日本語が通じない!? 学生街のディープなガチ中華【楊記食堂】西安出身夫妻の本場の味と大ボリュームで人気の富山の中華料理店
富山大学の五福キャンパスや部活動が盛んな高校などが集まる富山市五福。
単身者向けのアパートも多く、学生に安価でボリューミーなごはんを提供する店やカフェなどが何軒もある県内最大の学生街のひとつです。
そんな富山市五福の富山大学西門のすぐそばに、2024年5月、本格中華の店がオープンしました。
店の名前は、「楊記食堂(やんきしょくどう)」。
中国内陸部の西安出身の楊(やん)夫妻が故郷の料理をふるまう“ガチ中華”の店です。
西安料理って、どんな料理?
ひと口に中華と言っても、世界で4番目に広い中国にはさまざまな民族が暮らし、気候や特産物も多様なため、地域によって料理や生活様式に直食があります。
小麦粉、羊肉や香辛料…イスラム圏の食文化が色濃く融合
楊さん夫妻がふるまう「西安料理」は、中国の西安を中心に発展した料理のこと。
古くからシルクロードの交易などで栄えたため、各地の文化が交わる地域で、食文化もイスラムや中国、モンゴルのものが融合しています。とりわけ色濃く反映されているのが、イスラム圏の食文化。
小麦粉を主食にした麺や蒸しパン、羊肉を使うことが多く、香辛料をふんだんに使った独特の風味が特徴です。
富山に来て1年…日本語はまだ不慣れなためスマホ翻訳が必需品
店を営む楊さん夫妻が富山にやってきたのは、2024年。
まだ日本語には慣れておらず、お客さんとはスマホの翻訳機能を使ってやり取りすることが多いのだそう。
日本語が通じない…!?
ちょっと緊張してしまいそうですが、夫妻はいつも明るく笑顔で迎えてくれるので、翻訳を通じてのやりとりでも楽しくコミュニケーションできます。
日本語メニュー作りには常連客の大学生が協力
メニュー表にはなんて書いてあるのか、読めたとしてもどんな料理なのか。
知らない“ガチ中華”の店を訪れる時は不安ですよね。
でも、それも大丈夫。
店には日本語のメニュー表がきちんとあります。
このメニューは、店に通う富山大学の生徒がボランティアで協力して書いてくれたものなんだとか。
オープンしてから1年も経っていませんが、すでに地域の人や学生たちに愛されていることが伝わるエピソードです。
どんなメニューかわかるので、安心して食券を買うことができます。
それでは、学生たちのおなかを満たしてくれる、食べごたえ抜群の本格西安料理をご紹介しましょう。
1番人気! 腹ペコ学生も大満足の小籠包セット
店の1番人気は、小籠包とワンタンのセット。
蒸し器にみちみちに入った小籠包は、なんと8個!
ワンタンスープも、お椀のふちすれすれまで注がれています。
これで税込800円というから驚き。腹ペコの学生さんたちも大満足のボリュームです。
ふわふわの小籠包
小籠包は、日本でポピュラーな上海風ではなく、薄皮の中華まん風。
あんを包んでいる皮は、ふわふわっと空気を多く含んでいて、食感もモチモチです。
この小籠包をスパイスたっぷりのピリ辛ダレにつけて食べるのが、西安スタイルなんだそう!
見た目はいかにも辛そうですが、それほど辛くはありません。あんから出るたっぷりの肉汁や脂が中和してくれ、辛いものがそんなに得意ではない人でも食べられるおいしさです。
あっさりワンタンスープは家庭の味
ワンタンスープはあっさりとしていて、やさしい味。
豚骨とチキンスープをベースに、楊さんが幼いころから親しんだ家庭の味を目指して作っているのだそう。
量が多いのはスープだけではなく、ワンタンも10個入っています。
小籠包ばかりに注目してしまいがちですが、こちらもそれだけで十分の食べごたえです。
西安のハンバーガー? 肉夹馍(ロージャーモウ)
こちらは、西安で2000年以上愛されているという伝統料理の「肉夹馍(ロージャーモウ)」。
肉を細かく刻んでパンに挟んだハンバーガーのような料理で、庶民にとってのソウルフードなんだとか。
厚めのナンのようなパンは、表面に焼き目がついていてサクサク食感。
肉は豚の角煮を刻んだものを使用しています。
甘辛の味付けの肉がたっぷり入って、シンプル。ですが、小腹を満たすにはちょうどいい量です。
富山にも西安の味を届けたい
元々、中国本土で飲食店を営んでいたという楊さん夫妻。
日本各地を旅行した経験から、たどり着いたのが富山だったといいます。
「富山にも西安の味を伝えたい」という想いで、店で提供する料理のタレもタネもすべて手作りしています。
「私たちが店を開くにあたり、近所に住む人や、富山大学の生徒たちは、非常に協力的でした」 (楊さん)
おなかいっぱいになったお客さんに笑顔で「謝謝!」と声をかける楊さん。
気さくなキャラクターのおかげで翻訳機を通してのやりとりも楽しく、もはや店の名物といった雰囲気です。
店の料理はほとんどが1000円以下。飾らず家庭的な雰囲気で味わう本場の味を楽しんでみてください。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2025年4月11日放送
記事編集:nan-nan編集部
【楊記食堂】
住所 富山県富山市五福3734-3