外なヒント
ご自身やご家族の介護について、不安を感じることはありませんか? もしそうなら、この一冊があなたの心強い味方になるかもしれません。予約が取れないと話題の介護施設「くろまめさん」を運営する稲葉耕太さんの著書(KADOKAWA)。この本では、介護の中で直面する予期せぬ「大ピンチ」に、どのように向き合い、乗り越えていくかのヒントが具体的に紹介されています。稲葉さんのユニークな「めっちゃ笑える介護!」という視点を取り入れることで、日々の介護が、きっと今よりもっと心穏やかで、笑顔の多い時間へと変わっていくはずです。
※本記事は稲葉耕太(くろまめさん) 著の書籍『介護の大ピンチ解決します』から一部抜粋・編集しました。
おーい!!!!聞こえてる?
大声だと反響して余計に聞きとりづらくなるんです。コツは「耳元でゆっくり低い声」ですよ
「うちのおばあさん耳が遠くて、これくらい大声で話さないと聞こえないんですよ。ねえ!おばあさん!!」
スミレさん(94歳)の初利用の日、息子さんは怒鳴るようにしてスミレさんに話しかけておられました。スミレさんは聞こえているのか?いないのか?ポーカーフェイスで苦笑い。
スミレさんは快く、くろまめさんに通ってくれるようになりましたが、みんなの輪に入って会話を楽しむということはほとんどありません。元々静かな方なのか、いつも縁側に座って、のんびりとみんなの様子を見守っている。そんなおばあちゃんです。
あるとき、スタッフの花子ちゃんがスミレさんと、コソコソと楽しそうに話しているのを見かけました。僕が「なにを話してるの?」と聞いても、ふたりは「ひみつ」と言うばかり。僕は、スミレさんがあんなに楽しそうにお話しているのを初めて見たので、その日のスタッフミーティング「終わりの会」で花子ちゃんに、しつこく聞いてみました。
「秘密なんやけど、しょうがないですねえ。恋バナですよ。スミレさんの初恋の人の話です」
「ふむふむ! ぜひとも詳しく教えなさい!」
スミレさんは初恋の人と、かなり親しい仲になっていたのですが、彼は戦争に行ってしまい帰ってこられなかったとか。その後、スミレさんはお見合いで優しい旦那さんと出会い、幸せになったけど、今でもたまに思い出すらしいのです。その彼のお顔や声を。
うーむ。いくつになっても女子! 恐るべし!ですね。自分の奥さんのこと、心配になりました(汗)。
そういうことがあってから、スミレさんとスタッフで、コソコソとなにかお話している光景をよく見かけるようになりました。ワイワイみんなで話をすると聞こえなくて困るけど、ふたりで顔をくっつけて、ゆっくりお話すると、スミレさんは意外とおしゃべりな方だったんです。
ピンチを分解
今回のスミレさんがまさにそうでしたが、耳が聞こえにくくなったからといって、大声で話す必要はありません。反響してよけい聞きとりづらくなるのです。コツは、耳元でゆっくり低い声で話しかけること。そして、ただの社交辞令の声かけではなく、本当に話したいことを話すこと。特に女性は、話題が豊富です。自分の恋の相談なんかしてみては?きっと快くアドバイスしてくれますよ。
※本記事に掲載されている情報は2025年4月時点のものです。掲載の内容には細心の注意を払っておりますが、万が一本記事の内容で不測の事故等が起こった場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。