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2025年の鉄道事始めは秩父鉄道で 「開運特別ヘッドマーク列車」を撮り鉄【コラム】

鉄道チャンネル

イメージは水平線から顔を出した初日の出!? 開運特別ヘッドマークを掲出した7000系=寄居駅=(筆者撮影)

今年の鉄道界を展望すれば、「Osaka Metro(大阪メトロ)中央線に夢洲(ゆめしま)駅開業」(1月19日)、「山陽新幹線全通50周年」(3月10日)、「新京成電鉄の京成電鉄への吸収合併、南海電気鉄道と泉北高速鉄道の経営統合」(いずれも4月1日)などが思い浮かびます。そんな2025年の初めに乗り鉄、撮り鉄したのは埼玉県の秩父鉄道。

2024年末に、広報を担当するグループ観光統括部から「期間限定で『開運号』特別ヘッドマーク掲出」、「開運記念入場券発売」のニュース2本が届きました。

秩父路を走る地方私鉄のイメージが強い同社ですが、東武2線(伊勢崎線、東上線)、JR2線(高崎線、八高線)、西武秩父線の鉄道5線に接続。東京方面から意外なほど快適にアクセスできます。

決行日(?)は2025年1月2日。池袋を起終点に、西武秩父線→秩父本線→東武東上線を乗り継ぎ、新春の鉄道風景をカメラスケッチしました。

(なお、ヘッドマーク掲出は2025年1月13日で終了。記念入場券は駅での販売は終了しましたが、ネットショップでは引き続き取り扱っています)

「Laview」とすれ違いながら西武秩父へ

秩父紀行の始まりは(西武)池袋駅。正月2日は開いているショップも半数程度で、人出も普段の日曜日よりやや少な目といったところでしょうか。

駅で感じたのは、西武の秩父路への力の入れよう。筆者は池袋~飯能間を準急、飯能~西武秩父間を各駅停車で移動しましたが、飯能以遠では鉄道友の会のブルーリボン賞車両「001系Laview」をしばしば目にします(そのような気がします)。

西武秩父駅は商業施設「仲見世通り」を併設。物販店・レストランのほか、エキナカ温泉「祭の湯」もあってたっぷり楽しめます。

鉄道ファンならチェックしたいのが、西武秩父駅の線形。駅手前に秩父鉄道との連絡線があり、熊谷方、三峰口方の双方に乗り入れられます。駅直前にはクロッシング(平面交差)で進行方向どちら側にも進める、ダブルスリップという複雑なポイントがあります。

西武秩父線55周年の特別塗装車に出会う

秩父鉄道で西武秩父駅に一番近いのは御花畑駅ですが、ここはスルーして徒歩で1.5キロほど先の秩父駅へ。西武秩父までの乗車列車の1本後に飯能発長瀞行き秩父鉄道直通があり、沿線で撮影しようと考えました。

10分ほどのロケハンで、秩父駅近くに空き地を発見。列車を2本ほどやり過ごすと、御花畑方から4両編成の西武4000系がやって来ました(秩父鉄道の列車は3~2両が基本で、西武乗り入れ車は長編成です)。

車体長20メートル、片側2ドア、ボックスシートの4000系、白をベースに青、赤、緑のストライプを配した「ライオンズカラー」です。ところが近付いてきたのは、スカーレットを基調に白帯が入る見慣れないカラーリング。

秩父線に乗り入れて長瀞に向かう西武4000系特別塗装車=御花畑~秩父間=(筆者撮影)

西武は秩父線開業55周年を記念、1969~1996年に活躍した私鉄EL(電気機関車)の名機・E851をリスペクトする4000系の特別塗装車を2024年11月から運行中。半ば偶然ながら、珍しい車両を撮影できました。

ご存じの方も多いと思いますが、西武池袋線・秩父線は飯能で運行系統が分かれますが、線区的には池袋~吾野間が西武池袋線、吾野~西武秩父間が西武秩父線です。

秩父駅間近、秩父三社の一つの秩父神社に初詣してから羽生行きに乗車しました。

和同開珎の駅モニュメントに顔はめ

寄居への道中、和銅黒谷(わどうくろや)駅で途中下車しました。1914~2008年の旧駅名は黒谷。史書には、「飛鳥時代の708年、秩父の黒谷で日本初の和銅が採掘され、朝廷に献上したところ元明天皇は和銅元年に改元した」と記されます。

駅名変更は観光の話題づくりが狙い。ホームには、「和同開珎(わどうかいちん)」のモニュメントがあります。近隣に和銅遺跡があり、硬貨モニュメントの穴に〝顔はめ〟して記念撮影する方もいました。

和同開珎モニュメントがある和銅黒谷駅に入線する5000系(3両編成。元都営地下鉄三田線6000系)(筆者撮影)

和銅黒谷駅、単線の線路に島式ホーム1面2線のシンプルな構造ですが、もう1本西側に通過線があり、SLパレオエクスプレスはここを走行します。線路は適度にカーブしていて、撮り鉄にも人気の駅です。

寄居駅で2時間弱の〝待ち鉄〟

ここまでは比較的順調だった新春秩父鉄道紀行。しかし、肝心の「開運特別ヘッドマーク列車」の撮影がまだです。

プレス資料によると、ヘッドマークは角形と丸形の2種類、いずれも初日の出がモチーフです。掲出するのは7000系(旧東急8500系)と7500系(同8090系)各1編成。

ダイヤが公表される特急列車や観光列車とは違い、いろいろな編成が運用される普通列車は〝出会えるかどうかは運次第〟ともいえます。

和銅黒谷で待機しても良かったのですが、寄居まで移動。ホームで待つこと1時間以上、ようやくヘッドマークを付けた7000系三峰口行きがやって来ました。

しかし、寄居待機は正解。ホームに待合室があり、展示されていた戦前の電車の写真を撮影しました。

戦前に時代の先端をいっていた秩父鉄道は大正年間の1922年に熊谷~影森間を電化。初期のデハ17はなかなか好ましいスタイルです=寄居駅待合室で=(筆者撮影)

鉄道ファン向け企画が目白押し

ここで、「開運記念入場券」情報。へび型と絵馬型の2種類で、へび型は硬券、絵馬型は裏側に願掛けを書き込めるようにしました。

昨今の秩父鉄道、旅行会社の企画で東武伊勢崎線、秩父鉄道、西武秩父線の3線を同一列車名の臨時列車で乗り継ぐ「北武蔵51号(ツアー)」、さらにはELや電車の運転体験と、鉄道ファンを意識した企画が多数。4月中旬からはSLパレオエクスプレスの運転も始まります。

パレオエクスプレスのキャッチフレーズ「都心から一番近い蒸気機関車」に倣えば、「都心から一番近い(かもしれない)観光鉄道」の秩父鉄道……。今度の休日にでも沿線散策してみてはいかがでしょうか。

祭りが盛んな秩父には名社寺が多数。好天に恵まれたこともあって初詣の人たちを数多く目にしました=秩父神社で=(筆者撮影)

記事:上里夏生

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