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ホスピタリティと独自性にあふれた、弥彦村の図書館「らいわ弥彦」。

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ホスピタリティと独自性にあふれた、弥彦村の図書館「らいわ弥彦」。

近頃、いろいろな工夫を凝らしたハイカラな図書館が増えてきたと思いませんか。図書館ごとに、それぞれ違う空気感があるように感じています。中でも弥彦村の「らいわ弥彦」の独自性には驚きました。本の並べ方に内装のテイスト、なんだか図書館らしくないポップな雰囲気。その魅力の秘密を館長の徳永さんに聞いてきました。

らいわ弥彦

徳永 絹枝 Kinue Tokunaga

1962年弥彦村生まれ。中学時代からソフトテニスプレイヤーとして活躍し、社会に出てからも数々の成績を残す。不動産営業やパソコン販売、在宅オペレーターなどを経て、45歳から東京で不動産の再開発プロジェクトに関わる。54歳のときに新潟に戻り「新潟県スポーツ協会」に勤務。2022年、60歳で「らいわ弥彦」の館長に就任。2023年「らいわ弥彦」開館。

次から次へ手に取りたくなる、本の並べ方。

――徳永さんは、どうして「らいわ弥彦」の館長に応募されたんですか?

徳永さん:いちばん大きな理由は、生まれ育った弥彦村のためになりたいからです。弥彦村への思いは人一倍ですよ(笑)。なんとここの敷地は、私が学んだ小学校があった場所なんですよ。自分のルーツとなる場所に関われるなんて、嬉しいじゃないですか。

――さまざまなキャリアをお持ちですよね。

徳永さん:これまでの経験が「らいわ弥彦」のお役に立つかもしれないなと思いました。館長の公募には司書や教員の資格は必要なく、「必要なのは魅力的な図書館を作りたいという志」だったんです。その考えにも共感しました。

――先日「らいわ弥彦」さんにお邪魔して、素敵な図書館だと思ったんです。まさに「魅力的な図書館」でした。

徳永さん:そう言ってもらえて、嬉しいです(笑)。世の中のほとんどの図書館は図書館法に則った施設で、「館長は司書であることが望ましい」などの基準があります。一方「らいわ弥彦」は、地方自治法に基づいて設立された図書館です。さまざまなところに一般的な図書館との違いがあります。いちばんわかりやすい当館の特徴は、本の並べ方でしょうか。

――そうでした、そうでした。ちょっと変わった並べ方なんですよね。

徳永さん:小説などは、利用される方の使い勝手を考えて、「日本十進分類表」という一般的な分類法を用いています。それ以外は「出会う本棚にしている」と言えばいいでしょうか。身近なテーマに寄り添って、本をセグメントしています。日常でついつい「腰が痛くて」「ちょっと太ってきて」なんて言葉にしてしまいますよね。じゃあ健康に関する本、それから食事に関する本っていうふうに、どんどん本棚を追いかけたくなるような仕掛けをしているんですね。

――どうしてそうすることになったんでしょう?

徳永さん:弥彦村には公民館図書室(公民館のサービスの一環として運営されている図書室で、図書館とは異なる)しかなく、村民は図書館に馴染みがありませんでした。愛用者は燕市の図書館まで行かなくてはならなかったんです。どれだけの方が図書館を利用されるのかはっきりわからなかったので、難しい本をただ並べるのではなく、普段から話題に出るテーマの本から手に取ってもらおうと考えました。選書や本のセグメントには、ブックディレクターの山口博之さんの力をお借りしています。

村の課題とリンクする図書館。独自性にもこだわりが。

――「らいわ弥彦」には、「読書で健康長寿」「非認知能力を伸ばす教育立村」「世代を超えてつながる村」の3つのコンセプトがありますね。弥彦村が課題としているポイントとリンクしているのかなと思ったのですが、どうでしょう?

徳永さん:おっしゃる通りです。おそらく、どの自治体さんも同じような課題を持っていると思います。でも図書館にそれを重ねるって珍しいですよね。それだけ大きな期待と可能性が「らいわ弥彦」に寄せられているということなんだと思います。関係部署含め、村ぐるみで課題に取り組んでいるけれど、せっかく新しい図書館ができたのだから、今までない図書館を目指そうっていうことですね。

――ホームページで公開されている図書館の計画書には「独自性」という言葉が使われていました。

徳永さん:前村長はお会いする度に「徳永さん、独自性のある図書館にしましょうね」と言葉にされていました。それだけ「独自性」にはこだわっていらっしゃいましたね。BGMが流れているところも当館の独自性でしょうか。私は受験や資格取得の勉強をするために図書館を利用することが多かったんですけど、あの静けさがどうも苦手で。空気感を変えたくて、音楽をかけるようにしたんです。それから家具にも独自性がありますよ。弥彦村の家具職人、「Out Mount furniture」の外山さんが製作してくださいました。外山さん、テーブル用の一枚板をいずれどこかで使おうとずっと温めていたんだそうです。その貴重な材料を「らいわ弥彦」の家具に採用してくださいました。

――弥彦の職人さんの手も加わっているんですね。

徳永さん:それともうお一方、忘れてはいけないのが、建物の意匠やコンセプト策定にも関わってくださった波多野純先生。検討委員会にも加わって、村民の声に耳を傾けてくださいました。

スタッフのおもてなしにも注目。

――弥彦村の皆さんの期待が込められた図書館だと思います。開館後の反響はどうでしたか?

徳永さん:近郊の公共図書館さんの来館状況や人口などから割り出して、初年度はおおよそ25,000人の来場を目標にしていました。結果は、1年経たずに50,000人以上の方に来ていただき、非常にありがたかったです。

――もちろん村外の方も?

徳永さん:どこから来館されたのか正確に把握しているわけではないですが、利用登録をしていただいている方の情報から把握する限り、三条市、燕市、西蒲区などからも大勢お越しいただいています。特に燕市から来館してくださる方が多くて。きっと今までは弥彦から燕の吉田図書館に行っていた方がたくさんいると思うんです。あちらは、本が豊富できちんと取り組んでいる図書館ですから。これまで燕市さんにお世話になった分の恩返しができているかな、なんて思っています。

――最後に、徳永さんが館長として大切にされていることを教えてください。

徳永さん:これまでのキャリアの中でミステリーショッパーをしていたこともあるんですよね。きちんと清掃、整理が行き届いているか、接客に問題はないかの調査をやってきたので、クレンリネスとホスピタリティをとくかく重視しています。弥彦村直営だから実現できることですし、独自性のポイントでもあります。ありがたいことに先日実施したアンケートでは「職員の対応がいい」という評価をいただきました。私としてはそれがいちばんの褒め言葉。とにかく利用される方に丁寧に寄り添う図書館でありたいし、その思いを叶えてくれるスタッフのみんなには感謝、感謝ですね。

らいわ弥彦

西蒲原郡弥彦村矢作402

0256-94-3106

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