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子育て中のママパパうれしい“ニポカフェ”…炊飯器まるごとレシピも教わった「運営は学生」

SASARU

 小さな子どもと子育て中のママやパパ、妊婦さんの食生活を支えようと、札幌保健医療大学の学生たちが取り組んでいる活動があります。『nipocafe(ニポカフェ)』というイベントです。
 管理栄養士を目指している学生たちが栄養価を計算した食事を提供するとともに、「日頃忙しいママやパパにゆっくりと食事をしてくつろいでほしい」と、託児も引き受けます。
 8月にもイベントが予定されており、参加者を募っています。
 どのような活動なのでしょうか? 様子を見せてもらいました。

 nipocafeは、札幌保健医療大学保健医療学部栄養学科の学生約30人が集まり、サークルとして運営しています。
ママやパパ、子どもたちが栄養価の高いおいしい食事で“ニコニコ”と笑顔に、心や体が“ポカポカ”になることを目指して名付けました。

 妊娠中や産後のママは、赤ちゃんと自分のために栄養をしっかりと摂取する必要があります。また、子どもの食事は月齢に合わせ、食べやすさも大切です。
しかし、ママやパパが毎日慌ただしく過ごしていたり、食事に関する知識が少なかったりして、理想的な食事を取れていないケースもあります。そこで2023年、nipocafeが始まりました。

試作重ね綿密に考え抜いた献立

 イベントは1、2カ月に1回開いています。国の食事摂取基準に基づき、学生が献立を組み立て、指導教員の下で試作を重ねます。

 nipocafe代表で3年生の貫田遙さん(20)によると、例えば、30人分の料理を用意するためには、2人分のレシピを単純に15倍にして作ればいいのではなく、緻密な調整が欠かせません。
そうして当日に向け、メニューやレシピを整えていくのだそうです。

この日の献立。パエリア(左下)やトルティージャ(中央)、アホスープ(右)など

 取材したのは、6月に札幌市白石区で開かれたnipocafeです。事前に申し込んだ親子11組が会場に集まりました。
 この日の献立は、「パエリア」や具だくさんのオムレツ「トルティージャ」などスペイン料理を中心とした5品。トマトやブロッコリーなど野菜をふんだんに取れるのがポイントです。

子どもも大人もおいしく栄養満点

貫田さん(右)ら学生たちが参加者にメニューやレシピを説明

 貫田さんは「妊婦さんに特に必要な葉酸をはじめ、ビタミンをしっかりと取れるよう考えました」と話します。

 栄養バランスが整っているだけでなく、大人も子どもも同じメニューを食べられるよう、味付けや見た目に配慮しているのも特徴です。

 ニンニクがほんのりと効いたトマトベースの「アホスープ」には、本来のせるパンの代わりに、食物繊維や鉄分を含む玄米フレークをのせて子どもでも食べやすくするというアイデアも。

子どもたちの食事の様子を笑顔で見守る工藤唯華さん(左)

 まず、子どもたちに先に食事を出します。工藤愛大くん(3歳)はパエリアをおかわりしてモリモリと食べました。

 このパエリアは、炊飯器で簡単においしく炊けるよう考えられています。冷凍食品のシーフードミックスやミックスベジタブル、みじん切りのタマネギなどを活用し、忙しいパパやママでも手間をかけずに食卓を彩ることができるレシピです。

 愛大くんの母、唯華さん(30)は「炊飯器に材料を入れるだけで作れるのがいいですね。火を使わないレシピは参考になります」と話します。

 パエリア以外のメニューも、手に入りやすい材料や時間のかからない作り方など工夫がたくさん。家でも実践してもらえるよう、参加者にレシピを配布しています。

 子どもたちの食事が終わると、ママやパパに食事を提供します。その間、学生たちが子どもたちを預かり、面倒を見ます。

参加者に話しかける金高准教授(左)

 また、nipocafeの指導教員で管理栄養士の金高有里准教授がテーブルを回ってママやパパに話しかけ、子育てや栄養面での悩みにも応えます。

 参加者の一人、高橋優希さん(42)は以前にnipocafeに参加した際、まだ小さかった長女の七瀬ちゃん(3歳)に生野菜を食べさせて良いかどうか迷っていたことを相談したそう。「ここに来ていろいろとお話を聞かせてもらい、ためになります」と、nipocafeへの参加を楽しみにしています。

託児も勉強 子どもの成長から学ぶ

子どもに絵本を読み聞かせる学生(左)

 託児は、ママやパパがゆっくりと食事するためだけではありません。学生の勉強のためでもあります。

 「首のすわり方、そしゃくや飲み込みの仕方など、子どもの月齢に応じた成長をじかに見ることが、管理栄養士として離乳食や子ども向けの食事を作る際にとても役立つのです」と金高准教授。食材の選び方や調理の仕方などに大きく関わってくるそうです。

助産師(右)の指導の下、赤ちゃんを抱っこする学生

 また、将来ママやパパになる可能性のある学生が子どもと接することは、「『親になる意識』が芽生える」(金高准教授)という貴重な機会でもあります。

 この日参加していた城戸さやかさん(38)の長女椰沙ちゃんは、生後3週間。学生たちが抱っこさせてもらいます。助産師の指導を受けながら緊張気味に抱っこし、赤ちゃんのかわいらしさや命の尊さを実感した様子です。

8月31日にもイベント開催

元気よく活動するnipocafeメンバーの学生たち

 nipocafeは今後もイベントを開催するとのこと。
 8月31日午前10時から、こどもカンパニー札幌駅西口園(札幌市中央区北5条西6丁目1、ノルテ5・6ビル)で、「離乳食と栄養満点ごはんのおやこカフェ」と題したイベントが開かれます。大人の食事と同じ材料で作れる離乳食を味わえます。
 対象は0歳児とその保護者、または出産を控えている妊婦とそのパートナー。参加無料とのこと。※定員制なので〆切があります

 9月以降には通常のnipocafeのイベントが開催されるとのことで、nipocafeのHPもお薦めです。

 食事や子育てについて相談したり、ホッと息抜きしたりと活用できる場所、是非覚えておいてくださいね。

nipocafe(ニポカフェ)
HP:https://nipocafe.studio.site/
問い合わせメール:nipocafe@gmail.com
電話:札幌保健医療大学 金高准教授 011-788-6804(内線5307)

(上記の情報は記事作成時点でのものです。
最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください)

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