「いつか」じゃなくて「今」やろう。家にあるモノですぐにできる防災準備
阪神大震災が起こって30年。 昨年の能登での地震と大雨の災害も記憶に新しく「他人事ではない」という意識を持ちました。しかし現実には「何から準備していいのやら」と後回しにしてはいませんか? 家にあるものや100円ショップで手に入るグッズで「今、すぐ」できる防災準備をお伝えします。
防災講座に参加してみると…
防災講座のボランティアスタッフとしてお手伝いをする中で、目からうろこ! だった知識や「なるほど!」と納得したさまざまなアイデアをこの時期にもう一度まとめてみます。
上の写真は防災講座で実際に使われている、さまざまなグッズや水、非常食などです。
乾きにくいタオルよりも手洗いですぐ乾くガーゼが便利だし、食料も大切。レトルトに水を入れてごはんが作れる非常食は、おかずが無くても食べられる混ぜご飯風だと食べやすいようです。
単1電池(カセットコンロで必要)を単三電池が使えるようにできるスペーサー、ぞうさんのじょうろは手を洗うときに少しの水で充分に洗えるのでオススメです。他にもカラダを拭くことのできる介護用の大判ウェットシートや懐中電灯など、これらは全て100円ショップで揃います。
写真のようにリュックでは無く、トラベル用のキャリーバッグ(機内持ち込みサイズ)に我が家では防災グッズを詰めています。旅に出るときには荷物と入れ替えて出かけ、帰宅するとまた防災グッズを詰めています。旅から帰るごとに食品類のローリングストックや、乾いてしまったウェットシートを入れ替えています。そして、このキャリーバッグを置く場所も実はよく考慮しなければなりません。
以前、キッチンの床下収納庫に防災グッズを備える動画が拡散されていたのを見ましたが、スペース的には充分なものの、実は現実的ではありません。なぜならこの被災写真を見れば一目瞭然! 家電や食器などが倒れてしまい、床下収納に辿り着くまでに手間がかかかってしまいます。また、グッズをバッグに入れるためにバッグを混乱した部屋の中から探し出す手間もかかります。
では、どこに置くのが正解かと言うと玄関。
またはベランダがある場合は掃き出し窓の近くに置いて、屋外に出しやすいように想像しておきます。せっかく準備したものを取り出せないと避難所に持参することも給水に行くこともできません。さまざまな状況を想像して、中身だけでなく備える場所も充分に考えておきます。
断水したら、どうする?
揺れが止まって足元に気を付けながら、家族の無事の電話をかかけつつ、まず家の中でやることは、全ての水道の蛇口を全開にして、あらゆる場所に水を溜めること。
地震直後、断水しても町中を走る水道管や集合住宅の貯水槽には水がまだ残っているため、自分のもとにその水を引き込むためです。マンションで貯水槽がポンプで作動している場合は、完全に止まってしまう場合もありますが、少しでも出る場合は湯舟にトイレや洗面に使う水を、キッチンや洗面所にはペットボトルなどで飲料水を確保します。
または、日ごろから準備しておきたい場合は、トイレ用に2リットルのペットボトルに水道水をためて置いておきます。飲み水ではないので入れ替えは頻繁にしなくてもOK。また、飲み水はひとり1日3リットル×同居家族分の未開封ミネラルウォーターを準備しておくと安心です。
給水で注意すること
能登ではまだ水道が復旧していない箇所があるようです。電気に比べると水道が使えるまでには時間がかかると聞いた事があります。家や近所で水がでなくても、公園や駅、ガソリンスタンドや公共の建物などで利用可能な場合もあり、避難所となる学校や公民館などには数日後には給水車が来ます。
ところが、給水へ行くにも一般の防災リュックなどに準備されているのは、写真のような10リットル~15リットルの大き目タンク。10キロ以上の水を持ち帰るのは大人でもかなりの重労働です。
そんな時のために、2リットルボトルを準備しておくと、子どもや女性でも1つずつなら持つことができるので便利です。道路状況に難があると、車では運ぶことができないので、徒歩で給水に行くことも想定しておくべきです。
能登ではトイレ用の水を学校のプールや川から汲んできている映像を見ました。
飲料水以外であれば、そのような方法もあるので、まずは冷静にどんな目的の水をどれだけどこから手に入れるのか……を考えて行動することが大切です。
地震だけでなく、地球温暖化が原因とみられる豪雨も数多く発生し、災害は日本に住む人々にとって他人事ではありません。今日から、今から……すぐにでも何か1つでも備えのための時間を確保して、もしものことを想定しておきましょう。
みやむらけいこ/ライター