『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』に登場した少女の意味 ─ 「全てを失ったんです」
(MCU)『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は“家族の絆”を描く物語だ。リード・リチャーズ、スー・ストーム、ベン・グリム、ジョニー・ストームは“ファミリー”として地球の危機に立ち向かう。劇中では出産も描かれるなど、家族の団結が大きな鍵となる。
実は、監督のマット・シャックマンにも製作中に同じテーマを試される大変な出来事があった。「自由時間がほとんど取れないので、家族と過ごす時間が貴重なんです。この一年は本当に大変でした」と、シャックマンは米に語っている。
「山火事に遭って、全てを失ったんです。」
2025年1月、米ロサンゼルス西部を大規模な山火事が襲った。発生したのはハリウッド関係者も多く暮らすパシフィック・パリセーズ。「残念ながら今年、同じ境遇となる方がたくさんいました」とシャックマンが語るように、映画俳優やフィルムメーカー、製作関係者の多くが邸宅を失う被害に見舞われた。
主要撮影自体は完了していたが、その頃はポストプロダクションの真っ只中だ。シャックマンは映画の製作と、火災による保険会社とのやりとりを並行させた。なにしろ、家と私財を失った。これからの自分の生活がどうなるのかという不安とも向き合わなければならなかった。「多くのことを両立させるのは大変でした」。
シャックマンにとって、さらに辛いことが続いた。4月3日、母親のイネス・シャックマンが亡くなったのだ。80歳だった。
本作はシャックマンにとって初のメジャー・スタジオ劇場映画となったが、残念ながら母はこれを見届けることができなかった。映画のエンドクレジットでは、母イネスへのトリビュートが捧げられている。
ほとんど一度に多くのことを失うこととなった。「でも、私たちには仲間がいます。一緒に乗り越えます。私はそこに喜びを見出します。映画のキャラクターたちと同じように」。家族の絆に、格別の意義を見出した。
明るい希望もある。映画の終盤にチラリと登場する少女だ。巨大なギャラクタスが街に襲来した際、危険に遭いそうになるところをファンタスティック・フォーに救われる。予告編映像にも登場している。
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「あれは、私の娘です。メイジー・シャックマンと言います」とシャックマンは紹介している。「あの子もとっても出たがっていました。僕も元子役ですので、とても複雑な気持ちでしたけどね。でも、あの子は体操をやっていますから。ワイヤーをつけて飛び回っていましたよ。楽しそうにやっていました」。
親から、子へ。映画で描かれたメッセージと共鳴するようだ。「あの子は立派に頑張りました。最高の娘です」とシャックマンは締めくくっている。
『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は大ヒット公開中。家族と共に、乗り越える。
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