内田彩さん音楽活動10周年記念アルバム『Re:birthday』インタビュー|「にぎやかな10周年」は笑いあり、歴史あり、サプライズあり!?
ソロアーティスト10周年を祝して、昨年から「にぎやかな10周年」を展開中の内田彩さんが10周年記念アルバム『Re:birthday』を2025年7月23日にリリース!
デビューアルバム『アップルミント』から現在まで楽曲提供した作家陣が集結し、これまでの内田さんの曲のエッセンスを感じさせつつ、新たな進化もある新録曲6曲を含む全11曲を収録しています。10周年記念セットには今年2月に持ち曲全78曲を披露したツアー東京公演の昼夜の模様を収録した『AYA UCHIDA Complete TOUR ~marble~ にぎやかな10周年』の映像も収録されています。
そして9月15日には「にぎやかな10周年」の締めくくりとして、1stライブを再現する『AYA UCHIDA Re:1st SOLO LIVE ~アップルミント Baby, Are you ready to go?~』とNEWアルバムを引っ提げた『AYA UCHIDA 10th ANNIVERSARY FINAL LIVE ~Re:birthday~』とコンセプトの異なる2公演を開催します!
そんな内田さんに10年を振り返っていただきつつ、『Re:birthday』と9月15日のライブについて、余談をたくさん含めながら語っていただきました。
【写真】内田彩 音楽活動10周年記念アルバム『Re:birthday』インタビュー
「にぎやかな10周年」はお祭りのように楽しくて幸せなアニバーサリー
──2024年から2025年まで、ソロアーティストデビュー10周年を記念したライブや企画を行ってきましたね。
内田彩さん(以下、内田):1年を通してお祭りのように、皆さんと楽しい企画ができて、幸せなアニバーサリーを過ごせています。
この10周年イヤーは、「にぎやかな10周年」というテーマでいろいろな挑戦をさせていただきました。昨年9月にはオーケストラコンサート(AYA UCHIDA Symphonic Concert 2024 〜Daydream〜 / 〜Moonnight〜)をやらせていただくことになって、そのためにこのアルバムにも収録されている「うさぎのプティフール」という新曲をササキトモコさんに作っていただきました。
ササキトモコさんが作詞や音楽、ササキワカバさんがイラストやアニメーションを手掛けられているユニット「東京ハイジ」さんは以前から存じ上げていたのですが、まさかそのお二人に楽曲とMVを作っていただけるなんて、すごく驚きました。MVの中では私をかわいらしく描いていただけたことも嬉しかったです。
私はみんなが楽しんでくれたり、驚いてくれたりすることを考えるのが好きなんです。特にこの10周年は、みんなにサプライズをお届けしたいと思って、「これでもか!」というくらい、スタッフさんと企画させていただきました。
また1stアルバムや1stライブの頃から私を応援してくださった皆さんには「相変わらずおもしろいことするな」とか「彩さんっぽいな」と感じてもらえたらいいなと思う1年でした。
──内田さんはそういったサプライズが得意なんですか?
内田:自分で企画するのは苦手ですが、誰かの企画に乗っかるのは得意です。スタッフさんにサプライズを仕掛けるのが大好きな人がいて、この10年を振り返ってみると、仕掛けられた側にとっては血の気が引くようなものも…(笑)
──それは(笑)。
内田:私も今までたくさん仕掛けられてきましたから(笑)。最近だと去年の誕生日にお仕事が終わって帰ろうとしたらチームの皆さんが待っていて、驚いていたら「お疲れさま〜! さあ、乗って乗って!」と、そのままリムジンパーティーをしました。
あと別の年の誕生日には、お仕事で大阪に行ったらこれまた駅にスタッフさんがいて、さらにタクシー乗り場に行ったらまた別のスタッフさんがいて、行く先々で1人ずつスタッフさんが増えて、誘導されて入ったお店では最後はトイレからも!
この10周年も、そんな私たちをおもしろがってくださるファンの皆さんの応援があったからこそ、私も「心が広いみんなだから」と安心して挑戦できたんだと思います。
──10年もやっていると新しいファンの方もだいぶ増えたのではないですか?
内田:「最近、内田さんのことを知りました」とか「内田さんの歌を初めて聴きました」という方が多いのも嬉しくて、そのたびに身が引き締まる思いです。
いろいろな「Re」の意味を込めたタイトルが生まれたのはビックリな会議から!?
──今回、アルバム『Re:birthday』をリリースしますが、タイトルの由来を教えてください。
内田:10周年を記念したアルバムということで、いろいろな意味が込もっています。
前作の5thアルバム(2023年11月リリース『MUSIC』)では、私の音楽活動の初期に関わってくださった皆さんが力を貸してくださることになったんです。これまでの長い月日の間で入れ替わりはあっても、再び巡り合って一緒にアルバムを作れたら素敵だねと。そこでタイトル候補に挙がったのが、再び集結するという意味の「Reunited」でした。そのタイトルは残念ながら採用されなかったんですけど、ずっと心の中に大切にしまってありました。
ちなみに当時タイトルを決めた日の会議もおもしろかったんです。その時もお誕生日に近かったので、プレゼント交換をしたり和やかな雰囲気の中、急に部屋が暗くなって。「もしかしたらケーキが出てくるのかな?」とワクワクしていたら「では、ご覧ください」とパワーポイントがスクリーンに映し出されて、アルバム制作とタイトル案のプレゼンが始まったんです(笑)。
そんなワイワイ会議した日も思い出しながら、今回のタイトル決めでもまたみんなで集える「Re:」があったらいいねと。「Re:」にはみんなへの返信の気持ちや、10年間の出来事を思い出す「Remember」、そしてまた原点に立ち返る「Restart」や「Rebirth」といった意味も込めているんです。
このアルバムは私の誕生日の7月23日にリリースとなりますが、今まではこういったことも気恥ずかしくてやってきませんでした。でも今回は自分の誕生日に10年間の音楽活動のお祝いをしようと、感謝の想いを込めて「Re:birthday」というタイトルにしました。
──まさに内田さんにとってはクリエイターの皆さんからのお誕生日プレゼントですね。
内田:そう思うと嬉しさが更に増してきました。
今作は1stアルバムの『アップルミント』(2014年11月)をリリースした初期から、私の音楽活動の基盤を作ってくださったり、支えてくださった作家陣の皆さんに新曲を書き下ろしていただき、この10年間を振り返るようなアルバムになっているんです。
──1枚通して聴いてみると、内田さんが今まで歌ってきた楽曲のエッセンスが詰まってきて、「あの曲っぽいな」と懐かしさを感じたり、まるでベストアルバムみたいだなと感じました。なのにデビューアルバムのような新鮮な気持ちで楽しめました。
内田:もし聴いてくださった方が懐かしさを感じてくれたなら、それも「Reunited」です。
──それから、曲順を見たら9曲目の「ヘルプ!」、10曲目の「Explosive Heart」、11曲目の「にぎやかな心たち」は、今年2月に行われた『AYA UCHIDA Complete TOUR ~marble~ にぎやかな10周年』のラスト3曲と同じ並びになっていて。
内田:そうなんです! みんなで曲順を考えていた際、煮詰まっていた時に「これだ!」と行き着いたのがこの並びでした。偶然ではありましたが「コンプリートツアーの締めくくりもこの並びが良かったよね」とアルバムでも採用することになりました。
──10周年記念セットにライブ映像が収録されるので、セットリストを見ていて気が付きました。あと「ヘルプ!」を歌った後に内田さんがグチっていたのも印象的だったので。
内田:そんなこともありましたね(笑)。あの日は「ヘルプ!」を作ってくださった俊龍さんが観に来てくださっていたので、「誰だ! こんな曲を作ったのは!」と叫ばせていただきました。(笑)
──なるほど。アレはお笑い的なツッコミだったんですね。
内田:いえ、心からの気持ちでした(笑)。
「Minty Smile」はいろいろなエッセンスが詰まった「ザ内田彩ソング」!
──ではアルバムの全収録曲のご紹介をお願いします。まず1曲目の「Minty Smile」はギターが効いた明るいバンドサウンドですね。
内田:このアルバムを代表するリード曲で、1stアルバム『アップルミント』の表題曲を作ってくださった持田裕輔さんに作曲していただきました。持田さんは2ndアルバム『Blooming!』(2015年7月リリース)や1stシングル「SUMILE SMILE」など、数々の表題曲を作ってくださったので、これまでのエッセンスがたっぷり詰まった、これぞ「ザ・内田彩」ソングと言える曲になりました。タイトルも『アップルミント』から「Minty」、「SUMILE SMILE」から「Smile」をとっています。
作詞のhabanaさんもデビューの頃からお世話になっていて、habanaさんから見た私へのメッセージや、ファンのみんなからの私への想いを代弁したり、自分で歌うには少し照れくささもありました。
みんなで10周年をお祝いしようという曲なので、みんながこの曲を聴いてさわやかな笑顔を浮かべてもらえたらいいなと思っています。
「Summer Lasting」はメロディアスなせつないラブソング
──2曲目の「Summer Lasting」はギターやキーボード、ドラムが刻むビートが走っているような呼吸やリズムで、歌声もサウンドも夏を感じさせます。サビの超高いキーを歌いこなす内田さんはさすがだなと思いました。
内田:作曲してくださった宮崎京一さんも初期から私の音楽を支えてくださって、ライブでもギターを弾いていただいたりしてきました。ファンの方からも「京一さんの切ないラブソングがいい」と言われることも多くて、私自身も歌っていても聴いていても好きなんです。
10年続けてきて成長した分、ちょっと大人な方向で行こうとしていたところもあったんですが、今回は初心に立ち返って爽やかで切ない、「これぞ京一さん曲」という曲を歌いたいですとお願いして「Summer Lasting」を作っていただきました。
また私の中で京一さんの曲って初夏のイメージがあって、「Sweet Rain」(『アップルミント』収録)や「最後の花火」(『Blooming!』収録)などの好きなところがギュッと詰まったタイトルにもなっているなと思います。皆さんが期待する京一さんらしいメロディアスで素敵な曲になっていますよ。
「初めて会った日」は金子麻友美さんからのお手紙のような優しい曲
──3曲目の「初めて会った日」は打ち込みなど音色が分厚いところが盛夏っぽく、歌声は優しくさわやかです。
内田:金子麻友美さんは数多くの楽曲を作ってくださっていますし、ずっと私の音楽活動を見守ってくださっています。それもあって、金子さんから見た私や、私の音楽活動への気持ちをしたためてくださったお手紙みたいな優しく語りかけるような曲になっています。
金子さんの楽曲からは同年代の同性ならではの言葉遣いや柔らかさが感じられて、いつもそばにいてくれる身近なお友達のような感覚になれて、大好きです。
ファンの皆さんには、10年の間、出会ったタイミングはそれぞれ違うと思うけど、みんなが初めて私と出会った日を思い出してもらえたらなと思っています。
──1曲目から3曲目まで聴き方によっては1つの物語になっているのかなと。「Minty Smile」は恋をした瞬間のトキメキを歌い、「Summer Lasting」では失恋して、「初めて会った日」で月日が流れて、また再会する、みたいな。
内田:新曲を作ってくださっているのはお付き合いの長い作家陣の皆さんで、レコーディングでは「繋がり」を大切に想って歌っていたので、時間や関係性が感じられたり、懐かしい出来事を思い出したり、曲順でも繋がりを楽しんでもらえたら嬉しいです。
「fuwari」は頭に残るメロディが印象的な曲
──「fuwari」はミディアム調の優しい曲で、内田さんのきれいなコーラスなども堪能できる曲になっています。
内田:5thシングル「Sign」(2019年3月リリース)は、アニメ『五等分の花嫁』のED曲で、たくさんの方に聴いていただいた一曲で。この10年の中でも大きなポイントの1つになった曲ですが、その作曲をしてくださったのが松坂康司さんでした。そして作詞もデビュー曲「アップルミント」などこれまでたくさん作詞でお世話になった中村彼方さんにお願いしています。
彼方さんの歌詞と松坂さんのリフレイン的にずっと頭に残るメロディがきれいにハマっています。そして聴き終わった後にふわふわと、この10年間の私との想い出やライブで見た光景を、皆さんそれぞれに思い浮かべてもらえたらいいなと思っています。
「うさぎのプティフール」は夢だった東京ハイジのお二人とのコラボが実現。コロナ禍のことなどの想いが詰まった曲
──「うさぎのプティフール」はファンタジーの世界観をきれいに、やさしく歌っていて、歌のお姉さんみたいでした。
内田:最初にお話ししたようにササキトモコさんに作っていただいた曲です。今までもパンダが出てきたり(『アップルミント』収録の「泣きべそパンダはどこへ行った」)、メルヘンなモチーフの曲も歌ってきましたが、最近はそういった曲を歌っていなかったので嬉しかったです。
いまだに忘れられないのが、コロナ禍に向こう数年の予定が一切なくなって、どうしていいのかわからなかった頃、2021年に『Ani Love KYOTO presents 内田彩 Symphonic Concert ~en and ett~』と題した初めてのオーケストラコンサートをやらせていただきました。
お客さんも声を出さず、静かに着席して楽しんでもらえるコンサートということで、世の中の情勢的にも安心していただけるし、新しいことに挑戦したいとも思っていたので、本当に奇跡的なタイミングでお声がけいただいたんです。
それからその後もオーケストラコンサートのお話をいただくようになり、昨年にオーケストラコンサート用の新曲として書き下ろしていただいたのがこの曲です。いろいろな想い出が重なる1曲になりました。
──内田さんがうさぎたちと一緒に月で過ごしながら地球のことを想っている歌詞も絵本のような雰囲気がありますね。
内田:10年音楽活動をしていると、就職や引っ越し、結婚や出産など、ファンのみんなそれぞれの人生や環境の変化を伝えてもらうことも多いんです。そんなみんなに「遠くからでもいつも見守っているよ」という気持ちも伝えられたらと思って。オーケストラコンサートのテーマ曲ではありましたが、みんなへの10周年のメッセージを伝えられる曲になってよかったです。
「with me」は「with you」のかわいいアンサーソング
──「with me」はガーリーなエレクトロポップですね。
内田:去年の4月に行った『AYA UCHIDA SPRING LIVE ACOUSTIC DAY / SWEET POP NIGHT』に先駆けてデジタルシングルとして配信された曲です。
この曲を作詞作曲してくださったhisakuniさんも私の音楽活動には欠かせない作家さんで、自分がやりたい方向性をチームに伝えるきっかけを作ってくれました。
そのきっかけになった曲というのが「with you」(『Blooming!』収録)で、その時は「みんなと一緒に」と寄り添う曲でしたが、この「with me」は「ついてこい」は言いすぎですが、「私と一緒にいようね」と一歩進んだ関係性を歌っています。アンサーソングでもあり、新しい扉を開く立ち位置の曲になっています。
ロックな「Not Enough」は、一番レコーディングで粘った曲
──「Not Enough」は歪んだギターの音やシリアスな歌声と「私が選ぶのは終わりじゃなくて始まり」など歌詞もソリッドで、凛々しい内田さんが感じられます。
内田:黒須克彦さんにはこれまでにもいろいろな曲を手がけていただきましたが、今回は黒須さんらしいカッコいい曲になっています。アルバムの最後にレコーディングした曲で、「もっとこんな風に歌ってみたい」と何パターンも録り直したり、一番粘った曲でした。
──ロックなコンセプトアルバム『Bitter Kiss』っぽいなと思いました。
内田:『Bitter Kiss』を発売するまでは、「ロックな曲は好きだけど、私のイメージにないかもしれない」と歌いたい気持ちを封印していたんですよね。
黒須さんは楽曲提供だけでなく、ライブでもバンドマスターとしてベースを弾いてくださっていたので、私のそんな気持ちに気付いてくださり、「こんな風に歌ったらもっとカッコよくなるよ」と後押ししてくださったんです。
私のやりたい音楽やライブ面を支えてきていただいた方なので、黒須さんの新曲にカッコよく応えたいと意気込んで、何度も何度もテイクを重ねました。ライブではこんな風に歌いたいというイメージもあるので、ライブで披露するのを楽しみにしてほしいです。
「Veil of Lies」は凛としてロックを歌う内田さんを感じられる曲で「まだ見せてない顔があるんだからね」!?
──「Veil of Lies」も直訳すると「ウソのベール」で、サウンドもギターなどヘビーなロックに内田さんの鋭いナイフのような歌声が刺さってきます。ライブでもヘッドバンクがハマりそうです。
内田:小野貴光さんの作詞作曲です。小野さんの曲は黒須さんとは違う角度のカッコよさがあって、新たな一歩を踏み出すきっかけをくださいました。
『Blooming!』に収録されている「Like a Bird」を最初にいただいた時、「私にこんなカッコいい曲が歌えるのだろうか?」とレコーディングも不安な状態で臨んでいたのですが、小野さんがアドバイスや提案をくださって背中を押してくれたんです。
「Like a Bird」は、それからたくさんの方に好評の声をいただいて、「ロックに凛として歌う私もみんなが受け入れてくれるんだ。」と自信に繋がりました。
小野さんはいつも、新しい私の扉を見つけて開けてくださるので、今回も全幅の信頼でお願いしたところ、予想外に歪んだ感じの曲が届いたのでワクワクしましたね。
──確かに今までに聴いたことも見たこともない内田さんでした。
内田:新たな一面を見てもらえてよかったです。歌詞も「10年やってきたけど、私のすべてを知らないでしょ? まだ見せてない顔もあるんだからね」と、ミステリアスな部分も感じてもらえたらいいな。
大盛り上がりのライブチューン「Breezin’」の第二弾「ヘルプ!!」
──「ヘルプ!!」は歌詞のおもしろさが印象的で、お客さんとのコール&レスポンスが楽しいキラーチューンですね。
内田:俊龍さんが作詞作曲してくだった『アップルミント』収録曲「Breezin’」は、ソロデビューの時からライブではコール&レスポンスでみんなと盛り上がれる大好きな曲でした。10周年シングル「にぎやかな心たち」をリリースするにあたって、「Breezin’」から10年経ったらどうなるのか? そしてよりみんなとのライブ感を詰め込んで作っていただきました。
歌詞には、この10年間、楽しいことばかりでなくツライこともあって、私もみんなも生きていたら大変なことがあるよねという、みんなの「ヘルプ!!」が表現されています。でも、いろいろあるけどみんなで楽しく盛り上がっちゃおう、発散して消化しちゃおう、まさに「Breezin’」の第二弾のような曲になっています。
──歌詞の「ちょっと手伝えっ!」や「やるしかねえ!」など言葉遣いも面白いです。
内田:制作の際に「こんな言葉遣いだとどうですか?」と確認してくださったので、「全然OKです! むしろこれくらいどんどんいきましょう」と(笑)。ただ、1か所だけ変えていただいた部分があって、「乗り切ったあとお水おいしい」は最初、「乗り切ったあとメシ美味い」だったんです。でも、10周年シングルということで「この10年間、ライブでみんなに言われてきた「お水おいしい」をここに入れよう!」と、最後のピースがピシっとハマりました。私とみんなとの10年を一緒に作ってくださった俊龍さんには感謝しています。
TVアニメ『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』のED曲「Explosive Heart」は内田さんの歌声のかわいさやキュートさを濃縮!
──「Explosive Heart」は内田さんの魅力の一つであるかわいさ満載のポップな曲ですね。
内田:4thアルバム『Ephemera』収録曲「カレンデュラ、揺れる」で作詞作曲いただいた永塚健登さんによる楽曲で、TVアニメ『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』のED曲でした。
レコーディングでは細かいニュアンスを試行錯誤しながら歌ったのも楽しくて、かわいさ全振りで歌わせていただきました。アニメ作品に寄り添えるように、歌詞もキャッチーに仕上がっています。
──以前、キズナレッド役の井藤智哉さんは「イドラの心情みたいなものを描いている歌詞」とおっしゃっていました。
内田:嬉しいです! レコーディング当時はどんなED映像になるのかわからなかったのですが、オンエアを観たらとってもかわいくて!映像が付くとキャラクターの視点で楽しめますし、映像とも合っていて嬉しかったです。しかもMVにはキズナレッドが駆けつけてくれて。
──ポップでとてもかわいい映像でした。
内田:当初のMV案では、本物の特効を使った爆発シーンを撮る構想もあったのですが、最終的にCGでかわいく作りましょうということになりました。「私ならやってくれるだろう」と楽しい企画を提案してくださるのも嬉しかったですし、このチームの皆さんとなら10周年もにぎやかにできると思えた、結晶のような曲だったなと思います。
10周年記念企画の中心にいた曲であり、音楽活動のテーマを歌った「にぎやかな心たち」
──「にぎやかな心たち」はコンプリートライブを締めくくった曲ですが、疾走感があって、エモーショナルな感じがアルバムのラストとしてもピッタリです。
内田:10周年記念シングルの表題曲です。作詞の只野菜摘さん、作曲の坂部剛さんには『アップルミント』に収録されている「ピンク・マゼンダ」を作っていただきました。「ピンク・マゼンダ」は、私の楽曲投票でいつも1位になる人気曲なんです。
そんなお二人に書き下ろしていただいた「にぎやかな心たち」は、「にぎやかな10周年」の企画の中心になり、この10周年の私の音楽活動のテーマになりました。
歌詞では「カラフルなランタン」と表現されていますが、みんなの人生や想い出の中に、一緒に過ごしてきた時間や楽曲が残っていてくれたらいいなという気持ちで歌いました。
10周年記念セットには全曲ライブツアー最終公演の昼夜の部を映像収録!
──10周年記念セットには今年2月に行われた『AYA UCHIDA Complete TOUR ~marble~ にぎやかな10周年』の映像が収録されたBDも付属されていますが、このライブを振り返った感想をお聞かせください。
内田:3カ所以上をまわるツアーは『AYA UCHIDA LIVE TOUR 2018 ~So Happy!!!!!~』以来だったので、「明日もライブがあるんだ」と思えるのは幸せで楽しかったです。
企画にあたって、まず音楽チームから「1つのセットリストで回る案と、できるかわかりませんが全曲歌う案があって…」とお話をいただき、「全部やりたい!」とお答えして実現に向けて動き出しました。いつもお世話になっているライブチームさんも企画に乗ってくださり、みんなが前向きになってくれたことがすごく嬉しかったです。
レーベル担当:先日黒須さんとお会いした時に、2016年の武道館ライブ(『AYA UCHIDA Complete LIVE 〜COLORS〜』)の話題になって、「あの時、全曲やりたいと言い出したのは内田さんだったんですよ」と聞きました。「今回も内田さんが…?」と(笑)。
内田:黒須さんはすべてお見通しでした(笑)。
──全曲ライブをするアーティストはいますが、ツアーでやる方は珍しいです。しかも昼夜合わせて全曲、昼と夜でセットリストが違うので、内田さんもバンドの皆さんも大変そうです。
内田:私も「本当にできるのかな?」とナーバスになっていた時期がありました。体調以外でナーバスになることはほとんどないんですけど、今回は事が事だけに不安になって。でもリハーサルで皆さんとお会いしたら「楽しい! できる! できる!」って。ソロライブと言いつつもたくさんの人の力を借りていることを実感しましたし、「Reunited」みたいに関わってくださった皆さんとライブができることも奇跡的なことだなと思いました。
セットリストもたくさん悩みました。全曲歌うにしてもただメドレーにしたくはなかったので、DJみたいに曲を繋いで、音と音を混ぜて、新しい感覚で楽しんでもらえるようにしたいという無理難題をバンマスの河合英嗣さんにお願いしました。
河合さんは『AYA UCHIDA SPRING LIVE ACOUSTIC DAY / SWEET POP NIGHT』が初めましてでしたが、いつも笑顔で支えてくださって。10年経っても新しい出会いで輝かせてもらっているんだなと感じましたし、ライブでの反応やみんなの感想から新しい音楽を届けることができると実感できて、本当に挑戦してよかったと思っています。
──あと曲ごとに歌い方や表情が変わるのを目の前で感じられて、「歌が上手だけどやっぱり役者さんだな」と感心しました。
内田:ありがとうございます。いつものライブではセットリストに入れにくかった曲たちの魅せ方や、衣装やセット、演出をどうするのか、そして一つのパッケージとして成立させるためにどうまとめるのかはすごく考えました。
──夜の部でもエネルギッシュなパフォーマンスを見せてくれて「すごいな」と思いました。
内田:昼と夜で全然違う公演をしているからこそ、新鮮で楽しめたんです。
──チケットが完売して、配信でご覧になったプレミアライブがまた映像で観られるのは嬉しいです。
内田:映像を観ると想い出がよみがえりますね。参加してくださった方も観られなかったよという方にも楽しんでもらえたら嬉しいです。
10周年を締めくくる9月15日のライブは1stライブの再演と最新アルバムを引っ提げたライブの2本立て!
──2月のライブでも発表されていた10周年の締めくくりとなる9月15日のライブは昼が1stソロライブのリバイバル、夜がアルバム名を冠したライブとなっています。
内田:またムチャを言っちゃいました(笑)。
5月5日の子どもの日に、地元である群馬県の高崎市文化会館で『AYA UCHIDA with GUNMACHAN 2MAN LIVE』という、これまた初めての取り組みとなるお子さんと一緒に歌うコンサートを開催しました。そのライブでは子どもたちが主役でもあったのですが、「9月15日は敬老の日なので、次はみんなが主役だからね」と(笑)。
「みんなもそろそろ足腰がキツくなってきたでしょう?」と、9月のライブは10年応援してくれたみんなを私が敬おうという気持ちで行こうかな、なんて(笑)。
昼は『AYA UCHIDA Re:1st SOLO LIVE ~アップルミント Baby, Are you ready to go?~』と題して、2015年の1stライブを再現します。こういうリバイバル公演も初めてですが、10年の節目に立ち返ってみるのもいいかなと思って。「Minty Smile」に「ライブハウスだった場所が公園になり~今は駐車場だね」という歌詞がありますが、当時の会場の五反田ゆうぽうとはなくなり、「時の流れは寂しいな」とも思ったり。
この前のツアーではフルサイズで歌えない曲もあったし、1stアルバムの大事な曲たちを全曲フルで披露できるのは嬉しいです。またあの時は緊張して失敗したり、「もっとできたな」と思うこともあったけど、10年ライブを重ねた私がどんなライブをやるのかを楽しみにしてほしいです。
──1stライブを目撃した自分としてはとてもいいライブだったので、また観られるのが嬉しいです。一生懸命歌う内田さんの姿や照明などの演出の素晴らしさも印象に残っていて。夕景のような照明の元で歌う「オレンジ」はぐっときました。
内田:ありがとうございます。ステージチームの皆さんも素晴らしくて、「照明がよかった」という声も多いんです。みんなで作っているんだなと思えるのがいいんですよね。
そして昼のライブを観ていただいた後に、10年後の最新の私を観てもらおうというのが『AYA UCHIDA 10th ANNIVERSARY FINAL LIVE ~Re:birthday~』で、「にぎやかな10周年」の締めくくりとなります。アルバム『Re:birthday』を掲げたライブで、初披露の曲もたくさんありますし、楽しみにしてほしいです。「Minty Smile」では「君の誕生日をここで祝うよ」と歌っていますが、10周年の敬老の日をみんなで祝いましょう。
──みんなにとって忘れられない「敬老の日」になりそうですね。
内田:1日で10年前と今を感じてもらって、これまでの私との想い出やご自身の出来事を思い返して、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。
カレンダーの9月15日は、祝日の赤丸を、花丸にしてもらって楽しみに待っていてください。
今後もポップでかわいらしい私らしさを残しつつ、10年間やってきたことを更に広げられたら
──今回のアルバムは最近内田さんの曲を聴き始めた方やお友達に聴かせてうっちー友を増やしたいという方にオススメのアルバムになりましたね。
内田:『Re:birthday』はお世話になっている方たちと作った私のエッセンスが詰まったアルバムですし、10周年記念セットのライブ映像では全曲楽しんでもらえるし、お気に入りの曲を見つけてフルで聴きたくなったら過去のアルバムを聴いてもらうのもいいですね。
──今後の目標や挑戦したいことなどありましたら教えてください。
内田:10周年の節目だからこそいろいろなことに挑戦させていただいたことを実感しています。
ライブやイベントは私がいて、みんながいることで初めて完成するものなので、みんなに私から「こんなのどう?」とお料理を作ってテーブルに並べるみたいに、一緒に作って、楽しんでいきたいし、新しい楽しいことをずっと探求していきたいと思っています。
5月には『コロムビアキッズ 保育園・幼稚園・こども園で人気の あそびうた・たいそう ベスト』で「ベイビーシャーク」や「ジャンボリミッキー!」をカバーさせていただいたのですが、ファンの方のお子さんたちにも楽しんでもらえる曲が歌えるのも嬉しいです。
いろいろな歌声、表情で歌えるのが声優ならではだと思うので、今後もポップな私らしさを残しつつ、10年間やってきたことを更に広げられたらいいなと思います。
──最後に皆さんへメッセージをお願いします。
内田:皆さんのおかげで音楽活動10周年を迎えることができました。この10周年記念アルバムには、私らしい曲、カッコいい曲、包み込んでくれるような優しい曲、癒しの曲までいろいろな曲が詰まっています。10周年を締めくくるアルバムでありつつ、原点に立ち返ってここから一歩を踏み出せるアルバムになったと思います。
懐かしさを感じつつ、新鮮な気持ちでも聴いていただけると思います。ぜひたくさん聴いていただいて、敬老の日のライブも楽しみにしてもらえたら嬉しいです。「にぎやかな10周年」はまだまだ続きますので、一緒に楽しみましょう!