ただ坐り、自己を整える 正泉寺の坐禅会 「ひと休みする時間が大事」
夜の午後8時過ぎ。灯りを落として静まり返った本堂。壁に向かってただ坐る人の姿――。
龍源山正泉寺(相原/曹洞宗)で行われている坐禅会。7月27日の坐禅会には男女8人が参加。30分間、ただひたすら坐る。10分間の休憩をはさみ、再び参加者は30分間ただ坐る。
坐禅の後には茶話会があり、お茶を飲みながら住職の仏教についての話を聞いたり、参加者で意見交換したりする。坐禅会に通う女性は「こういう時代だからこそ、ちょっとひと休みするような時間が大事と思う。坐禅をするようになって焦らなくなった気がする。気持ちが落ち着いたのかな」と話す。
「只管打坐」
曹洞宗で坐禅は「只管打坐(しかんたざ)」、ただひたすらに坐ることを意味する。目的を達成する手段として坐禅するのではなく、坐禅をする姿そのものが「仏の姿」であり、悟りの姿だという。その他の参加者も「最初は坐禅とはこうあるべきだとか心を無にしないといけないと考えていたが、今では無になろうとすら考えなくなった」「ただ坐るだけ。よりこだわらなくなった気がする」と感想を口にする。
いつでも来れるよう
坐禅会は同寺の西岡良峻住職が2020年5月から始めた。「坐禅はあくまで生活の一環として自己を整えるもの」という。「このお寺が曹洞宗であることを知らない檀信徒さんや坐禅を知らない人がいて、まずは、お寺として当たり前のことをやっていこうと始めた」と話す。
最初は人が集まるか不安もあったが、4人が参加した。その後、回数を重ねていくうちに人が集まるようになり、今では多いと14〜15人が坐りに来る。坐禅会について西岡住職は、「生きていく中で生きづらいと感じることもある。そんな時にいつでも来れるように、坐禅を組んで自己を整えることができるように、この先もずっと続けていければ」と思いを話す。
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坐禅会は土曜の午後7時20分から、日曜の午前5時20分から。誰でも好きな時に参加できる。申込不要。参加無料。坐禅後に土曜は茶話会、日曜はお経を読む会と朝粥会がある。ひざの悪い人は椅子坐禅もできる。