「死んだ方がいい…」帯状ほう疹の合併症 発疹が消えても電気のような痛みが
3人に1人がかかるとされる『帯状ほう疹』。
2025年度からワクチンの一部公費負担が始まります。
体に発疹ができ、強い痛みを伴う帯状ほう疹の発症率は、50代を境に急激に上昇し、70代がピークと言われています。
帯状ほう疹の原因は、多くの人が子どもの頃にかかる『水ぼうそう』のウイルス。
水ぼうそうが治ったあともウイルスは体内に残り、疲れなどで免疫力が下がると、再び活性化して、帯状ほう疹を発症します。
80歳までに、約3人に1人が発症すると言われています。
毎月のように患者が…
札幌市豊平区のとよひら公園内科クリニックでも、毎月のように患者が訪れるといいます。
藤本晶子院長によると高齢者の場合、受診までに時間がかかり、悪化しているケースもあるといいます。
「発疹が出るのが先ではない。神経痛から始まると、逆に発疹がかなり出るまで痛みを感じなくて、ひどくなってから受診される方はいます」
水ぶくれや発疹が治まったあとも、人によっては、さらにつらい症状が。
目や耳に合併症
とよひら公園内科クリニックの藤本晶子院長が、そのつらい症状について教えてくれました。
「顔面に出た人だと、『目が痛い』『頭が痛い』。ウイルスが脳に入って髄膜炎になるケースもあると思いますね」
痛みが残ったり、目や耳に合併症が起きることがあるのです。
この痛みは死んだ方がいい
「夜は本当に寝られないくらい痛かったですね。この痛みは、死んだ方がいいかなと思うくらい」
そう話すのは、合併症になった60代の男性です。
2024年6月に帯状ほう疹を発症。
3か月ほどで発疹はなくなりましたが、今も耐え難い痛みが残っています。
「やっぱり今しゃべっていて、痛さがくる。電気が走るという感じ。しゃべると息をするじゃないですか、そのときに肉が動いているので、そうすると痛いですね」
その痛みは「仕事から家に帰ってきたら横になって、ごはんも食べられないくらい」にもなるといいます。
男性は、神経が損傷されたことで痛みが続く『帯状ほう疹後神経痛』と診断されました。
50歳以上で帯状ほう疹を発症した人の2割がなるといわれています。
「『3月いっぱいに治ればいいね』なんて言っていたが、治っていない。まだ痛いです。ひと言で言うと『なるものじゃないよね』って」
予防はワクチンで
こうした合併症を含め、帯状ほう疹を予防する手立てのひとつが、ワクチン接種です。
これまでは任意での接種でしたが、国は2025年度から65歳以上を対象に一部費用を負担し、ワクチンの定期接種を始めます。
主な対象者は、その年度に65歳になる人です。
また、今後5年間は経過措置として、70歳・75歳・80歳…100歳までの5歳ごとに対象となります。
101歳以上の方は、最初の年度に限り全員対象です。
ワクチンの種類
ワクチンには2種類があり、どちらかを選んで接種します。
『生ワクチン』ですが、接種回数は1回で、接種後5年の時点で約40%の予防効果が期待できます。病気や治療で免疫が低下している人は接種できません。
『組換えワクチン』は2回の接種で、接種後5年の時点で約90%の予防効果が期待できます。こちらは接種に制限はありません。
自己負担額は、お住まいの市町村により異なりますが、札幌市の場合は生ワクチンで4500円、組換えワクチンで21600円(2回分)です。
札幌市によると、4月1日以降、準備の整った医療機関から接種を始めるので、接種を考えている人は医療機関に問い合わせてほしいということです。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は取材時(2025年3月28日)の情報に基づきます。