【コラム】その日の試合のゆくえは、誰ひとりとして読めなかった
先日、キックボクシングのアマチュア大会に出てきた。いろいろあって1日に2試合やることに。そんなの完全に未体験ゾーン。
そんな生きるか死ぬかの決戦の日、私は1枚のプリントを用意していた。
今回の大会、「全試合のカードが記載された紙」が配布されないことになっていた。スマホなどで画像を確認セヨと。それはちょっと……なかなかシンドい。
なぜシンドいのかというと、私は全59試合中、16試合目と51試合目という、間を開けた順番。その試合間を把握するのに、小さい画面のスマホはキツい。
また、同ジムの仲間たちの試合もある。それらが何試合目にあるのかも「パッと見」で確認できるのが望ましい。自分の試合直前・直後でない限りは応援したいし。
そこで私は全試合のカード表を、A4の紙にプリントして持参した。同ジムのみんなも見られるようにとの願いを込めて。これは役に立つぞぉ〜。
ところが!
いざ大会が始まりプリントを見てみると、思った以上に字が小さすぎて読めない。名前くらいは確認できるが、「何試合目かの数字」は完全に読めない。
私の所属しているキックのジムには、もちろん若者も大勢いるが、この日の大会に出場する仲間の大半は、わりとみな私くらいの年齢、あるいはそれ以上だった。
とある仲間が「いま何試合目?」と聞いてきた。私は、さっとプリントを差し出した。ところが彼女は……
「字が小さくて読めない!」
とある仲間が、別の仲間の試合順を知りたがっていた。その辺に置かれているプリントをさっと指差した。しかし彼は……
「ちっちゃくて読めねえ!(笑)」
とある仲間が、自分の試合はあとどれくらいなのか気にしていた。プリントを彼に渡した。しかし彼は……
「老眼だから読めないよぉ〜!」
──全員、老眼で読めなかった…………。
ちなみに私は、かなり無謀な戦いながら、一か八かの賭けながら、2戦ともに勝利した。齢45にして、未知なる “1日2勝” を初体験。春の試合を含めたら3連勝。
老眼だけど、日頃の努力が、日の目を見た。
人生は、読めないからこそ、おもしろい。
執筆:羽鳥豪(新宿レフティージム)7戦4勝3敗
Photo:RocketNews24.