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夫婦が営む、おそろいものとイラスト雑貨の「てるふく商店」。

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夫婦が営む、おそろいものとイラスト雑貨の「てるふく商店」。

陶器や雑貨が好きなご主人と、イラストレーターの奥さんが運営しているネットショップ「てるふく商店」。その実店舗がオープンするということで、ひと足早くお邪魔してきました。落ち着きのある空間で、伊野さん夫婦からいろいろなお話を聞きました。

てるふく商店

伊野 竜一 Ryuichi Ino

1988年群馬県生まれ。新潟大学農学部卒業後、大手飼料メーカーで営業を担当し全国各地へ転勤。2017年に新潟市へ移住して入浴剤メーカーに転職し、2019年にネットショップ「てるふく商店」を開業。2024年にメーカーを退社し、現在は独立と店舗オープンに向け準備中。趣味は海釣りと筋トレ。

てるふく商店

伊野 あゆみ Ayumi Ino

1989年糸魚川市生まれ。新潟大学教育人間科学部卒業。神奈川県の広告代理店に勤務した後、フリーのグラフィックデザイナーとして独立。イラストレーターとしてもオーダーを受けはじめる。2017年に夫と共に新潟市へUターンし、「てるふく商店」でイラスト雑貨の販売をスタート。娘と遊ぶのが何よりの癒し。

農家の古民家を利用した、アトリエ兼ショップ。

——とってもお洒落なスペースですね。ここが実店舗としてオープンするわけですか。

竜一さん:そうなんです。築50年近い古民家で、元は農家の住まいだったんですよ。僕も妻も古いものが好きなので、ひと目で気に入ったんです。インテリアも古雑貨でまとめたらいい感じになりました。

あゆみさん:お客様に喜んでいただけるようなスペースを作りたかったんです。奥はアトリエスペースになっているので、ショップからでも製作している様子をご覧いただけます。

——まだオープンはしていないんですか?

竜一さん:バタバタしていて、なかなか準備が進められていないんですよ。近日中にはオープンしたいと思っているところです(笑)

——ふだんはネットショップを中心に営業しているんですよね。そもそも、どういういきさつではじめたんでしょうか?

竜一さん:いつかふたりでお店をやってみたいという夢があったんです。子どもが生まれたことで転勤族に見切りをつけて、妻の実家がある新潟市で暮らすことにしました。そのタイミングでネットショップの「てるふく商店」をはじめたんです。

——「てるふく商店」って、レトロな響きであたたかみのある名前ですね。

竜一さん:ありがとうございます。私の祖父母が群馬で営んでいた「照福(てるふく)食堂」が由来になっています。「照福」というのは、祖父・照夫と祖母・フク子の名前からひと文字ずつ取って付けられたんです。地域住民の憩いの場だった「照福食堂」のあたたかい雰囲気を受け継ぎたいと思って「てるふく商店」と名付けました。

「おそろいもの」とイラスト雑貨のネットショップ。

——「てるふく商店」では、どんな商品を扱っているのか教えてください。

竜一さん:僕はもともと陶器をはじめとした手作り雑貨が好きで、あちこちの陶器市やクラフトフェアを巡っていたんです。でも会場へ遠くから足を運ばなくても、全国各地の雑貨が手に入るようなネットショップがあれば嬉しいだろうな、と考えてはじめました。

——そうだったんですね。いろいろなお揃いのアイテムを扱うことになったのはどうしてなんですか?

竜一さん:「夫婦茶碗」っていうのは、日本独自の素敵な文化だなって思ったんです。夫婦に限らず大切な人とお揃いのアイテムを使ってほしいと思って、「おそろいもの」に力を入れるようになりました。

——そうした雑貨は、どのようにして仕入れているんでしょうか?

竜一さん:県内外のクラフトフェアや陶器市に出向いて、作家さんに直接交渉させていただいています。僕は必ず会ってお話をした上で仕入れることを心掛けているので、作家さんと直接会えない場合でも、リモートでお話させていただいてから仕入れるようにしているんです。

——イラスト雑貨はあゆみさんが作っているんですよね。そちらはどういう経緯ではじめたんでしょうか?

あゆみさん:フリーランスのグラフィックデザイナーとして、チラシやポスターなどのデザイン仕事をしていたんですが、コロナ禍の影響で仕事が減ってしまったんです。仕方なく描いたイラストをインスタグラムに投稿していたら、それを見たフォロワーさんからグッズのお問い合わせをいただいたんですよ。そこでイラストをプリントしたポストカードをプレゼントしたところ、その方のインスタグラムで紹介してくださったんです。それがすごい反響でたくさんのオーダーが来るようになったので、夫に相談をして、私のイラスト雑貨も「てるふく商店」のラインナップに加えてもらうようになったんです。

竜一さん:僕が会社勤めをしていたので「てるふく商店」の業務を妻がひとりでやってくれていたんですけど、あまりに忙しくてイラストを描く時間も無くなってきたので、僕も会社を辞めて「てるふく商店」に力を入れていくことにしたんです。

ショップや商品に対する思い。

——あゆみさんは、どんなテーマでイラストを描いているんですか?

あゆみさん:娘を見ていて感じたインスピレーションで描いています。例えば、あるときイラストを描く素材としてテーブルに桃を置いていたんですけど、娘が「かわいい!」と言って持って行ってしまったんです。それから生まれたのが「くだものどろぼう」というシリーズです。

竜一さん:そのアレンジで「ご当地どろぼう」というシリーズも生まれました。青森はりんご、大阪はたこ焼きというように、「くだものどろぼう」の果物が名産品やご当地グルメに差し変わったもので、各地のイベント出店で限定販売しています。

——娘さんとの共同製作みたいなものですね(笑)

あゆみさん:本当にそうですね(笑)。娘が言った「月曜日はみつあみね」や「はんぶんこ」というセリフがかわいかったのでタイトルに使ったり、作品にしたりしています。以前はイラスト制作にパソコンを使うこともあったんですが、今はアクリル絵の具を使ったアナログ作品ばかりです。

——手描きのタッチにあたたかみを感じます。他にもこだわっていることはありますか?

あゆみさん:できるだけ満足度の高い商品にしたいと思っています。お手頃な価格というのはもちろん、同じ絵柄だけじゃなくて何種類もの絵柄を使った便箋にしたり、裏面にもびっしりとイラストを入れていたりするんです。

——本当だ。両面印刷になっていますね。

竜一さん:裏面のイラストを切り抜いて、手帳に貼ってデコる人も多いんですよ。

——隅々までお客さんへの気使いを感じます。

竜一さん:今までネットショップをやってきて、オンラインの向こうに人がいるあたたかみを感じていただけるよう心掛けてきました。あと、箱を開けたときにワクワクしてもらえるように、シーズンごとに包装紙を変えてみたり、おまけをつけたりしているんです。

——ひと手間もふた手間もかけているんですね。最後に、今後やってみたいことがあったら教えてください。

あゆみさん:アパレル製品のように、紙以外の素材を使ったイラスト雑貨も増やしていきたいですね。

竜一さん:夫婦や親子、友達同士だけではなくて、ひとりでも上下揃える意味でペアルックを楽しめるんですよ。そんなふうに「おそろいもの」の解釈を広げていきたいと思っています。

てるふく商店

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