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リーディングドラマ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』出演の大原櫻子に聞く~「振れ幅があればあるほど心が燃えます」

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(左から)白石加代子、大原櫻子

廣嶋玲子・作の児童文学小説「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」を原作とする、リーディングドラマ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』の上演が決定した(2025年4月19日・20日 神奈川県立青少年センター 紅葉坂ホール)。「幸運な人だけがたどりつける、ふしぎな駄菓子屋。そこにはたくさんの魅惑の駄菓子が並ぶ。女主人・紅子がすすめる駄菓子は、どれもその人にぴったりのもの。でも、食べ方や使い方をまちがえると……」という、不思議と刺激とワクワクに満ちたこの物語を演じるのは、白石加代子と大原櫻子。白石が謎めいた存在の紅子を、そして紅子の元を訪れる4人のキャラクターを大原が担当する。本作で子供の頃から憧れだったという白石と念願の共演を果たす大原に、新たな挑戦を前にした今の思いを語ってもらった。


──ふたり芝居のリーディングドラマ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』。楽しそうな企画だなとわくわくします。

ありがとうございます。白石加代子さんとの二人芝居、お話をいただいた時は……ビビリました(笑)。私は舞台好きな両親の影響もあり小さい頃からよくお芝居に連れていってもらっていて、その頃からずっと白石さんは女優の神様だなって思っていたのでまさか共演できるなんて! しかも二人芝居!?って、もう驚きが大きかったです。自分自身、いろんなお芝居をやってくる中、すごく嬉しいことに毎回毎回「うわぁ、こんなにハードルの高い芝居なのか〜」って思う作品ばかり挑戦させてもらってきました。特にここ数年で携わった作品はとても濃厚なものが多くて、「もうこれ以上はないだろう」の連続。でも今回は「さらにそれ以上が来てしまった」というのが実感です。もちろん白石さんとはいつか共演させていただきたいと願っていた自分もいるんですが、そんなことすら思えないぐらいすごい存在の方でしたから、本当に「まさか」って。

──それは……大原さん自身がお芝居の世界で研鑽を積まれてきたからこそ叶った「まさか」。

実は以前、白石さんが私のお芝居を観に来てくださったことがありました。私はちょうどその作品で読売演劇大賞の杉村春子賞をいただいて。ですから、それを観てくださった白石さんと共演できるっていうのは、自分にとっても確かにとてもベストなタイミングというか、嬉しい時期だなっていうのは感じています。まだ舞台を始めたての時だったら、稽古場にも足を震わせながら行っていたかもしれない。第一報ではびっくりしましたけど、今はとても楽しみに思っています​。

──原作は子供たちに大人気の児童文学です。お話に触れた印象はいかがですか?

子供向けのちょっとポップな作品なのかなって思って蓋を開けたら、こんな描写もあるんだ!っていう、おどろおどろしいシーンも出てきたり、いい意味で裏切りがたくさん。自分が子供時代に出会っていたらもちろんとても楽しく読んだとは思うんですけど、大人になってから読んでも……むしろ大人だからこそこんなに楽しめるのかなっていう感覚もあります。老若男女、すべての人たちが楽しめる作品ですね。

──楽しいけど怖い、そんな独特の世界観が大きな魅力。始まりのエピソードからもう毒気が満載で。

説明書をちゃんと読まずに人魚のグミを食べたらどんどん人魚になっちゃうなんて、本当に怖いじゃないですか! でもそれって子供時代の素直な心にはすごくいい経験になるんじゃないかなぁ。約束は守ろうとか、説明書は絶対に読もうって。

(c) 山崎信康

──大原さんは「型ぬき人魚グミ」の水泳ができない少女・真由美11歳、「猛獣ビスケット」のいたずら坊主・信也9歳、「おもてなしティー」の独身女性・みどり43歳、そして紅子のライバル・たたりめ堂のよどみの4役を演じます。

やっぱり舞台の上で嘘じゃない姿でいるのって……たとえばマジックなどもそうですが、特に子供たちは「どうなっているの??」とか、すごくよく見るじゃないですか。大人よりも細かに見てくるなっていう印象なので、そこを本当に「え、なんでそうなっているの!?」と不思議がってもらったり、私が男の子で出てきて、次は女の子で出てくるってなったときにも、「櫻子ちゃんがやってるね」って思われないくらい、舞台でのリアリティというところをしっかりと頑張りたいですね。カーテンコールのときに私と白石さんだけが出てきて、「あれ?もっとたくさん出てたじゃん!」って思わせたいです(笑)。

──銭天堂にはお菓子を作るたくさんの猫たちもいますが……。

いますよね〜。さっきスタッフさんとも「もしその猫たちも出るなら私がやるのかも? それも面白そうだよね」なんて言ってたところなんです(笑)。台本はこれからいただくのですが、やっぱり振れ幅があればあるほど役者としては演じがいがありますから、役柄としてはもう多ければ多いほど私はちょっと心が燃えるぞとなっているので。

──リーディングドラマだけれど早替えも、みたいな?

たぶん。リーディングは言葉でお客さんに作品世界を提示する。だから言葉の重みだったり発語する責任感はとても大きいと思います。ただ、今のところ私は台本を持たないスタイルになりそうで、つまりは芝居をするっていう感じなのかなと。白石さんは本を持って読みながら紅子としてブレずにそこに存在し、私はたぶん周りでせっせせっせといろいろやりながら……本当に展開もスピーディーですし、ドタバタと、ある意味喜劇にもなるのかなっていうイメージ。キービジュアルでも3役の姿が出ていますし、かつらから衣装から何やらかんやらでどんどん変わっていくと思います。

歌舞伎も、こっちに行って、後ろに回った一瞬で衣装を引き抜いて別人が出てきた!みたいなことありますよね。そういうイリュージョンみたいな仕掛けがあっても楽しいだろうなって、個人的に想像してみたり。お客様には現実にない不思議な世界観が舞台の上には本当にあるんだって思って楽しんでもらいたいです。エピソードによっては想像以上にすごい不幸が待ってたりもするので、それがどこまで表現されるのかも興味深いですし、どういうセットになるのかもまだ全然まだわかりませんが、でもちょっとてんてこ舞いな姿もコミカルで面白いんじゃないかな。リーディングではありますが、歌や動き、外見的な変化も楽しんでいただけると思います。

(c) 山崎信康

──本作は原作ファンの子供たちも多く観に来てくれるでしょうね。

私も小さい子供たちが大好き! 保育園の先生になりたいと思ったこともあるぐらいなんです。それに俳優って子供たちに夢を与える仕事だなとも思うので、ぜひこのチャンスを大事に、作品を介して子供たちとの絆も生まれたら嬉しいですね。大人も楽しめるこういう作品だからこそ、より子供に刺さったら素敵だなとも思いますし、自分もお芝居を観ていた子供時代はその人じゃない人物がステージに立ってるってだけですごくわくわくしましたから。遊園地ではないですが、そういう“日常から外れた世界観”ってお芝居にはいっぱいあるんです。しかもこの『銭天堂』は、そのお芝居の中でも特にわくわくするような要素がすごくたくさんある。みなさんもぜひ手ぶらで、脳みそも空っぽで、「遊びに来たよ」っていう気軽な感覚、遊園地に来たような気分で『銭天堂』の世界に入り込んで欲しいです。

──そして、大原さん自身にも新たな出会いと発見が生まれる公演になりそうです。

公演スケジュールも土日中心、初めて行く地方での公演も多く、私も各地へ出かけていくのが楽しみです。最近、チケットの価格が上がっていくことは私たち役者もとても気になっているのですが、今回は大人6千円、子供3千円(※金額は会場により異なります)​に抑えられていると聞いて、それも嬉しくて。でも、その値段以上のものを絶対にお見せします! 私自身も俳優人生の中で白石加代子さんと二人芝居ができるなんて夢のようなお話で、非常に刺激的な挑戦。こんな機会はもうないぞ、とも思っています。この作品はそれくらい深く、私の人生にも刻まれる舞台に絶対なりますし、観てくださるみなさんの人生にも強く刻まれる作品になると思っています。気になった方、ぜひ劇場に足をお運びください。

取材・文=横澤由香

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