自閉症児の記録、本に 鎌倉市の図書館に寄贈
『わが家の双子はASD:発達障害の子どもが生きやすくなる工夫』(中央法規出版)を上梓した長谷川桂子さんが、このほど同書を鎌倉市の図書館に寄贈する。
長谷川さんは、表題の通りASD(自閉スペクトラム症)の双子の母。息子は2歳の時、娘は中学3年生の時にそれぞれ自閉症と診断された。
鎌倉市内の生活介護事業所に通う息子は、言葉でコミュニケーションを取るのが難しく、偏食など日常生活における強いこだわりがある。娘は「知的障害のない自閉症」と診断。人間関係や成績不振に悩んだ。
本書は、長谷川さんが20年前に始めたブログ「手をつないで行こう」を一部加筆・修正したもの。首都圏の特別支援学校や大学などに、約700冊を寄贈してきた。
掲載しているのは、双子の誕生から、娘が自閉症と診断された時までが中心。自閉症児とのコミュニケーションの取り方など、当事者の参考になる情報も記している。
当事者に有益な情報を
出版の理由は、同じ境遇の親へ参考になる情報を届けたいから。息子が自閉症の診断を受けた当時は「参考になる情報が少なかった」。だからこそ、「読み手にとって有意義」な内容を意識し、執筆したという。
現在、息子は鎌倉の事業所で「刺し子」作業にも挑戦している。年に一度の展示会では商品として販売され、購入してもらったこともある。「毎日元気に通う場所があり、創作や生産的な活動ができることに感謝している」と語る長谷川さん。「同じ境遇の人に向けたエールになれば」
書籍は、現在鎌倉市中央図書館で貸し出しが始まっている。インターネットで購入も可能。税込1980円。