滋賀の初冬の風物詩!「ラ コリーナ近江八幡」で出会う、たいまつアート!
【滋賀をみんなの美術館に】
今年もこの季節がやってきました。
滋賀の定番スポット「ラ コリーナ近江八幡」に大きな松明(たいまつ)が、にょきにょきと。
これって現代アート?
いえいえ、滋賀県近江八幡市の伝統文化なんです。
今の季節、秋から冬に掛けにこの季節だけに見られる不思議な光景『たいまつフェス2024』が今年も開催されています!
取材という名の……松明結い?!
「いたーーい!」
縄を切ったり結ったりしていた私は、あまりの手の痛さに取材中に何度も悲鳴を上げそうになりました。
え、縄?取材中になぜ??
じつは私は今、松明結いのお手伝いの真っ最中。
興味本位で始めてみたのですが、まさかこんなことになるなんて……。
「ラ コリーナ近江八幡」に立ち並ぶ、近江八幡の伝統文化
訪れたのは「ラ コリーナ近江八幡」。たねや・クラブハリエのフラッグシップ店であるここは、バームクーヘンを焼きたてで提供するなど、近江八幡市の人気スポットです!
その敷地内に立てられようとしているのは、人の背よりも大きな松明。
これらの松明は毎年春に、市内各地の祭りで奉納されるもので、その数は合わせて200基を超えるそう!
そんな近江八幡の伝統文化を訪れる人々に知ってもらいたいということで、「文化遺産としての松明を次世代へ贈る会」が、毎年この時期に「たいまつフェス」ラ コリーナ近江八幡を会場に、松明の展示を行っているんです。
個性が町の”誇り”
私たちが取材をした日はちょうど松明作りの真っ最中!
市内の各町から集まった保存会の方々と、地元・ヴォーリズ学園近江兄弟社高校からボランティアで参加している高校生たちが協力して作業に取りかかっていました。
こちらは千僧供(せんぞく)町の「据(すえ)松明」とよばれるもの。
たいまつフェスに参加しているは、小田町、島町、千僧供町、白王町、南津田町の5町。
展示される松明はそれぞれ形が異なっていて、何一つ同じものはありません。
「一本一本形が違うことが町の”誇り”なんです」
そう話すのは「文化遺産としての松明を次世代へ贈る会」の大西實会長です。
「たくさんのお客さんに地元の伝統文化を見てもらいたい」
本来ならお祭りでの奉納の際に一晩で燃え尽きて見られなくなる松明。
その松明を、ラ コリーナを訪れる人々にも知ってほしいと、毎年約1ヶ月間の展示を行っています。
確かに松明をじっくり見る機会なんてないし、作業もなんだか面白そうかも……。
ダメ元で何かお手伝いできないか尋ねてみたところ、
「いいですよ、早速やってみましょう」
なんとご厚意で松明作りを手伝わせてもらえることになりました!
祭りは大切な「結い」の場
お邪魔したのは南津田町の作業場で、作られている松明は、「曳きずり松明」と「振り松明」の二種。
春に「日牟禮(ひむれ)八幡宮」にて行われる「八幡祭」で奉納される松明です。
祭りの起源はなんと約1750年前!
応神天皇がこの地に訪れた際に、村の人々がヨシに火をつけて案内したのが始まりなのだそう!
大西会長指導のもと、早速お手伝いが始まります。
私が担当するのは松明を支えるための縄作りで、二人一組になって縄を結い合わせて一本の頑丈な縄を作ります。
しかしなかなか相手との呼吸が合わず、縄がチクチクと素手にくいこんできて痛くてたまりません……!
作業を終えた頃には手の皮があちこちむけ、ピリピリしびれていました。
そんな手痛い敗北をおぼえた縄を結い合わせる作業ですが、松明を奉納する祭りそのものが大切な「結い」の場であると大西会長は話します。
「人同士のコミュニケーションが希薄になっている現代社会において、世代や立場を越えて交流できる、人と人とを結い合わせる場が祭りなんです」
その言葉を象徴するように、ボランティアの高校生が保存会の大人に技術を教わったり、互いに声を掛け合ったり、一緒におやつを食べたりと、松明結いの場は活気に満ちていました。
自分だけのしめ縄を作るワークショップも開催!
取材に訪れた日は、一般の方もしめ縄作りが体験できる「しめ縄ワークショップ」が開催されていました。
たねや・クラブハリエの自社農園「キャンディーファーム」によるイベントで、作ったしめ縄はもちろん持ち帰りが可能!
親子連れやお買い物客など多くの人で賑わい、「しめ縄?!」と興味深々にワークショップを覗く
若者の姿も見られました。
完成したしめ縄もミニチュアサイズで、クリスマスやお正月の飾りとしても使えそうです!
そしてしめ縄作りの飾りつけに用意されていたのはこれらの植物たち。
形や色合いがきれいですが、そのほとんどが雑草の類で、中にはセイタカアワダチソウといった
厄介ものの姿まで!
自然な色合いが出やすいというこれらの植物は、ラ コリーナに自生しているものを、この日のために集めてドライにしたもの。
その根は土を大いに肥やすことから、雑草であっても地元の植物を大切に扱うラ コリーナですが、じつはその方針が「たいまつフェス」に大きく関わっていました。
「また来たい」と思ってもらえる地元の風景を作る
和洋菓子の販売やカフェなどで知られるラ コリーナですが、お店のテーマは「自然に学ぶ」。
敷地の真ん中には田んぼがあり、小川をメダカが泳ぐどこか懐かしい景観は、地元近江八幡の風景を再現したもの。
「”また来たい”と思ってもらえる近江八幡の自然を見てもらいたい」
そんな思いから敷地内の植物は、近隣などから拾って育てたものもあるそうです!
一方、フェスで保存会が展示している松明は、良質な自然環境を保つために刈り取られた地元のヨシで作られたもの。
「自然環境を学び、大切に、伝えていく」
そんなラ コリーナのコンセプトと、
「たくさんの人に伝統文化を知ってもらいたい」
「若い人を巻き込める場がほしい」
「技術や伝統を継承したい」
という地元の人々との思いが結い合わさって、生まれたのが「たいまつフェス」だったのです。
たいまつ展示は12月中旬頃まで!
たいまつフェスの開催も今年で9年目。
完成した松明の展示は、12月中旬頃までの予定です!
結い合わされた松明が、それぞれどんな形になったのか……
ぜひ、確かめに行ってみてください!
記事を書いた人結城弘/滋賀県出身。小説家・ライター。滋賀が舞台として登場する小説『二十世紀電氣目録』『モボモガ』を執筆。趣味は旅行、レトロ建築巡り、ご当地マグネット集め、地酒。noteにて旅ブログなどを更新中。各SNS⇒ X(旧Twitter)/ Instagram
『ラ コリーナ たいまつ展示2024』の詳細
開催期間 2024年11月9日(土)~12月中旬(期間中無休) 開催場所 ラ コリーナ近江八幡(滋賀県近江八幡市北之庄町615-1) 主催 文化遺産としての松明を次世代へ贈る会
提供:滋賀県 「滋賀をみんなの美術館に」プロジェクト http://bino-shiga.net/
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