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indigo la End 全24曲で2時間半、バンド史上最高最大キャパシティの横浜アリーナで魅せた完璧なライブ

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indigo la End

indigo la Endワンマンライブ トウヤノマジック Vol.1
2024.12.1 横浜アリーナ

12月1日、横浜アリーナでindigo la Endのワンマンライブ『トウヤノマジック Vol.1』を観た。こんなに広い会場で彼らを観るのはなんだかちょっと落ち着かない。あの繊細な歌詞と精密なサウンドはイヤホンで一対一で聴くのが似合う気がする、からだが、同じような人間が1万人以上ここにいると思う気分は悪くない。チケットはソールドアウト。静かで落ち着いた大人の観客が多いマジカルナイト。

憂い顔の女性が独りつぶやく、モノクロームの映像とフランス語のモノローグ。ロマンチックな映像に続き、ライブカメラがメンバーの登場を映し出す。高まる手拍子、暗闇とスポットライトのコントラストが美しく映える。丁寧な演出にバンドの美意識が見える、ドラマチックなオープニング。

川谷絵音 (Vo,Gt)

「横浜アリーナ、来ました。indigo la Endです。よろしくお願いします」

川谷絵音の挨拶、間髪入れずに「瞳のアドリブ」を歌いだす。はじけるビート、切れ味鋭いギター、突き抜けるハイトーンが広い空間いっぱいに広がる。ビジョンに映るメンバーの表情は、穏やかでいて誇らしげなようでいい感じだ。バンド史上最高最大キャパシティに挑む気合と自信。ファンが腕につけるライブグッズ「藍バンドルライト」の青い光が、アリーナ全体を美しく染め上げている。

長田カーティス (Gt)

とにかく曲が止まらない。刹那のスピードで疾走する「想いきり」、ビジョンに映るタイポグラフィで歌詞をしっかり見せる「砂に紛れて」、ベース・後鳥亮介が笑顔でクラップを煽り、ドラム・佐藤栄太郎がスネア乱れ打ちで盛り上げる「名前は片想い」、ファンキーでテクニカルな演奏がかっこいい「悲しくなる前に」。いつメンのサポート、コーラス・みおとキーボード・えつこのプレイもすごく効いてる。川谷はピンストライトのダブルのスーツ、後鳥とギター・長田カーティスは黒シャツ、佐藤は黒T。ひたすらに音楽に没頭する、シックな装いの大人の音楽集団。

後鳥亮介 (Ba)

「横浜アリーナ、まだまだ行けますか」

ムーディーな照明とレーザービーム、スモークの演出を使う「不思議なまんま」から少しモードが変わった。たとえるならナイトモード。長田のカッティングとえつこのうねるシンセが最高にかっこいい「夜風とハヤブサ」。「魅せ者」はなんたって川谷の歌と女性陣のコーラスとの絡みが素晴らしい。「見せかけのラブソング」は歌詞に合わせてビジョンに鳥が飛ぶ。「チューリップ」ではオープニングのモノクローム映像が再び登場し、ライブ自体が一つの作品なのだという思いを強くさせる。川谷がアコースティックギターを弾くミドルチューン「チューリップ」は、とにかく歌詞が凄い。悲しいにも程がある。《あなたが切った夜は少し大きすぎた》。後半のテンポアップでエモ度が倍増する。

佐藤栄太郎 (Dr)

まだまだ曲は止まらない。ぼんやり灯る暗い照明の下、ひんやりと透明な恋の終わりを描く「蒼糸」を経て、「ラムネ」でまた少しモードが変わった。キャッチーなアップテンポ。川谷の「ちょっと久しぶりの曲を」のひとことで始まった「忘れて花束」は、2015年のシングル曲。複雑な器楽アンサンブルの楽しみと軽やかなダンス感覚を両立させた曲。花畑のようにセンター席に散らばる、藍バンドルライトの光がとてもきれいだ。抒情的なピアノがリードする「夜の恋は」はシンプルでメロディアス、長田の歌うようなギターソロがとても耳に残る。ここまで14曲で1時間超、MCなしでほとんどノンストップ。

「横浜アリーナ、すごく楽しみにしてきました。個人的にここでワンマンライブをやるのは9年ぶりで、この景色をもう1回見られてすごく嬉しいです。みなさん本当にありがとうございます」

まずは感謝。今日最初のMCでファンに気持ちを伝えると、再び音楽に没頭する。ライブのタイトルチューン「冬夜のマジック」の、大小のミラーボールが作り出す幻想的な景色に見惚れる。ファルセットを交えた川谷のボーカルの技巧は、ライブで体感すると舌を巻くほどに巧い。陰りを帯びたネオアコ風ロックチューン「X day」は、2013年の1stアルバム収録だから相当に昔だ。リアルタイムで聴いていた人がここにどれだけいるだろう。時間は流れる。indigo la Endは今ここにいる。

照明が全開、ドラムは豪快、ラストスパートへの勢いを感じる「夜明けの街でサヨナラを」。クラップと手振りでアリーナが揺れている。シューゲイズめいたラウドな歪みギターが炸裂する「実験前」の、川谷のエフェクトたっぷりのソロがかっこいい。さらに「サビを2回しかやらない曲、やっていいですか」と前置きして歌いだしたのは、クリープハイプのカバー「ABCDC」だ。トリビュートのために選ばれた曲だが、オリジナルのように馴染んでる。才能は才能を知る。

「夏夜のマジック」は、軽いレゲエのリズムとミラーボールに彩られた美しい曲。ビジョンに映る、花びらが花火のように降り注ぐカラフルなアニメーションが美しい。突然川谷が客席に飛び降り、センター席を横切って大歓声を浴びている。今日イチの盛り上がりがアリーナを包み込む。時間の経つのはあっという間、クライマックスはもうすぐだ。

「僕らは楽しかったですけど、どうですか? また横浜アリーナに立てるように頑張ります。来年15周年なので、いっぱいライブをやっていこうと思ってます。また来年お会いしましょう」

ライブを締めくくるにふさわしい、ラストチューンはロックバラード「スウェル」。バラードなのにギターはラウド、リズム隊が思い切り重低音を響かせる壮麗な1曲だ。映画のエンドロールのように、バンドとスタッフのクレジットがビジョンに映し出される。ふと見上げると無数の花びらが天井から舞い落ちる。今日の記憶を心に焼き付ける、なんてロマンチックで壮麗なフィナーレ。

そしてアンコール。本編の緊張感から解き放たれたせいか、ツアーグッズのTシャツやジャージを身に着けたメンバーはリラックスモード。グッズ紹介、横アリの思い出、川谷を中心にトークに花が咲く。「僕ら全員親しみやすくない感じですけど、ここまで来れたな……と思ってます」と川谷。来年は2025年、バンド結成15周年のアニバーサリーだ。

「ここが目標になっちゃいけないと思うので、また次の目標を設定して頑張っていきます。来年以降もよろしくお願いします」

キラキラ、イキイキの爽やかロックチューン「ダビングシーン」、そしてリリースされたばかりの最新曲「盲目だった」。メランコリックなムードと美しいハイトーンの歌が胸に沁みる。さらに「“これから”という意味を込めて、新曲をやろうと思います」と川谷。今日の本当のラストチューンは、タイトルもまだわからない新曲だ。性急なビートにきらめくギター、陰りを帯びたメロディとサビの飛翔感を備えた魅力的な1曲。リリースが楽しみだ。

「indigo la Endでした。ありがとうございました」

全24曲でおよそ2時間半。完璧なライブをやりきって、記念写真に収まるメンバーの顔が充実感に溢れている。そしてメンバーが去ったステージに映像が流れだす。2025年1月29日、ニューアルバム『MOLTING AND DANCING』リリース。4月から全国ツアー『藍のすべて』スタート。さらに“to be continued”。鳴りやまない拍手が来年への期待を煽る。15周年のアニバーサリーはきっと凄いことになる。もっと楽しいことが待っている。参加しよう。

取材・文=宮本英夫
撮影=鳥井洋介、三浦大輝

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