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日米関税交渉 上乗せ分を回避するだけで良いのか?

文化放送

5月6日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、日米関税交渉について意見を交わした。

上乗せの撤廃だけでも放棄してくれればそれに越したことはないんですが……

トランプ米政権の関税政策を巡り、日本政府は自動車などへの25%の追加関税と、多くの国・地域に課す「相互関税」の完全撤廃を目指す。だが現時点で米側は相互関税の一部の削減、撤廃にしか応じない構えで、日本が短期間で全て勝ち取るのは困難な情勢だ。政府には今後、優先順位を明確にした上での交渉が求められる。ただ最適解は何なのか、専門家の間でも意見が分かれている。

(寺島アナ)「交渉の対象を巡って隔たりが大きいと伝えられていますが、田中さん、この辺りはどうご覧になりますか?」

(田中氏)「相手側の交渉のスタンスがはっきりしないから読みがたいですよね。トランプ政権の特色ですが、一回言ったことをその日のうちに訂正する場合もあるし。投資家の間では『72時間ルール』と呼ばれているらしくて、3日経っても変わらなかったら“そのままやるんだ”ってことで。トランプ政権がどういう方針を立てているか探りながらやらなきゃいけないので、そういった意味で不確実性が大きいですよね」

(寺島アナ)「そうですね」

(田中氏)「最もやりにくいというか、どちらかというとアメリカというより中国の共産党相手に交渉しているのに似ているような感じがしますよね。向こう側の内部の事情がよく分かんないし、そういった展開なのでなかなか難しいと思いますよ」

日本側の交渉役を務めている赤沢経済再生担当大臣は今月中旬以降に閣僚級会議を集中的に開催することでアメリカ側と合意したと明らかにした。

(寺島アナ)「相互関税の上乗せ分を回避するだけで良しとするのか? それとも自動車関税を撤廃するまで何とかやり抜くのか? これどうやっていくんでしょうね?」

(田中氏)「ただ自動車関税に加えて、自動車の部品メーカーに対する新たな関税も加わってですね、これ一回で交渉して“今後、上乗せ分はないです。終わり”ってならないんじゃないかと思っていて。また何かタイミングがあったら、以前の交渉は棚上げで“また上乗せします!”みたいなことを言いかねない形なので、先が見えないですよね」

田中氏は赤沢経済再生担当大臣の動きに注目。

(田中氏)「赤沢さんのX(旧Twitter)のアカウントを見ると“〇〇早え〜し”というぶっきらぼうな言葉が人気みたいで、妙に陽気ですよね。だからイメージ戦略的に赤い帽子被ってトランプさんの横に並んだりして、テレビ映えしていたじゃないですか。ああいったのを打ち出して“やってる感”を見せていますけど、ただ官僚同士の交渉でどこまで詰めることができるのか? 上乗せの撤廃だけでも放棄してくれればそれに越したことはないんですが、それも諦めきれていないような観測もありますから。本当に分からない」

(寺島アナ)「不確実ですね」

(田中氏)「最悪を考えた方がいいと思います」

石破首相は二回目の協議について「建設的な議論だったと報告を受けた。しかしながら一致点を見いだせる状況には今のところなっていない」という認識を示している。

日米関税交渉はなお、暫定合意に至っておらず、5月中旬から閣僚級による集中的な協議が再開される。6月15日からのカナダでのG7(主要7カ国首脳会議)を控え、日本は同時期までの大枠合意を目指す。

〈出典〉
日米関税交渉、専門家の見方は 自動車、相互関税、上乗せ分…難しい「優先順位」の設定 | 産経新聞

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