第58回「楽しく歩く」
「私たちの未来は、私たちで作る!」
あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組。
今回もリスナーのみなさんから寄せられたメッセージをご紹介しました♪
私は中国から手紙を書いています。26歳の会社員です。
『団地のふたり』でキョンキョンさんの愛らしい演技に魅了され、熱烈なファンになりました。それ以来、毎日のようにあなたのドラマや映画を観て、ポッドキャストもAI字幕で楽しんでいます。日本語がわからなくても、懸命に作品を追いかけている自分がちょっと可笑しいです。(笑)
最近、仕事は安定しているものの、生活に退屈を感じることが増えました。
『すいか』というテレビドラマでキョンキョンさんが演じた馬場さんのように、終わりのない日常から逃げ出したくなる日もあります。
キョンキョンさんの作品が心の支えになっていなければ、この退屈さを耐えられなかったかもしれません。
お伺いしたいのですが、キョンキョンさんは、生活の退屈さとどう向き合われていますか?
最後に、心から伝えたいことがあります。
中国の小さなファンである私は、本当に本当にキョンキョンさんが大好きです!
6月1日の音楽祭のチケットを既に購入しました!ついにあなたに会えると思うと、胸が高鳴ります。
どうかこれからも、ご自身が楽しめることを続けてください。
小泉:とても嬉しいお手紙。ありがとうございます。『団地のふたり』っていうドラマは、中国ですごく人気があるらしくて。たくさんの方にまた知ってもらえたのかもしれないです。そっか、私の演じる役って、『団地のふたり』とかはのほほんとしている人の役でしたけど、『すいか』というドラマでは主人公の同僚、銀行員の役で。
上村:うん。
小泉:小林聡美さんと演じていたんですけど、いつも、省エネのために暗くしている部屋で2人でくだらない話をしている同僚で。でもその同僚がある日、3億円を横領して、逃亡生活に入る。逃亡している方の役なんです。
大石:あ、そうなんですね。
小泉:私、わりとそういう、突飛な行動をとる役が多いので、私の作品を追いかけていくとそういうスカッとするような役に出会えるんだろうなと思います。実際の私はですね、退屈な日常が、逆になくてですね。
大石:あー。
小泉:毎日のように違う人たちに会う仕事だったり、その時期によって映画をやったり、ドラマをやったり、歌を歌ったり、いろいろな方に出会えるので。逆に、退屈じゃなくて、忙しい日々をどうしたら乗り切れるかっていう悩みの方が多いかもしれないです。どうですか、えいちゃんも同じタイプでしょ?
大石:そうですね。そうそう。だから、退屈さ、ね。だって、さえちゃんもどう?
小泉:みんな仕事好きだもんね。
上村:はい。
小泉:でも、前もこの話したかしら…どこか向かう場所があるとするじゃないですか。会社とか、いつも同じ場所に向かうとしたら、毎日違う道を通るとか。そういうのが結構いいかもしれない。帰り道は一駅前で降りて歩くとか。「冒険」って自分に言い聞かせて歩くと、すごくいろいろなものが目に入ってきたりするじゃないですか。
大石:うん。
小泉:それとか、もう26歳だから、パッと一人で知らないお店に入ってみるとか。それで、1杯お酒を頼んでみるとか。そういうことだけでも、世界が広がるんじゃないかと思うんですけど、どうです?
上村:そうですね。私も、休みの日にもパンパンに予定を入れてしまって、どちらかというと体のケアの時間をどう捻出しようかなって悩んでしまうタイプなんですけど…最近、自分の心の潤いになっているのはお花の手入れ。花束をもらって、花瓶に飾っていたんですけど、花瓶が足りなかったので新しく探して買ったり。あとは、それを毎日ケアして「今日はどういうふうに挿そうかな」って考えてると、夜寝る時も楽しくて。ここ数日、毎日が楽しくて。今度、お花をもっと綺麗に生けるためにフラワーアレンジメントの教室とかに行ってみようかなって。
小泉:また忙しくなっちゃう。笑
上村:そうなんです。笑
どんどん習い事とかしたくなってきちゃって。笑
小泉:でも、そういう性分なんだね。でも、いいですね、お花は綺麗ですし。お花を大事にしていると、自分を大事にしているような気になりますよね。
大石:はい、はい!花つながりで。
小泉:はい。
大石:とはいえ、嫌な日もあるじゃないですか。会社に行くのが面倒くさいなとか、誰かと会うのが嫌だな、とか。そういう時は、僕ね、頭の中にお花畑を想像しているんです。駅への道とか、通勤する道をお花畑でいっぱい、っていう頭で通勤するようにしてます。
小泉:あらー。
大石:会う人、みんなお花畑で会うって想像すると、ちょっと日常が楽しい。
小泉:えいちゃんの中にそんなファンタジーがあるのね!
大石:失礼な!笑
小泉:すごく意外でした。
大石:僕の頭にもファンタジーはありますよ。
小泉:いや、そういうファンタジーなんだ、って。もっと、宇宙とかでもいいわけだし。そこがお花なんだっていうのが、意外で素敵でしたよ。
大石:ありがとうございます。
小泉:じゃあ、お花つながりで言いますと、彼女がチケットを取ってくださった6月1日のイベントはあしかがフラワーパークで行われるんです。私以外にも、素敵なミュージシャンが参加してフェスのようなものなんです。だから、少なくても、その日は、さえちゃん的な解消法と、実際のえいちゃんの脳内と同じ状態、そこにキョンキョンも現れるからね!
上村:たしかに!
小泉:その日で多分、数ヶ月分の悩みは解消するかもしれないです。ふふ。
今回は…10年かけて開発された
子ども用の新しい白杖!
今回ご紹介するのは視覚障害児のために開発された、新しい「白杖」の話題です!
白杖は視覚に障害のある人が、外を歩くときに使う白い杖のことですが、子ども用の新しい白杖を10年かけて作ったのは、「一人の学校の先生」なんです。
石川県にある金沢大学附属特別支援学校に勤務されている吉岡学先生にお話を伺いました。
昔、私が全国の盲学校を調査した時に、「子ども用の白杖がない」と言われたんです。
じゃあ「子どもたちは、どうやって勉強しているんだ」って聞いたら、大人用の白杖を切って使っているとわかりまして。子ども専用のものを作り始めました。
それで、もうひとつ私が手がけたものがあります。
「石突」というものは、視覚障害者が歩行する時に路面に接する唯一の場所なんですよね。その情報を得て、「どういうところを歩いているんだ」、「どういうところに進んでいるんだ」って理解する唯一の情報源なんです。
それが石突というもので、まわりの鳥の鳴き声とか、風の流れとかを感じるには、安心してまっすぐ歩けるとか、安心して路面の状況がわかるということが、最も大切な心の余裕が出てくるんですね。
今まで、まあ今でもそうなんですけど、大半、使っているのは、ペンシル型っていうただの棒みたいな石突なんです。雑な路面の情報しか振動が来ないんです、ガタガタガタって。考えないといけないんです、自分の経験から引っ張り出して。
視覚で見れば、じゃり道だな、とか、路面がツルツルしているな、とか、わかるんですけど。そういう雑な情報しか手指に伝わらないんですよ。
それを、車のタイヤみたいに回転するようにしたんですよ。
それも設置面を広げて、かつ、石突の中心にスポンジみたいなものが入っていまして、雑な大きな振動は全部シャットアウトして、人間が一番感じ取れる周波数帯の振動だけを手指に伝えられるようにしてあるんです。
その中で、「歩行というものが楽しいんだ」、「歩行ってこんなに簡単なんだ」って理解してもらおうと思っているんです。
そういうことを、誰かが変えないと、このまま永続的にずっと同じような状況でいくのかなっていうのがあって。「今回のものをなんとしてでも」っていう気持ちにさせたっていうか。10年間、粘り続けてこられたっていう形はあるんです。
視覚障害児は全国にだいたい1500人弱いるんですね。
その子たちすべてに1人1個、渡そうとは思っています。
大石:すごい。
小泉:それまで子どもが使えるものが、特に開発されていなくて、大人用を切って使っていたっていうのもびっくりしました。私たちは、あまり白杖を近くで見たことがないけれど、地面への接地面でそんなに感覚が変わるんですね。
大石:時々杖をついている方がいるけど、そんなに衝撃があるものだって知らなかった。
上村:石突でコンコン、としていると、コンとやって次のコンに行くまでの間が感じ取れないじゃないですか。だから、今回開発したローラー型のものは面で状況を把握できるということで。いろいろな神経を尖らせて移動されていると思うんですけど、少しでも負担が軽くなるんだろうなって思いました。
小泉:そうですよね。前に、視覚障害者の方が歩いていて。でも、歩道に柵みたいな、普段はないものがあって、その中にスポッと入っちゃったんですよ。「あれ?」ってなってたから、声をかけて「そこに柵みたいなものがあって、よかったら手を貸しましょうか」って言ったら「助かります」って。そこから出してあげて、「どこに行くんですか」って聞いたら「そこのラーメン屋さんに」って言うから「ラーメン屋さんの前まで一緒に行きますね」って言って、えいちゃんの大好きなラーメンを食べていましたよ。若めの男性だったけど。
大石:ラーメン繋がり。
小泉:そういうことって、すごくあるんだろうなって。何度も、行き慣れているお店でも、何かを修理するための柵があったりとか。無関心っていうのがありますよね。あんまり過剰に反応してもらいたくもないだろうけど、みんな同じだと思うんです。自分が困ってても誰かが助けてくれたらありがたいじゃない。同じくらいの気持ちで接して欲しいなて思ったりしますけどね。
上村:今回の吉岡先生ですが、「新しく開発した白杖と石突を、全国の盲学校の子どもたちに使ってもらいたい」という想いから、クラウドファンディングを実施しました。4月17日に終了しているのですが、300人以上の方から、500万円を超える支援額が集まりました。この支援額によって、「日本全国の視覚障害児全員にプレゼントする」ということです。
小泉:それがまかなえるんだ。すばらしい。
上村:「1人1個渡したい」とおっしゃっていましたが、それが実現するということですね。
小泉:これって、今、視覚障害児1500人弱っていうことだけど、やっぱりそういうニーズが少ないと、なかなか開発って進まないものなんですか?社長。
大石:うーん。やっぱりどうしても売れるものとか利益があがりやすいものに研究開発とか投資はしやすいです。研究開発でお金をかけて、人を割いて、どれだけ利益が出るのかって考えると、決してマスなユーザー、多くのユーザーってわけではないから。私も実際にこういうニーズは知らなかったし。だけど、こういうニーズに対して応援したいスポンサーがゼロか、と言われるとそうではないと思うんです。単に繋がっていないというか。
小泉:そうですね。
大石:マッチングすれば、こういう社会課題ってニーズが小さくても結構解決するんじゃないかなって思います。
小泉:なるほどね。たとえばお天気によって「今日はこっちを付けて行ったら滑らない」とかありそうじゃないですか。いろいろ開発されたら、もっと行動範囲が広くなったり、楽しくなったりするんでしょうかね。
大石:吉岡先生とサステバでコラボして、大きく呼びかけるのはアリですよね!
小泉:社長、頼むよ!笑
(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)